これは2015年3月に書いたブログ記事を編集・修正して再公開するものです。テクノロジーの変化は非常に急速です。また、ユーザーを守るという視点から、GoogleやYahoo、Microsoftなどのフリーメールもメールヘッダーに発信元を表示させなくなっています。事情が変化してきている今、2015年に書いた記事をそのまま置いておくよりは、編集して現在(2021年)の現状に合わせる必要があると判断しました。被害に遭った方、遭っていると感じた方がGoogleで検索かけたときに、必ずしも最新の記事を見つけるとは限らないからです。古い記事に載せられていた内容に沿って判断していたら思わぬ方向にいってしまうことがあります。例えばメールの送り手の発信元を調べることもそうです。
【Q3】 受け取ったメールの送り手がどこからメールを発信しているのかわかる方法はありますか?
【答え】 メールのヘッダーの分析で発信元のメールの経路を知ることができますが、相手の位置を正確に特定できる手段ではありません。
メールのヘッダーからメールの経路を確認する方法は決して難しいものではありません。ご使用のメールソフトやWebメールのプロバイダによって方法は様々ですので、メールソフトやプロバイダのガイドを参照してください。こちらも参考になります。
ヘッダー全体からメールの経路を確認する - Gmail ヘルプ (google.com)
しかし、大きな落とし穴があります。
国際ロマンス詐欺や、419詐欺の犯人たちが使うメールはYahooやGmailが多いですが、これらのフリーメールで送られてきたメールのヘッダーを分析してもYahooやGoogleの位置が出てくるだけです! 犯人の居場所を検出できるわけではありません。検出されたアメリカの場所が、実際にはYahooやGoogleのサーバーの位置であるという知識を持たずに、『発信がアメリカ合衆国である』という事実だけを見て『相手がアメリカからメールを出している』と信じてしまう危険性が存在しています。それを見分ける知識を持たないのであれば、ヘッダー分析は誤った判断に繋がる可能性があります!
仮に、送り手の使っているメールのプロバイダが発信者の位置を明らかにするように設定しているとしても、必ずしも正しい発信元所在地がわかるわけではありません。所在地といっても家とか町とか細かいところまで判るわけではなく、100キロくらい離れたところが所在地として出てくることもありますし、プロバイダーの所在地である別の国が出てくることも珍しくはありません。
自称アメリカ人から届いたメールがアメリカの都市名から発信されていても、それがフリーメールのサーバーの所在地だったり、プロキシサーバーの所在地だったりするので『疑った自分が悪かったのだろうか、やはり相手は本当にアメリカにいるのだろうか』などと考え直す必要はありません。『おかしいな』と思ったら、自分の常識と感覚を信じてください。
【Q4】 国際ロマンス詐欺師に仕返しをしてやりたい、何か一発食らわせて、ギャフンと言わせたい。何ができますか?
【答え】 一番の仕返しは、相手をブロックして音信不通になることです。何故なら、詐欺団は有望カモを失うからです。現在ではほとんどの国際ロマンス詐欺犯は組織犯罪者です。一人の人だとみなしてからかったり突込みを入れても、相手に打撃はありません!
突込みを入れることは、相手を教育訓練して効果的な詐欺師に育てることに貢献します。
推理ショーは逆効果。相手はギャフンとはゆきません!
あなたは明日の巧妙な詐欺師を育成したいですか?
相手の下手な英語や、見え見えの嘘、矛盾だらけの話等、突っ込みを入れたいことがたくさんあるので、何か一言言ってやりたいと思う気持ちはとてもよく判ります。相手が本当にたった一人であなたを狙っているのだとしたら、そこでバレて推理ショーやられたら、もしかしするとギャフンとくるかもしれません。しかし現実は、相手が組織犯罪者で、仕事としてやっているということです。
間違いやおかしな点を指摘することは、相手を教育する結果になり、次の犯行でもっと効果的にできるように訓練させる結果になります。
相手をギャフンと言わせる(と思い込んでいる)一言は、言っても効果がないどころか相手のスキルを上げることに貢献してしまいます。
例えば、相手が日系人の『タロウ・ヒロシ』を名乗っていたとする。この名前がおかしいことを指摘して『だからあなたが詐欺だとわかった』と説明したら、詐欺師はどう考えるか想像してください。『間違った日本人の名前使ってしまった、負けた~ギャフン』で再起不能になると本気で思いますか? ありえないです。あなたが詐欺師の立場だったらどうします? 『正しい名前』の付け方を覚えて、次は『ヤマダ・タロウ』という名前を使って別のカモを探すのではないでしょうか?


