ブロ友さんのところでバスチーについて色んな意味で大いに盛り上がったので
お蔵入りさせていた(仕上がってなかっただけ)お食べネタを引っ張り出しつつ
この際ワタクシも感じていた事を書き残すことにしましたの。
最初に謝っときますけど今日二つテーマの合作になったのでいつも以上に長いから
読んでくれはる方は先にトイレに行って飲み物など用意して読んでくだされ。
長文嫌いなおまいさんは次の更新で戻って来るがいいわ。
お茶も出さんと読ませるだけでスマンこってす。
せめてうちの千両役者に登場してもらって目の保養などどうぞ。
ワタクシが初めてジャポンでバスチーなるものが騒がれ始めた頃にみたその姿は
なんせバスクに行ったことないんでバスク風のチーズケーキを連想する前に
自分がよく知っている仏国のチーズケーキ(あえて言うならな)が即座に記憶に蘇りましたんよ。
それが le tourteau fromager du poitou (ポワトー地方のトゥルトォーフロマージェ)と言うやつです。
それはもうかれこれ15年くらい前になりますけど
ワタクシが毎年夏はコニャックで過ごしていた時にお邪魔しておった仏人夫妻にご馳走銘菓としてご馳走になったのがきっかけで知ったんですよ。
ワタクシは時折無性にこれが食べたくなるんです。
山羊のチーズをベースに作られるそのお菓子は一見真っ黒で、何これ?大丈夫なんか?と少々ビビったのを思い出します。
(差し出した本人も、その手のリアクションが必ずあることを知っていたのでニヤニヤよ)
このお菓子はロワール地方の銘菓タルト・タタン同様にレストランの料理人の「うっかり焼きっぱやらかしちゃったんですよテヘペロ事件」(長いわ)に由来する厨房あるある怪我の功名、塞翁が馬の大ヒット成功例。(それが思いの外美味しかったりして名物になるのは極めて稀どす)
とりわけこのトゥルトォーフロマージェはその後この地方での結婚式とか復活祭でのご馳走として食卓に上がるまでに地位を向上させております。
面白いのはこのお菓子両方ともに女性料理人から生まれ出たというところ。
きっとね、男性料理人やったらあじ味もせんとプンプンしながら廃棄処分やったかもしれまへんけど(←偏見やな)
良い食材を粗末にするのが嫌で壊滅的ダメージがないモノはとりあえず客には出さぬがリメイクという手を使ったりして自分らで食べたらええやん
と言う主婦的な発想があったのかどうか知らんけど、いざ食べてみたら周りのみんなが大喜びで新メニュー昇格めでたしめでたしやったのがオチかもね。
きゃー焼き過ぎやん!状態をお客に出してしまえる度胸には賛否両論あろうが、結局美味しかったから出したって話やと思います。
だから歴史に残るメニューになったわけで、どうしようもないモノはハナから出せませんやん(そう言うレストランはいつの時代でもあるが、それはすぐに消え行き忘れ去られる)
ちなみに、これはおうちで手作りもできますんでレシピを載せとくわ
小麦粉 250g
片栗粉 大匙2
山羊のチーズ(フレッシュなやつ、つまりヨーグルトみたいな状態の)250g
無塩バター150g
塩 ひとつまみ
砂糖 170g
卵 6個 (全卵5個 黄身1個)
牛乳 50ml
コニャック (適量風味づけなのでわざわざ買わなくてもええですがワインじゃない)
小麦粉とバター125gと卵黄、塩ひとつまみをボールに入れて大匙1〜2の水を足してモロっと混ぜ合わせる。
生地をラップで包んで1時間以上休ませる(季節によって冷蔵庫に入れてもええよ)
その間に山羊のチーズを水切りしておくとよろしわ
卵は黄身と白身に分けておいてね
水切りした山羊のチーズをボールに移して牛乳と砂糖120gを入れてしっかり混ぜる
更に片栗粉とコニャックと黄身を混ぜ込んでから休ませた生地に練り合わせる
白身と残った砂糖をツノが立つ位までミキサーや泡立て器で混ぜる
優しく生地に混ぜ合わせる
残りのバターを耐熱容器に塗りそこ生地を流し込んで180℃のオーブンで50分目安に焼く。
(250℃で20分焼いてから180℃に落として更に20分焼くパターンもある)
オーブンの温度や焼き時間は各家庭でそれぞれ調整して頂戴。
できれば焼き型はお椀状の方がええねんけど、というところでいきなりハードルが上がるのもご愛嬌
ゴロンと丸いのよ。
ざっくり言うと以上だす。
風味はと申しますと
