『未知人物の音声から顔の推定 -性差の影響-』 粟津 俊二

日本心理学会第75回大会

 

これは2011年の日本心理学会の学会で発表された研究結果の報告ですが、なかなか興味深い結果が出ていました。

 

実験の被験者は15人の女子大学生と8人の男子大学生。

 

実験方法は、男性の声・女性の声それぞれで(1)昔話と(2)普通の会話の朗読を被験者に聞かせる。

 

そのあと被験者が複数の写真を見せられ、声の人がどの写真の人であるかを正確に推定できるかということを調べたものです。

 

 

 

結果は、

女性の被験者: 

正解率が高かったのは、女性の声の昔話と普通の会話文で、いずれも写真の人と声を言い当てた。

しかし男性の声を聴いた場合、昔話の朗読は正解率が高かったのに対し、普通の会話文は写真の人と声をマッチングさせる正解率が低かった。

 

男性の被験者: 

朗読が昔話でも普通の会話文でも、声が男性でも女性でも有意差がなく、女性に比べて男性が朗読者の写真と声を言い当てる正解率は低かった。

 

男女共通して言えることが、『異性による会話文の朗読の声から写真を言い当てる正解率が低い』ということです。

 

このことを国際ロマンス詐欺に関連づけるなら、

 

詐欺師は自分と人種や体形や文化が異なる人物に成りすまして犯行を行ないます。

 

そして、被害者は相手役の詐欺師『ビデオチャットをした』『電話で話をした』といった相手の声を聴く機会が提供されると相手を信じてしまう場合が少なくありません。

 

電話に聞こえてくる声や、ビデオチャットの口パクに合わせて聞こえてくるアテレコの声が写真の人物と異なっていても、被害者が違和感を感じない可能性があるということです。

 

時々、詐欺師と電話やビデオチャットした被害者の方から「電話の声が顔のイメージと合っていた」と言われることがあります。しかし写真を見ながら本人と思って聞いた声を疑わないなら、実際には写真の主と声の主が違っていても『本人の声』と信じてしまってもおかしくないのですね。

 

こちらの動画は、アレクセイ・ルシニコフさんというロシア人(写真盗用被害者)のビデオにアフリカの詐欺師(アフリカ訛り)が声を当てている動画です。そういわれてみると違和感感じるでしょうけれど、予備情報なしに観たら、この人がしゃべっているように見えますか?