リベンジならず
あれは昨年(2019年)5月下旬の事じゃった。
わしゃあ長野県の高ボッチ高原へ行くつもりで車を走らせていたんじゃ。
高ボッチは風景写真の愛好者ならずとも、アウトドア志向者なら知らないものはいないぐらい有名なビュースポットじゃな。
東を望めば諏訪湖越しの富士山、西方には雪を抱いた北アルプスを望むことが出来るという絶好の高原じゃ。
その高原への登り口に差し掛かったときじゃった。
道路端に麦畑が広がっていたのじゃが、その脇にヒナゲシが咲き乱れている場所があってのう。
ヒナゲシと麦畑の取り合わせがワシの撮影意欲を駆り立て、思わず車を停めようとしたんじゃよ。
ところがそこには何人かの先客様がお出でになっていてのう。盛んにカメラをのぞき込んでいらっしゃるんじゃ。
しかもその中の一人は有名なプロカメラマンでのう。盛んに他の人たちを指導しておられる様子なのじゃ。
はは~ん!
こりゃあ撮影会を開いているんじゃな。
そんなところへワシのようなよそ者がのこのこと首突っ込んで行ったのでははた迷惑じゃわいのう。
明日の帰りがけにゆっくり撮ればいいんじゃ。
と、その日はそのまま通り過ぎて高ボッチへ登って行ったんじゃよ。
さてあくる日、高原での撮影を終えて、またあの麦畑へ戻ってきた。
ところが麦がないんじゃよ!
一夜にして麦はきれいに刈り取られ、道端にはヒナゲシだけがあざ笑うかのように咲き誇っていたのじゃ
。
(2019年5月撮影)
まさか!
と目を疑ったが、ないものはない。
すごすごとそのまま帰って行ったというわけじゃ。
今日はそのリベンジのための高ボッチ行きじゃわい。
麦の収穫にはまだ早いことは承知しているのじゃが、果たして今年もあの場所で麦を作っているのか、はたまた道端にヒナゲシが咲いているのか・・・。
ちょいと心配になって、暇つぶしに覗きに来たのじゃよ。
春は過ぎようとしているが、山にはちょっぴり雪が残っている。
信州はいつ来ても和むのう。
などと鼻歌を歌いながら、くだんの畑へ通りかかると・・・、
な、何と!
ヒナゲシがない!
今年はヒナゲシの代わりに別の植物が植えてあるではないかい。
麦は収穫には早いが健在じゃったのにのう。
ヒナゲシあっての麦畑じゃわい。
これ単品じゃあ何ともならないぞえ。
しかしこれが現実じゃ。あきらめるしかないわい。
すごすごと高ボッチへの道をたどって行ったのでありました。