出来立ては柔らかくてだんだんホロリとした食感に変化し濃厚なチーズの風味(ジャポンでは山羊のチーズはクセが強いイメージですが全く別物)は食べ応えございます。
真っ黒な部分は特に焦げた味も感じないので見た目に対して驚くほど食べやすうございます。
相対的に日本人が好きなチーズケーキとは食感がちょっと違うかもね。
もしかしたら日本人にはパサっとしてる?と感じる場合もあるかも。
(そもそも仏人はもっちり風味は苦手な方が圧倒的に多いので、ジャポン食に通じていてそういうのが大好物な場合などは別として、子供も大人(年寄り)も蒸しパンのやうなモチモチ風味は惨敗率が高い←自分の周り調べ)
日本の米の様にもっちりした風味が主食ではない彼らには親しみのある食感ではないからかな?と勝手に想像しています。
だから仏国で売られておるパン・ドゥ・ミ(食パンぽいやつ)を日本人が食べるとパサパサで全く美味しくないと思うわけ。
もしかするとジャポンの高級食パンは仏人たちの嗜好にはカスリもしない可能性だってあるし大好評かも知れへんし(どっちやねん)
ブリオッシュにしてもそうやけど、日本人が食べたらジャポンのブリオッシュの方が絶対好きって言う人が圧倒的やと思うし
ジャポンのパン職人も言うてはったが忠実な仏国食感仕立てで作ったらクレームの嵐で明日から売れへん様になるかも知れんし。
(大丈夫、ブリオッシュにがっかりしてもクロワッサンがおまいさんを救ってくれるわ)
ジャポンレシピで作ったバスチー
(ただしクリームチーズではなくて地元名産の山羊のフレッシュチーズを使用)
ジャポンレシピの凱旋再現はこちらでやる場合まあまあ好みが分かれるんですけど
それは大いにワタクシの腕のせいであるのは間違いおへんが
問題は日本風がオリジナルからかけ離れている説、というレベルの問題以上に
食べる側の好きな風味や食感か否か、の方ちゃうかしら。
(そもそもオリジナルのバスク味を知る仏人が周りにおりませんから比較のしようもおません)
ではバスクの方々はどう言うのか、これもまた分かりませんが、
つまりこれが国民性の嗜好差なんとちゃうかしら。
どちらがより美味しいか甲乙付ける問題でもないし、或いはオリジナルが一番説だけでは片付けられへん域の話の様な気もします。
そしてここではどっちがええとか悪いとかそんな事を論じ合いたい訳ではないの
そう言う論争自体がどうでもええねん、
ワタクシたちのやうな海外在住者が日本の流行をオリジナルからかけ離れているからと言って水を差し上から目線で突っ込まれておると感じるのも早計よ。
むしろ日本のトレンドを羨ましいとさえ思っている海外在住者の方が多いかも知れませんよ。
そんでね、こんな事で日本人同士が啀み合っちゃうのはいただけません。
ジャポンのバスチー(≒バスク風チーズケーキ:の略やって)は、
手に入る材料の都合なども絡み合いどんどん日本人好みの風味に寄せられたりして行くうちに恐らくはオリジナルを凌駕するレベルで洗練されたり改良されて
もはや独自の「バスチー」という(略ではないオリジナル名)新しい食べ物に進化している様な気がしてなりません。
まあ実際にジャポンのバスチー様を食べる機会がない以上ワタクシにとってこれも妄想ニッポン料理の一つになるわけですけれども、
ジャポンの料理研究家さんたちが挙って提案されておるレシピは巷で手に入る素材で最大限に美味しく(出来るだけ手間もかからぬ様な配慮で)作って食べられる様に工夫されているし、場合によってはジャポンと欧州の気候や風土、水による出来上がりの違いまで研究されたうえで非常に親切に変換されておったり、もうホンマに凄いと思うんです。(そんな事はお首にも出しはらへんけど、トップクラスの方々は実際そうなんです)
そこまで考えて出来上がったレシピに対して、オリジナルを蔑ろにするな!もっと忠実に郷土料理を敬え!と言うのも(気持ちとして大切な事やけど)なんや無粋な気もします。
レストランや専門店などの場合は家庭で再現できないレベルでの食材や風味の忠実さ、オリジナルへの敬意を含めつつただのコピーではない独自の個性も求められ、それを食べる日本人の基本的な嗜好にもある程度寄せる努力をされる訳ですから、これもまた凄い次元の話です。
美味しいものに目が無くてあくなき探究心を併せ持つ日本人の気質は、時にオリジナルを超えて独自の洗練淘汰を繰り返して進化を続ける洋食の様に楽しみ方は無限大になるのでござろう。
