表題の左派メディアとは「The Hill」のことだ。

The Hillは、5大ネットワークなどの主流メディアの報道を好まないリベラル派のためのオルタナティブな政治専門メディアといった位置づけだ。
Hill(丘)とはCapitol Hill(首都の丘)、つまり政治の中心地であるワシントンの議会を指す。日本でいえば「永田町」といったところだろうか。

そのThe Hillが久しぶりにウクライナ批判の話題を扱った。

「久しぶりに」というのは、ここ数年の紆余曲折があって、どうも検閲がしかれていたようなのである。
23年中盤までのThe Hillの検閲問題については下記記事でしるしているので、興味ある人は確認してほしい。

 

2023-06-20

検閲とはウクライナ戦争、ワクチン、イスラエルのガザ虐殺に関してだ。


左からクリスタル・ボール、キム・アイヴァーセン、ケイティ・ハルパー。

この検閲のおかげでこの数年で上記の3人の女性アンカーが辞めたり、クビになった。

ちなみに3人のアンカー(ボール、アイヴァーソン、ハルパー)を追い出したあと、反イスラエルの言説を行ったかどで後任のブリアナ・ジョイ・グレイもクビになっている

グレイやハルパーがいた頃は若干ではあるがウクライナのネオナチ問題も扱っていた。
これは他の左派メディアでは見ることのない光景だった。
他のメディアではウクライナ批判は神を冒涜する行為に等しいため絶対に許されない。

以下に少しThe Hillのウクライナ批判の回を抽出する(全てではないはずだが)。
 

ハルパーの回
Katie Halper: What Media DOESN'T GET About The Nazi Issue In Ukraine
2022/03/27
https://www.youtube.com/watch?v=5dNKGfdKUOs

アイヴァ―ソンの回
Zelensky Speech With Nazi AZOV BATTALION Prompts Greek Lawmakers To WALK OUT
2022/04/12
https://www.youtube.com/watch?v=F0tAWaNEhU8

グレイの回
Jon Stewart, DOD Honor AZOV BATTALION NAZI At Disney World
2022/09/02
https://www.youtube.com/watch?v=-zoB_6c0cag

グレイの回
NYT Defends AZOV BATTALION Nazis, Says Media Coverage Of Swastika Patch Fuels 'RUSSIAN PROPAGANDA'
2023/06/07
https://www.youtube.com/watch?v=GVs22Cwb6go

グレイの回
NYT Covers For NAZIS? Azov Battalion APOLOGIST Piece Stuns Brie And Robby
2023/06/11
https://www.youtube.com/watch?v=jO48pstJa-w

グレイの回
NAZI Receives Standing Ovation At Zelensky Visit With Trudeau, Canadian Parliamentarian APOLOGIZES
2023/09/26
https://www.youtube.com/watch?v=mW_JSJFdGas

 

22年に戦争が始まった当初はハルパーやアイヴァーソンが少しネオナチ問題に触れたが、結局検閲の圧力で封殺され、それから1年半の間The Hillからアゾフやネオナチの話題が消えるかっこうとなった。
その間、ボールは沈黙を守っていたが、最終的に嫌気がさして辞めたのだと思われる。

その過程でハルパーは番組内で「イスラエルはアパルトヘイト国家」と発し、事実陳列罪でクビになり(10.7以前の話)、アイヴァーソンは追い出し部屋に入れられた状態になり出演機会が極端に減り、自主的に辞めた(アイヴァーソンはウクライナ問題に加えてワクチン問題にも言及していた)。

23年に入ってから彼女らの後任になったのがグレイだった。The Hillも前例を反省したのかウクライナのナチス問題についてグレイに比較的自由にしゃべらせていたようで、23年のあいだは何度も扱っている。
しかし10.7にイスラエルのガザ虐殺が始まり、我慢できなくなくなったグレイがイスラエル批判をしたことでクビになる。
以降はThe Hillからウクライナ批判もイスラエル批判も消えた。


