先日、「飛び込み営業」なんていうハードな仕事を
している女のコが、こんなことを言っていました。
「最近は、どこの会社も不況だから、モノを買うという
需要がないので、今月の売り上げは最低で、自分は
それなりに売っているのに、怒られるのは理不尽だ。」
確かに、今はどの会社も予算削減の嵐。
身近なところでは、とおる氏がリストラされましたし、
僕が担当させていただいている、ある番組にいたっては、
あまりにも番組予算が減りすぎて、とうとう「今までは
税別で払っていましたが、来月からは税込み価格に
してください」と、要するにギャラを5%カットされるという
現象まで起こってきています。
僕のギャラが少し減るぐらいなら、まだ我慢できますが、
一番深刻なのは、番組自体の予算が大幅に減ること。
今までできていたことができなくなり、テレビ局としては
番組の質よりも売り上げが重視される傾向にあるため、
通販番組や放送外収入が見込める番組が高く評価され、
単純に視聴者を楽しませるような番組が「お荷物」として
扱われかねないのが、今の現状です。
そこで!
今日の『チダイズム』は、いつもの変人丸出しのネタを
お送りするのではなく、今の日本経済について徹底討論!
シンクタンク系経済研究者のK氏、某大学院経済学の
スペシャリストM氏を招いて、夜の9時から朝の5時まで、
なんと、ノンストップで日本の経済を語ってきました!
ただし、場所は「メイドダーツバー」で。
お二人とも、真面目な経済研究されている方々なので、
メイドさんがいる店に来たのは、これが初めてということで、
とっても目を輝かせていたんですが、簡単にメイドカフェを
紹介した後、展開されたのは、超真面目な話でした。
僕:「っつーわけで、今、世の中的には、けっこう不景気で
テレビ業界も、かなり大変なことになっているんですけど、
そもそも、なぜこうなっちゃったんでしょうか?」
M氏:「やっぱり広告業界が不況に陥った一番の原因は、
インターネット広告料の安さが、価格破壊を起こしていると
いうことに尽きると思いますね。テレビ局は電波料を払って
放送しているので、どうしても広告料は高くなります。
でも、インターネットの場合は、ほとんどノーコストで
広告スペースを提供できるので、自動的に価格が安くなり、
企業もインターネット上で広告展開するようになりました。」
K氏:「国に支払う電波料が安くなれば、広告料が低下し、
再びテレビで広告を出す企業は増えるかもしれません。
テレビ局が赤字に転落している今を考えると、もしかすると、
十数年後に、テレビ番組がケーブルテレビのように課金制に
なる可能性もあると思います。」
僕:「ってことは、日本テレビやフジテレビを見るのにも
お金がかかるっていうことですか? イヤですね、それ!」
M氏:「NHKに1ヶ月1300円ぐらい払っているとすれば、
民報各社が1ヶ月に100円ずつ徴収しても、ほとんどの人が
契約する可能性があります。いろいろ問題はありますが。」
K氏:「単純にNHKが優遇されすぎているというのも
問題だと思うんですけどね。ただ、この世からテレビが
なくなることはないと思います。共通の話題がなくなるし、
テレビの需要はなくなりませんよ。」
僕:「でも、僕のギャラは着々と減っていくと思うんですが、
こういう場合には、どうしたらいいんでしょうか?」
K氏:「実は、非常に興味深いデータがあるんですよ。
これは吉本興業の中期経営戦略についての資料ですが、
2006年はテレビに大きな比重を置いていたんですが、
2008年には、Yahoo!動画などを使ったインターネットなど、
テレビの比重は半分ぐらいに縮小されているんです。
もしかすると、ちだいさんもテレビやラジオだけに仕事を
偏らせないというのがポイントになるかもしれませんね。」
M氏:「これからは、お笑い芸人やアーティストのスタイルも
変わってきますよね。既に音楽業界では、アメリカなどで
そういう動きが始まりつつあるんですが・・・。」
僕:「どういう動きなんでしょうか、それは?」
K氏:「インターネット上で、それほど高音質ではない
楽曲を無料で配信して、より多くの人たちに聴いてもらい、
ライブやコンサートに足を運んでもらい、そこで収益を
上げるというビジネスモデルです。」
M氏:「より高音質な音楽を聴きたい人や、ネットを見て
ファンになった人は、ちゃんとCDを買うので、ネット上では
高音質で流さないというのもポイントですね。」
僕:「KICK THE CAN CREWだったKREVAさんが、
YOU TUBEで自分のチャンネルを持っていますけど、
そういうことですかね?」
K氏:「そうですね。あまり知られていないんですが、
KREVAさんのビジネスモデルが日本で成功すれば、
今後、同じような展開をするアーティストが続々と
出てくる可能性はあると思います。」
僕:「そういえば、CDも全然売れていないんですけど、
音楽業界も、今、けっこうヤバいことになっていますよね?
