第60病日の夜、ネピアは一晩で5回も吐きました。吐き方が尋常ではありませんでした。第62病日に病院で種々検査をして、腎臓にリンパ腫が転移していることを確認しました。

 

ネピアには、辛い思いや嫌な思いはせずに余生を過ごして欲しいと思いました。そして、獣医師である私らしい治療をしてあげたいと考えました。そう思ってあれこれ考え、薬を調達しようとしたのですが、ここでかなりの障害がありました。

 

私は臨床経験10年以上にもかかわらず、勤務医であるために思うように薬を仕入れられず、治療がとてもやりにくくストレスがたまっていきました。そこで、診療施設開設届(開業届)を出そうと考えました。

 

開業というと、病院というハコモノを準備して機器をそろえて、と想像される方が多いと思います。でも実際には、診療施設は無くとも自分の五官を使った診察して薬を処方をする病院ということで、開業の届け出を出すことが可能です。というか、開業の届け出を出さないと薬剤を自由に仕入れて処方するのはなにかと大変なのです。

 

さて、ネピアの治療ですが、目標としては嘔吐や食欲不振、倦怠感などの辛い症状は抑えてあげること。抗がん剤などの攻撃的な治療は避け、過度な延命を期待しない、ということでした。

 

猫のリンパ腫ではいろいろな症状が現れますが、ネピアの場合、嘔吐が酷かったため、しっかり嘔吐止めを使いました。原因はなんであれ、嘔吐はしっかり止めないと、体力消耗、水分や電解質(ナトリウムやカリウムなど)、栄養分を失うことになります。

 

リンパ腫に関しては生薬や漢方薬、そして丸山ワクチンやオゾンも使いました。62病日から138病日までは、それでなんとか元気食欲は保て、嘔吐も押さえられました。

 

ネピアの12歳の誕生日を挟んだ週末には、獣医循環器学会がありました。私は獣医循環器学会の認定医なので、この学会だけは行きたいと思いました。

 

行くのであれば、その日私は外泊になりました。家族も、その週末は不在でした。そんなときはいつも、友達にキャットシッターをお願いしています。私の家に入り、猫のお世話をしてもらうのです。しかし、リンパ腫のネピアは急に状態が悪くなることもあるかもと思い、そのときは動物病院に預かってもらいました。

 

しかし、それが仇となったのか、ネピアはその日第138病日を境に、全く食べなくなってしまいました。血尿も出てくるようになりました。そして、その日から1ヵ月間、闘病と介護の生活が始まりました。

 

●丸山ワクチンはこのように希釈して使います。