ちょっと体調悪くて、明日休む予定です。
すごく大切なことなので、言葉をわかりやすく書きます。
転移は、基本的には、全身にがん細胞が存在する状態です。
CTで見えているものだけで治療法を考える医師、患者さんは、根本から間違っています。
全身にがんがあるからこその、全身薬物療法なんです。
薬物療法をする理由は2つ
見えているがんの縮小
見えていないがんが出てこないように抑える
だから、転移に対して安易に局所治療はしてはいけません。
例外として、大腸がんのように、大腸がんの患者さん全員がそうではありませんが、基本的に他のがんよりゆっくりと再発転移するがんの場合は、
薬物療法の後に残った残存病変に対して、局所治療をする価値が出てきます
逆に、膵がん、胃がんのような、かなりの速度で増悪する癌腫に対して
画像で1個、2個しか見えていないからといって局所治療をすると、
局所治療による免疫力の低下の影響で
逆に、その治療の後に、あっという間にがんが全身に再発することはしばしば経験されます。
局所治療の適応を考える場合は
1)がんの種類
全身的な顔つきのがんに対して局所治療をするタイミングは
極めて限定的でしょう
2)治療を検討している臓器
(命に影響する臓器でそこを先に制御すれば生存が延長するか?
癌性症状をきたしていてそれを治療すればQOLが改善するか?)
3)がんの顔つき
同じ【大腸がん】と病名がついても
病気のスピードは全然違います
あまりに速度の速いがんに対して局所治療することは
潜んでいる見えないがんを放置することになります
逆に上記のごとく、ゆっくりした顔つきの場合は
局所治療の価値があがります
4)残された治療薬の数
やはり、転移は全身がん
基本は全身薬物治療
ただ、例えば乳がんでエンハーツのような
超希望を持てる薬剤が残ってる場合は
間違いなく局所治療を考えずエンハーツをするべk
逆に、S1しか残っていないところまで消化器癌で治療を
頑張り続けてきた場合は、S1単剤で肝転移が縮小する可能性は
極めてゼロに近いです。
だからこそ、残された薬剤がなにか
その期待度を、理解したうえで、それを上回る価値があれば
積極的に局所治療を検討する価値がでてきます
当科では、今は乳がんの肝転移の患者さんを多く治療していますが、
乳がんは、他の癌腫よりもより全身的な病気です
それでも局所治療(カテ)をしている理由はシンプル
残された薬剤がほとんどないこと
そして、肝臓が命に直結するからです。
肝臓を制御すれば、数ヶ月、数年先の新規薬剤の登場に
間に合う可能性があります。
肝転移は、多くの癌腫で、間違いなく死因の筆頭になります。
最終的に肝不全死します
他にも、胸膜播種、腹膜播種、悪液質、縦隔肺門リンパ節転移が
死因に直結します。
がんの後半戦で患者さんが考えるべきことは?
1つは、できる限り長生きすること
もう1つは、長生きするなら、抗がん剤づけでぼろぼろになるのではなく穏やかに残りの時間を過ごすことでしょう。
僕も今も自分で緩和の患者さんをみていますが、
緩和は内科治療の延長です。
ちょっとした、患者さんの病状変化に対して
ほんの少しの投薬調整するだけで
そして、主治医と看護師と患者さん本人の意思の疎通がしっかりしていれば
月単位で長生きできます。
そう、人間は、長生きしたいんです。
そんな時、後半戦で、肝転移で肝臓がパンパン。
肺には数mmの転移が10個くらい。
一般的な腫瘍内科医は、肝臓にも肺にも転移があるから
肝臓への局所治療は意味がないといいます。
僕は違います。
肺転移が直接の死因で亡くなるケースは極めて稀。
ほとんどの方は肝転移で死亡します。
当然、有望な薬剤があれば、転移ですので薬物療法一択です。
でも、後半戦では、肝転移を縮小できるパワーのある薬って、
まずないんです。
ただ、保険で使える。
その理由だけで、効果の乏しく、副作用の強い薬を使う。
それは違うんじゃないか。
後半戦ほど、治療戦略が難しいものはありません。
前半戦は、ガイドライン通り有望な薬を順番に使えばいい
後半戦は、皆さんの再発形式が全然違う。
ようは、長生きしてほしいんです。
局所治療として、僕は長年、肝動注や塞栓術、その他の肺やリンパ節、一部の播種に対して動注をしていますが、
そのような患者さんには、すでに、主治医が心の中でどうせ効かないだろう、という薬の提案しかないんです。
でも、その緊迫した状態を乗り越え、肝転移でいえば、肝転移が縮小し、肝機能が良くなれば、当然それだけで長生きできますし
その結果、肝機能が悪いとエントリーできない臨床試験や治験にも
入れる可能性がでてきます。
だから、馬鹿の一つ覚えのように
複数臓器に転移があるから、カテの適応ではない、というのではなく
確かにカテの適応外の症例は多いのですが、
実際にカテをした方がいい患者さんは、カテをしている僕らしかわかりません。
だからこそ、今の治療に手詰まりで、カテが気になる後半戦の患者さんには、一度僕のところに相談に来て欲しいんです。
先週も、適応にはなりませんでしたが、電話でセカンドオピニオンをさせていただきました。
迷うくらいなら、受診してください。
受診してよかった、これが僕の外来にこられた多くの患者さんが残される言葉です