ブリアナ・ジョイ・グレイ

私も上記のような数々の事件に嫌気がさしThe Hillを観なくなったので、その後は正確には何が起こっていたのかはわからないが、チャンネル内検索してもウクライナ・イスラエル批判の話題はないようなので、24年初頭くらいから今まで予定調和的な「お行儀の良い報道」が続いたのだろうと推察する。

◇◇◇◇◇◇

そんな経緯があるなかで久しぶりにThe Hillがウクライナ批判を行ったのが、今回紹介したい記事となる。
それは米欧がこの3年間、「陰謀論」「ロシアのプロパガンダ」としてきたストーリーだ。
以下に抄訳する。

 


▼Sadly, Trump is right on Ukraine 03/18/25 The Hill
https://thehill.com/opinion/5198022-ukraine-conflict-disinformation/
by Alan J. Kuperman(オピニオン)

私はトランプ大統領に同意することはめったにないが、彼の最近の物議を醸すウクライナに関する発言は、ほとんど真実だ。
彼らが馬鹿げているように見えるのは、欧米の視聴者が、10年以上にわたって、ウクライナに関する偽情報を与えられてきたからに過ぎない。
ロシアのプーチン大統領だけでなく、ウクライナ人とジョー・バイデン前大統領が、ウクライナでの戦争の勃発と永続化に大きな責任を負っている理由を明らかにする3つの重要なポイントについて、記録を正す時が来た

第一に、最近、圧倒的な法医学的証拠によって立証され、キエフの裁判所によっても確認されたように、2014年にロシアがクリミアを含むウクライナ南東部に最初に侵攻する引き金となったのは、ウクライナの右翼過激派の暴力だった。
当時、ウクライナには親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領がおり、彼は2010年に自由で公正な選挙で勝利し、ウクライナ南東部のロシア系住民からの強力な支持を得ていた。

  *訳者注:「圧倒的な法医学的証拠による立証」とはイヴァン・カチャノフスキー教授の「The Maidan Massacre in Ukraine https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-031-67121-0 」のこと

2013年、彼は、以前の計画だったヨーロッパではなく、ロシアとの経済協力を追求することを決定した。親欧米派の活動家たちは、首都のマイダン広場と政府庁舎を平和的に占拠することで対応したが、2014年2月中旬に大統領が最終的に大幅な譲歩を申し出、その後、彼らは撤退した。

ちょうどその時、広場を見下ろしていた右翼過激派が、ウクライナ警察と残っていた抗議行動参加者を撃ち始めた
警察は過激派に反撃し、過激派は警察が非武装のデモ参加者を殺害したと偽りの主張をした。
この表向きの政府による虐殺に憤慨したウクライナ人は、首都に押し寄せ、大統領を追放し、大統領は保護を求めてロシアに逃亡した。

プーチン大統領は、大統領が非民主的に打倒されたと感じているロシア系住民のために、クリミアに軍隊を配備し、南東ドンバス地域に武器を配備することで対応した。
この背景はロシアの侵攻を正当化するものではないが、マイダンでの事件が「挑発的ではなかった(unprovoked)」とは言い難い。

  *訳者注:米欧は「ロシアが突然いわれのない侵略(unprovoked invasion)を行った」とプロパガンダし続けてきた.

第二に、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの和平協定に違反し、NATOの軍事援助と加盟を求めることで、戦争の拡大に貢献した。
ミンスク停戦協定は、2014年に、前任者のペトロ・ポロシェンコ大統領の下で、南東部での戦闘を終わらせ、危機に瀕する兵士を保護するため交渉されていたにも関わらずだ。

ウクライナは、2015年末までにドンバスの限定的な政治的自治を保証することになっていたが、プーチンは、ウクライナがNATOに加盟したり、NATOの軍事基地として機能したりするのを防ぐのに十分だと考えていた。
残念ながら、ウクライナはその約束を果たすことを7年間拒否したのだ。

