マロンちゃんは、この秋で16歳になるアメリカンコッカースパニエルの男の子です。

 

 

コッカースパニエルは慢性の外耳炎になりやすい犬種ですが、この『炎症』が長期間続くことは、『がん』発生の一因になります。そうです。マロンちゃんは、耳の奥に耳垢腺癌というガンを持ちながら暮らしています。

 

しかし、至って元気です。食欲も旺盛です。さすがに寄る年波で足腰がヨボヨボしてきましたが…。がんと診断してからどのくらい経ったかなぁ…とカルテをみたところ、ちょうど2年が経過していました。2年間も、こんなに元気でいるなんて!

 

西洋医学では、耳垢腺癌と診断されれば、そのがんと耳をごっそりと摘出する外科手術と、手術の後は放射線治療や抗がん剤が提案されます。しかし、耳を摘出といっても、耳は頭蓋骨の中の一部分になっており、脳にも非常に近く、また周囲に重要な神経が走っているため、場合によってはガンを完全に取り切ることが出来ません。

 

マロンちゃんもそうでした。飼い主さんは、完治が望めない摘出手術は希望されませんでした。放射線治療も抗がん剤治療もせずに、代わりに、生活を大きく変えました。食事を完全に手作りに変え、漢方薬と抗菌作用のある生薬(ハーブ)を服用し、毎日耳を洗浄しています。

 

 

2年間、元気なのは、これらの自宅療養の効果と考えられます。もちろん、少しずつがんが広がっていることは確認できます。耳の奥のガンが厄介なのは、細菌感染がおこりやすく、臭いのする膿が出てくることです。マロンちゃんも、耳の洗浄を怠るとすぐに膿が出てきます。献身的な飼い主さんが、毎日耳の洗浄をしていらっしゃって、大変なことにはならずに今日までやってきました。

 

 

外科的に摘出することが不可能な耳垢腺癌を、西洋薬だけでコントロールしようとすると、なかなか有効な薬もないのが現状です。

 

実はずっと昔に、私はマロンちゃんと同じように、耳の奥に耳垢腺癌が出来てしまった犬の治療を担当したことがありました。その犬も、完全には摘出出来ないところに、がんがありました。当時は諸事情により、いろいろな補完代替療法による治療が提案できず、西洋薬だけで治療していたのですが、亡くなる前の数カ月は、とても辛い時間でした。

 

毎日耳の洗浄はしておられたのですが、耳からは絶え間なく膿が流れ出し、顔半分が腫れあがり、とても不快だったと思います。本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 

マロンちゃんには、出来るだけ長く元気でいて欲しい…これは飼い主さんのみならず、私の切なる願いでした。ですから、二人三脚で治療に取り組んでおります。

 

 

 

 

ガンと宣告された場合、いろいろな治療があります。昨今はインターネットでそれらの情報が得られますが、いざその動物に適用できるかどうかなどは、補完代替療法に詳しい獣医師とよく相談されることをお勧めいたします。

 

 

こちらのお話は、

『yahooニュース2020年10月4日号』

にも掲載されています。