Facebookで明らかにナイジェリア詐欺師の成りすましと思われる人物とお友達になっている方にお声おかけしたとき、かなりの人数の方が相手とほとんど交流もなかったとのお話を伺いました。

お友達の数が3000人を超える方だと、実際に不審者が友達に入っていなくとも、3000人すべてと交流持っているわけでもないですよね。

何もなければ問題ないかというと、実はそうでもないのです。自分に危害を加えてこない不審人物が何をやってるのかというと、先に書いたお話と全く同じことが起こり得るのです。

同じストーリーを、今度は何も起きていない、ただAさんの友達リストにBがぶら下がっているだけという筋書きで書いてみます。


 登場人物の名前は登場順にアルファベット順の名前にしています。実在の被害者の方々のモデル等を示す意図は全くございません。実際に目にした事柄をもとに作ったフィクションです。

 東京で自営業を営むアユミさん、企業経営者として忙しい毎日を過ごしています。既婚で子供も上は社会人、下も大学生。友達に勧められたFacebookも、名刺交換代わりに仕事関係で知り合った人や、ご近所さんや、海外旅行で知り合った方や、フェースブックの国際交流グループに参加してそこで知り合った人やら、さまざまです。友達数とうとう3000人突破。バートというアメリカ人の軍人が友達リクエストをしてきましたが、忙しいのでとにかく国際交流グループ関連の人だと思い、そのまま承認。でも一度も会話を交わしたことはありません。そんな人たくさん友達リストにいるので、アユミさんが気に掛けることではありませんでした。

 バートはアユミさんの友達のリストを探っています。そして、カルロスという日系ブラジル人の友人がいるのに気が付きます。彼は奥さんが日本人で、フェースブックの写真はほとんど奥さんと子供と一緒の写真ばかり。しかし、2枚ほど、親戚の白人の子をだっこした写真がありました。そのアルバムの一連の写真を見れば、、親戚同志で子供をだっこしあうようなことをしていたことは明らかです。ここで、バートはカルロスとその親戚の子が写っている写真をダウンロードします。そしてアユミやカルロスとは直接つながりのない、アユミの
友達の友達のそのまた友達であるデビーにエドという名前の現在アフガニスタンに派兵されている米国陸軍の少佐としてコンタクトをとります。デビーはエドが休暇をとってデビーのいるオーストラリアまで来てくれるというので、エドに言われた通りに休暇申請の申し込みをして、飛行機代などの諸費用と休暇代として1000ドルを支払いました。

さて、カルロスの妻のフミコは、たまたま国際結婚したばかりの友達の相談にのっていました。そして、その友人の悩みが、夫がジャパン・キューピッドという出会い系サイトに登録しているらしいという話だったのでした。フミコも、「うちはまさかね~」と思いながら、友人から聞いた方法で写真をGoogle検索してみると、なんとカルロスの名前で複数の出会い系サイトに登録されていました。しかも苗字はスズキではなく、北米や南米の苗字です。フミコはカルロスが浮気をしていると思い、彼が仕事から帰ると問い詰めます。カルロスは何とか妻に自分の潔白を説明できたものの、その後何度も女性からの問い合わせがメール、SNSのメッセージで続きます。写真が盗用されていることを知るのはもっと後の話です。

 さて、バートはアユミの友人のジョウジが金回りがよさそうでしかもまじめそうな人柄であることをアユミのフェースブックへのコメントで知っています。そこで、ジョウジには仲間のヘンリーという男がコンタクトをとります。何でも、ジョウジと同じ姓のタナカという男性が多額の預金を銀行に残してガーナで熱病にかかって亡くなり、彼の資産をガーナの悪い銀行員から取られてしまう前にその男性の親族としてお金を受け取るのを手伝ってほしいと言ってきます。


 バートはアユミの友人リストをほかの詐欺師仲間にも提供します。すると、今度はアユミの
友人の友人の一人、イチロウがセクシーな女性、ジェーンから『お友達になりたい』とメッセージを受け取ります。独身のイチロウは、迷わず友達申請を受け入れ、メアドを交換すると、SNSにはないもっときれいな写真が送られてきて、自分はスーダンの大金持ちの令嬢で、政情の悪化でセネガルの難民キャンプに入れられていると説明してきます。そして、『私をセネガルの難民キャンプから助け出してください』と頼まれます。


 バートは別のアカウントを作り、カイルという名前のフロリダ在住の会社経営者としてアユミに友達申請をします。実はカイルは目的はアユミではなく、アユミの友達のレイコです。カイルはバートと同様、アユミとは友達承認された後ほど
んと接触もありません。レイコはカイルがアユミの友達であることから、安心して彼との交流を始めます。


 さて、ヘンリーも別のアカウントをとって、今度はマークという名前の英国の大学教授を名乗り、アユミの友人であるナオミに友達申請をします。写真も名前も実在の教授と一致します。ナオミはマークが本当に教授だと信じて交流を始めます。


 アユミの友人のオサムは、プリシラ、クインシー、ロバートという名前の三人から友達申請を受けます。そしてそのあとすぐに、フェースブックがバートの一味に乗っ取られました。一味は今度はオサムに成りすまして、オサムの友人や、まったくつながりのない人たちの中からカモを探します。オサムがアカウントを乗っ取られたという申請をしてフェースブックを取り戻すまでの数日間でプリシラ、クインシー、ロバートの三人を装っていたバートの仲間は相当数の獲物を見つけてメールやYahooメッセンジャーに移行していました。そして、3000人近くいたオサムの友人リストも失われました。


 アユミの友人の友人であるサクタロウは、ティムと名乗る男から宝くじに当選したという連絡を受けます。サクタロウは宝くじを買った覚えが無いので断りますが、友達リストにティムは残っています。ティムはサクタロウの4000人ほどいる友達のなかからさらに気のよさそうな高齢の男女を探してカモにすることを考えます。