今月の金曜日は『国際ロマンス詐欺の誤認識』シリーズでお送りします。

 

 国際ロマンス詐欺の被害や被害未遂に関するブログ記事を書く方がアメブロでも増えました。そんな中で、犯人たちが組織犯罪者であると認識している人もいれば、いまだに単独犯だと信じている人もいます。

 

 もちろん、体験を書かれている被害者の方や、詐欺だと感づいてどうなるか話を続けているブロガーの方の多くにとっては、一対一のコミュニケーションなので自然と『相手は一人』という感覚を持ちます。それは自然なことです。特に相手を『好き』になってしまったり、そこまで行ってない場合でもある程度相手に敬意を示している場合、どうしても「一人の人」として見たい気持ちは理解できます。しかし、現実は80%を超える詐欺師たちは組織犯罪集団であるということです。詐欺師が電話やチャットで甘い言葉をささやいているとき、被害者は幸せな気分にさせられているかもしれませんが、画面の向こうでは複数の犯人たちが笑いながら『この顧客は本気で金を送ってくるぞ』と言っているでしょう。

 

 10年以上前はナイジェリアやガーナなどのネットカフェで犯行に及ぶ単独犯や小数の不良青年グループによる組織されていない犯罪もありました。しかしテクノロジーが発達し、ネットを使うツールが増える中で犯罪者の組織のかたちも変化してきています。今やただの不良青年たちの集まりではありません。

 

 英国の警察の詐欺犯罪に対応するAction Fraudに関係するScam Analyticsによる調査、2015年の『SCAMMERS & ONLINE DATING FRAUD(オンライン恋愛詐欺と詐欺師たちについての報告)』によると、『現在の詐欺師たちはもはや西アフリカのネットカフェに座って手作業でメッセージを打ち込む一匹狼たちではなく、もっと垢抜けしたダークウェブの『ビジネス』になっており、疑うことを知らない被害者たちから何百万ものお金を騙し取る高い技術力を持ったサイバー犯罪者組織になっている』そうです。

 

 「I Go Chop Your Dollar」というナイジェリアのポピュラーソングは、「俺はお前の金を剥ぎ取る お前の金をもらって消える 419詐欺はただのゲームさ、俺が勝ちでお前が負け」という内容で詐欺を働くことを魅力的なゲームのようにうたっています。この歌がヒットした頃は一人で働いていた詐欺師たちが、詐欺で裕福になった親方が束ねて組織化しています。また、この種の犯罪はインフラの整ったインドなどのコールセンターで偽装された組織犯罪も登場し、ますますハイテク化しています。

 

 

 

 

 

 こちらのビデオは、ジム・ブラウニングを名乗るハッカーがインドのコールセンターに侵入して傍受した録音やCCTV映像を公開したものでその貴重な情報をBBCに提供したものです。ジム・ブラウニング氏は詐欺師のオフィスの様子や電話などをいくつもハッキングしてビデオをYoutubeでシェアしています。このビデオがきっかけとなり、インドの詐欺団の大物が拘置される結果にもなりました。

 

 詐欺が事業として行われているので、偽のコールセンターとしてパソコンの故障の対応をしたり、儲け話を客に持ち込んだりマネーロンダリングを働いたりします。そのような中で恋愛詐欺も行われており、ありとあらゆる『収益』につながる詐欺行為が組織的に実行されています。インドの国際ロマンス詐欺団が逮捕されたニュースも報道されています。もちろんこの種の詐欺団がいるのはアフリカとインドだけではありません。フィリピン、ロシア、中国、東南アジア諸国などもロマンス詐欺の拠点になっています。東南アジアでの逮捕ニュースなどから、東南アジアの場合ナイジェリアなどの西アフリカからの留学生ビザでやってきた男性が現地人ガールフレンドを巻き込んでの犯行というケースが見られ、警察の手入れによって逮捕されています。