ネピアは、まだ400gにも満たない体重で、うずらの卵ほどの大きさの膿が膝にたまってしまいました。つまり、左膝の関節が、腐ってしまったのです。原因はわかりません。ただ、幼い子はまだ免疫力が弱いため、ちょっとした傷から細菌が侵入して腐ったのではないかと思います。

 

今思えば、いつもおっぱいが吸えず、皆から離れて遠くに転がっていたのが、ネピアだったのかもしれません。母乳には、大きくなるための栄養と、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るための免疫の源が入っています。母乳を十分に飲まなかったネピアは、それが十分に得られなかったのでしょうか?

 

子猫が一番成長して大きくなる生後2カ月齢程のときに、ネピアひとりが歩けず、食べられずでした。その頃の他の子猫達は、兄弟で取っ組み合いの喧嘩をしては走りまわり、疲れたらおっぱいを飲んで寝るという毎日でした。

 

しかし、ネピアだけはポツンとひとり、遠くから皆が遊ぶ様子を眺めていました。兄弟の身体の大きさとは、一周りではなく、ニ周りくらい小さく、毛ツヤは悪く、ボサボサで、痩せてガリガリでした。

 

●どれがネピアなのか?一目瞭然ですね。

●こんなに大きさが違う!

 

その頃、私は、生まれた子猫の里親探しに奔走していました。最初のうちは、ちっちゃい5匹をカゴに入れて、子猫が欲しいという人のところに車で連れて行って、選んでもらいました。でも、ちっちゃくてガリガリボサボサのネピアを選ぶ人は、誰もいませんでした。そして最後にはネピア一匹だけが残ってしまい、はからずもネピアはうちの猫になりました。

 

そして、それでやっと、ネピアは思う存分にお母さんのおっぱいを独り占めして吸えるようになりました。幸せな時間がやってきました。ネピアはいつまでもいつまでもおっぱいを飲んで、これまでの分を取り返すようにどんどん大きくなりました。

 

1歳半頃までどんどん大きくなっていき、少し小柄なメインクーンというところまで成長しました。いつ撫ででも、ゴロゴロ言ってくれました。

 

●左が得意げなネピア、右がお母さんのキャンティ

 

私は犬や猫を主に診療する獣医師なので、自分の情報ネットワークを駆使して、何人かの整形外科専門医のところに、ネピアを連れて行きました。しかし、残念ながらネピアの後ろ足が自由に動くようにはなりませんでした。ネピアはキャリーケースに入れると、いつもひとことも発せず、おとなしく入っていました。(カッツはキャリーケースに入れると興奮して鳴き続け、暴れて時には脱糞もしましたけど。)