個人的には、CDシングル1枚1200円って、めちゃめちゃ
高いと思うんですよね。買わなくないですか?」
M氏:「確かに、昔はCDを買ったけど、今は買いませんね。
一番売れていた頃って、なぜか大量にCDを持っている
友達とかいましたよね?」
僕:「あー、いたいた! やっぱりだんだんCDの値段が
高くなって、1200円だの1500円だの言っているのが
一番悪いんじゃないですか? いっそのこと500円とかで
売るようにしたら、もっと売れるんじゃないですかね?」
M氏:「500円にしても、変わらないかもしれませんね。
音楽を聴くだけだったら、今、YOU TUBEを見てしまえば、
それほど高音質でなくても、無料で聴くことができます。
音楽そのものの需要は減っているわけではないけれど、
音楽にお金を払うという感覚が失われたかもしれません。」
K氏:「実は、音楽にお金を払わなくなった一番の原因は、
携帯電話にあるのではないかと分析しているんですよ。」
僕:「・・・と言いますと?」
K氏:「ちょうど今、20代~30代の生活パターンと消費を
分析して論文を書いているところなんですが、私たちの
生活における『通信費』の割合が、かなり高いんです。
昔はシングルやアルバムを含めて1万円ぐらいCDを
買っていたとしたら、今はそれが携帯電話の料金です。
CDにお金をかける余裕がなくなってしまったんです。」
M氏:「CDが売れなくても、携帯電話でのダウンロードは
増えていると思います。音楽そのものがなくなっている
わけではなくて、音楽の入手方法が分散しているんです。」
K氏:「CDの売り上げを伸ばすことだけを考えるなら、
全員がウィルコムのようなものを使えばいいんですよ。
普通に考えれば、明らかにPHSなどを利用した方が
安いのに、料金が高い携帯電話が主流になってますよね。」
僕:「でも、みんな携帯電話を手放しませんよね?」
M氏:「これがいわゆる『プラットホーム理論』です。」
僕:「人の集まるところにビジネスが成り立ち、今度は、
そこを経由しないとビジネスができなくなってしまうって
いうのが、いわゆる『プラットホーム理論』ですよね?」
K氏:「一般的に知られている例が、ニンテンドウDSです。
『みんなが持っているから自分も持つ』という感じで普及し、
たくさんの人が持っているから、ゲームソフトを開発する
会社も、ニンテンドウDS用にソフトを開発しないと売れなく
なってしまう。つまり、自動的にニンテンドウDSを介した
ビジネスばかりになっていくという現象ですね。」
僕:「カワイイ女のコのいるところに男たちが群がり、
もはやカワイイ女のコなしでは、生活していけなくなるという
『メイドカフェ』に似たような理論ですよね。」
M氏:「似てないですね。」
K氏:「似てないと思います。」
僕:「そうですか。じゃあ、そろそろ結論に行きたいんですが、
まず、テレビ業界が生き残るには、どうしたらいいでしょう?」
K氏:「インターネットとテレビの決定的な違いは、
インターネットは『個のメディア』であるのに対して、
テレビは『家族全員で楽しめるメディア』だと思います。
いかに家族でテレビを見せるか。これがテレビ業界を
発展させる、ひとつのカギになると思います。」
M氏:「あとは、過去に放送したアーカイブをネット上で
見られるようにして、そこに広告をつけるなどといった
インターネットを使った戦略(フジテレビや日本テレビは
既に始めていますが。)を成功させることもポイントです。
ここで上がった収益が、しっかりと制作費に還元されれば、
またテレビは面白くなるんじゃないでしょうか。」
K氏:「いずれにしても、テレビ業界は新聞業界と違って
経営を建て直すアイディアは、たくさんあると思います。」
M氏:「あとは、テレビ業界こそ格差社会と言われて
いますよね。このままだと制作会社や下請け会社にいる
優秀なクリエイターは流出します。お金の分配が適正に
行われない限り、テレビを健全に運営していくのは困難に
なっていくのではないでしょうか。」
僕:「おぉぉっ! 日本経済を分析する人たちは、そこまで
テレビ業界を見ていたんですね! ちょっと感動しました!」
そんなわけで、今日はとても難しい話になってしましましたが、
このブログは、テレビ局やラジオ局などの関係者の方々も
読んでいるブログなので、たまには、こういうアカデミックな
話をしてみるのも、いいんじゃないかと思いました。
さて、明日は日本の経済政策について語り合います。
今日は業界関係者向けにお届けしてしまいましたが、
明日は、一般の皆様にもお楽しみいただけると思います。
どうか、よろしくお願いします。
