話をやっと、リンパ腫になったネピアに戻します。教科書的には、あるいは動物病院の獣医師としての勉強を常にアップデートしながら真面目に治療をされている獣医師であれば、リンパ腫の犬猫には、まずは抗がん剤治療を勧めるでしょう。私もそうしています。
私は勤務医ですので、そうそう独創的な治療を患者さんにおすすめすることは、まず出来ません。それが嫌なら、自分で開業しなさいということになります。
でも、自分で飼っている動物に対する治療方針となると、話は違います。何かあっても、責任は自分でとることが可能です。これまで述べてきた理由で、私は自分で飼っている猫には抗がん剤治療はしませんでした。私が抗がん剤治療をしなかった理由は、まだあります。まとめると、以下に述べる3つのことだと思います。
第1に、ネピアは当時とても元気で、なんの治療も必要無さそうに見えました。今思うと、それでもがんの魔の手はゆっくりと着実に、ネピアの体を蝕みつつありましたが。
第2に、犬猫のリンパ腫の場合、抗がん剤を使っても、『完全に治る。』ということは、滅多にありません。つまり、抗がん剤治療は亡くなるまでの時間稼ぎにしかならないことがほとんどだからです。その数か月間かも知れない時間稼ぎのために、何十万円も使い、毎週毎週病院に通い、かつ家族も発がん性のある化学物質に曝露される危険を伴うことを考えると、抗がん剤治療には踏み切れませんでした。
第3の理由としては、一般的ではないけれども自分が信じる治療がしたかったからです。自分の飼っている動物であれば、何かあっても自分の責任です。以前から考えていたことなのですが、自分の飼っている動物ががんや慢性病になったときには、東洋医学、すなわち漢方薬を使って治療したかったのです。どのくらいの効果が期待できるのかを、獣医師としてこの目で確認したかったのです。
