当科では、もう何年も前から、ガイドワイヤーを必要時しか使わず、ボールペンの芯ほどの太さのマイクロカテーテルと言われる、超柔らかくて細いカテを用いて手技を実施している。

一般的に、このマイクロカテーテルと言われる細いカテは、長さがだいたい1.5mくらい(いろんなタイプがあります)。先端はまっすぐだったり、少し曲ったりと形状がついていますが、それ以外は、ほんとただの、ほっそいチューブです。

通常、マイクロカテーテルは柔らかすぎるので、芯となるマイクロガイドワイヤーなる、針金のような長くて、手元の力が先端に伝わるものをカテの中に通して、まずガイドワイヤーを目的の血管に入れてから、その後にワイヤーに被せるようにカテを押し込んでいきます。

これが基本です。
若い先生は絶対にこの基本、オーバーザワイヤーと言われるこの基本をしっかりとマスターしてくださいね。

ただ、うちはいろんな臓器の治療をやっています。臓器によっては、治療血管が非常に多くなったり、複雑な分岐でこの基本形だと入らないこともある。

ワイヤーが入っても、カーブが強すぎて、カテーテルが追従せずに、カテを押し込む際にワイヤーごと目的結果から抜けてしまうこともある。

僕は、基本的に、ワイヤーはほとんど使いません。
先端にカーブのついたナイロン性の細いマイクロカテーテル。これ、1.5m先に微妙に力をかけて、血管の中でカテの先端を回したり前後させて、カテーテルだけで入れてしまうことが多いです。
これによって、ワイヤー操作の部分が全て時間カットできますので、半分以下、いや場合によっては数秒でカテーテルを挿入できます。

これは、修行が必要でした。とにかくナイロンの柔らかいチューブの先端を血管の中で自由に動かすのは指先の微妙な感覚と、逆に指先の動きと1.5m先のカテ先の動きの時間的ギャップを読んで手元を操作する必要があり、恐らく最初の5年は、満足のいく操作にはいたりませんでした。ただ、今ではほとんどの血管はワイヤーなしで入りますし、むしろワイヤーは硬いので、ワイヤー操作で血管を痛めることもなくするっと、カテだけで入れてしまうと、正直めちゃくちゃ安全にかつ素早くカテが入ります。

ですので、僕が手技中に3分以上、同じ血管を狙って入らない時は、難しい、もしくは、ワイヤーを使わないと入らないタイプの血管で、だいたいはその後ワイヤーを出すのですが苦労します。


5年ほど前から、そんな苦労をしなくても、誰もが手元でカテの先端を動かせるやつが販売されました。まだまだ改良の余地はあると思いますし、僕としては上記の通常のカテをワイヤーなしで扱う方が得意なのですが、これもまた有用で、特に骨盤領域で使っています。

どんなやつかというと




途中







手元にダイヤルがあって、それを動かすことで先端をこのように動かせます。
最初は、これはすごい!と思いました。
僕が使っていた従来のカテは、先端のカーブの形状は固定されていて、それをなんとか血管のゴールに向ける努力を1.5m手前から念じるように動かす作業でしたから(それでも動くけど)

ただ、実際に患者さんに使ってみると、
カーブの曲がり方が大きすぎる
こんなに細いカテーテルを動かすのだから精密性がまだ今ひとつで、自分の予想に反した動き方をする
この機能を持っているが故にカテーテルが太く、硬くなっている

人間の血管って、蛇行もすれば急カーブもします。
ワンパターンな曲がり方ではうまく入りません。

だから、今では、従来型のカテも、この変わった(笑)カテも、どちらもやはりワイヤーをほぼ使わないのですが、適材適所で使い分けて使用しています。

以前、若い先生が研修に来てた時は、ワイヤーを使わない僕の手技をみて、速い、すごい、と驚いていましたが、基本はワイヤーありきでカテを覚えて欲しいので、その時はそっと、ワイヤーを多めに使っています。


僕の信条ですが、入れたいゴール(血管)は1つ、そこに無駄なくカテ先を持っていけばいい、そのために、無駄なカテの動き、ワイヤーの出し入れは極力減らすように。そう若い先生には指導しています。

まあ、もっぱら、勉強に来てくれた先生は外部の先生で、皆さんの治療は僕ひとりでやっています。

カテの技術は高くて当たり前。
なぜなら、最高の状態で最高の場所から抗がん剤を流して、初めて本当の最高の動注の効果が得られるわけで。技術と、どんな薬剤をどうやってつかうかという腫瘍内科ちっくな知識と、両方必要な治療だから、なかなかこの治療の後継者がいなくて、それが長年の悩みですね。

今週、来週と学会が続くので、外来ベースで仕事しています。初診の患者さんはこういう時に時間をかけて診させて欲しいので、関心がある方は、病診連携室にご相談ください(ホームページをみてください)

今日はここまでです。