ゼレンスキーは2019年に、さらなる戦争を防ぐためにミンスク協定を最終的に実施するという約束で大統領選のキャンペーンを行ったほどだったが、選挙に勝った後、彼は約束を翻し、戦争のリスクを心配するよりも、ロシアに対して弱く見えることを懸念した。

ゼレンスキーは代わりにNATO諸国からの武器輸入を増やし、それがプーチンにとって我慢の限界となった。
そこで、2022年2月21日、ロシアはドンバスの独立を承認し、「平和維持」のためにそこに軍隊を配備し、ゼレンスキーにNATOの軍事支援と加盟の追求を放棄するよう要求したのだ。

ゼレンスキーが再び拒否すると、プーチンは2月24日に軍事攻勢を大幅に拡大した。意図的であろうとなかろうと、ゼレンスキーはロシアの侵略を誘発したが、だからといってモスクワのその後の戦争犯罪の言い訳にはならないのは明らかだ。

第三に、ジョー・バイデンもまた、戦争のエスカレーションと永続化に決定的な貢献をした。
2021年後半、プーチン大統領がウクライナ国境に軍隊を動員し、ミンスク合意の実施を要求したとき、ロシアがドンバスとクリミアの間に陸橋を形成するために侵攻することは明らかだと思われていた。

ウクライナがすでにアメリカの軍事援助に存亡依存していたことを考えると、もしバイデン大統領がゼレンスキーにプーチンの要求に従うよう主張していたら、停戦は実現していただろう
それどころか、バイデンは嘆かわしいことに決定をゼレンスキーに任せ、ロシアが侵攻した場合、米国は「迅速かつ断固として」対応すると約束した。
結果、ゼレンスキーはそれをプーチンに逆らうための青信号と読んだのだ。

もしトランプが大統領だったら、彼はおそらくそのような白紙の小切手を出さなかっただろうから、ゼレンスキーは戦争を避けるためにミンスク合意を実行する以外にほとんど選択肢がなかっただろう。
ゼレンスキーがまだ拒否し、ロシアを挑発していたとしても、トランプは和平交渉に対する拒否権を彼に与えなかっただろう。
しかし、バイデンは無謀にも「ウクライナなくして何もできない」と宣言して拒否権を与えた。

この誓約は、ウクライナが最終的に決定的な米国の軍事援助を期待して戦争を長引かせることを悲劇的に勇気づけることとなったが、バイデンはその後、核のエスカレーションを恐れて兵器の供給を拒否したのだ。
このように、バイデンはウクライナに誤った希望を抱かせ、過去2年間だけで何十万人もの死傷者を出した戦争を不必要に永続させた。
その間に前線はウクライナの領土の1パーセント未満しかシフトしていない

戦闘を終わらせるための取引の基本的な概要は、トランプとプーチンが今日電話で始めたように明らかだ。
ロシアはクリミアと南東部の他の地域を占領し続けるが、一方でウクライナの残りの地域はNATOに加盟できず、一部の西側諸国から安全保障を得ることになる。
悲しいことに、そのような計画は、バイデン大統領がゼレンスキーが停戦交渉することを軍事援助の条件にしていれば、少なくとも2年前に達成できたはずだ。

さらに悲劇的なことに、戦争後にどのような和平協定が成立しようとも、ゼレンスキーが政治的野心と底なしのアメリカの支援に対する純粋な期待のために愚かにも放棄したミンスク合意よりも、ウクライナにとって悪いものになるだろう


上記は、若干の認識の間違いと、時期的な勘違いはあるが、概ね私が知る事実と相違ない。

それと、表題にもある「ウ露戦争についてトランプは正しい」というのは、まあ首を傾げるというか、トランプ政権はバカ揃いであるためトンチンカンなことも言っているので、「正しい」とは言い切れない。
もちろんバイデンよりはマシだが。
とにかく、功罪併せ持つ状況であっても、トランプがウ露戦争におけるDSのナラティブを打破したことは事実だ。

今日はここまで。

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