一部ではそれを邪道やとか、突っ込む方もいらっしゃるかも知れへんけども
そうなったらもう咖喱の様な完全に祖国から独立した横綱級の国民食目指して不動の地位についてしまえばええんちゃう。
ジャポンならオリジナルを忠実に再現するお店から、完全な新しいオリジナルへと進化させているお店まで選び放題であるんちゃうかしら
逆に言うたら、このご時世でバスク地方に行く機会もなく本場の味わいを妄想するしかないジャポンの食いしん坊に取っては洗練されたお店から巷のコンビニまで、その日の気分でこれまた選り取り見取りで手軽に買えたりするんやから食べる側にとってはええ話やんね。
仏国発でいうたらピエールエルメのコラボ商品もバスチー並みに人気やし、決してお膝元では味わえない夢のコラボやんね。
ただ、そこに光があれば影もあって
バスチーレベルの大ヒット商品になると商業的にあんな事やこんな事が出て来るやろなとは想像に容易うござんす。
まあ、それに関してはここで語る必要性は全くないと思いますので割愛な。
断っておくがそれを楽しんでいる人にどうのこうの言ってるんちゃいます。
美味しいを色んな形で世界中で同時に分かちあえるのは素晴らしい事です。
ただ本家にも消費者にもリスペクトのない商業主義が暴走したりするとその温度差を目の当たりにする両者の間にいる人間などは少なからず驚きはあるんよって話。
バスチーは恵方巻にはならへんと思うけど。
で、このお菓子は仏国のスーパーでも普通に市販されとりますのよ
市販品なりに美味しいと思うし、定番で売られているからそれなりに人気があるんやと思います。
お膝元の菓子職人が作ったものは当然もっと洗練されて風味の次元が違うが
まあ、この方が何かのきっかけでジャポン市場へ旅立った場合、確実にもちもちしっとり系に改良される気がせんでもありません。
例えばワタクシが先に挙げたレシピで作っても、日仏では仕上がりと言うか食感風味は同じじゃないと思います。
これは食材は勿論の事、水や風土が与える影響も無きにしも非ずかも知れへんな、
と思うんです。
ヨーロッパは乾燥した気候ですよってに出来立てはしっとりしていても瞬く間に潤いは失われていく傾向が顕著なのかも。
それゆえに、そう言う味なんだと言う認識がこちらでは出来上がっている可能性も感じます。
ジャポンの場合は湿度がこちらより圧倒的に高くてむしろ乾燥させる方が困難。
例えばサブレをお土産に買ったジャポンの客人は袋に小さな穴が乾燥目的で開けられているのを発見してショックを受けておりました。
そらそうよ、乾燥剤なんて不要なので入ってへんしむしろ針で開けた様な穴が無数にあるからジャポンに持って帰ったら瞬く間に湿気るもんねえ。
逆にジャポンの乾燥剤を見て意味が分からずこれは何だ!と思う仏人もおります。
グローバルのスピードが速すぎて、こう言う些細でもまあまあ重要なファクター
情報が抜け落ちるから後の祭りで知る事は数知れず。
こちらでの良かれはジャポンでは余計なお世話(穴開けやんといて!)になったり、これ以上乾燥する必要あるんかい!とツッコミになったり忙しいな。
バスチーに限らず、仏国食品でもしょっちゅうあるあるやねんけど
ジャポンの風味が基準になっている日本人が仏国のブリオッシュの食感や素朴すぎる田舎のオリジナルマカロン(おパリのマカロンはその進化系な)を見て落胆するケースがあるくらいやねんから、La Viñaのバスクチーズケーキとバスチーの違いに愕然とする人が出てきても何も不思議はないわ。
混ぜこぜ記事になったので、長ったらしくて読みにくくて
めんどうくさいな
と思う様な内容になってしもうたかも知れませんけど
ワタクシなりのリスペクトは何方の立場にも込めたつもりざんす。
媚びる気もないけどな。
食べることは生きる事で喜びである
と信じているからこそ、そこに関わる方々に敬意が生まれるわけです。
願わくば、日本のバスチー流行が落ち着いても定番の人気菓子としてジャポンで長らく愛され続けるようになったらバスクの方々も冥利に尽きるやろうと思います。
こうなったら
安土桃山時代に入ってきて日本独特の進化を果たしもはや日本の食べ物として認識され愛され続けるカステラみたいになって行くのももええかも知れへんね。
(あなたがどう思うかは)知らんけど。






