前回までのかいつまんだお話
友人の父上が高血圧で入院。しかし運動不足やストレスで強度の便秘となり、持病の痔が悪化。
そしてある日、便器を真っ赤に染めてしまったのであった・・・。
父上は高血圧で血管が詰まって危険な状況だったので、血の中の塊を溶かす薬、つまりドロドロした血をサラサラにする薬を入院してからずっと服用していた。そのため血が景気よく出たのである。
しかも止まりにくいので非常に危険であった。![]()
高血圧で入院してるのに痔が悪化なんて笑っちゃうよね、と友人は言っていたが父上にとっては決して笑えないお話である。
そこでかなりのショックを受け、自己の判断能力にも自信を喪失したのだろうか。父上からの電話に、愚痴と人生相談に加え、痔の病状やトイレでの状況・報告なども加わった。
家族たちはますます忙しくなった。![]()
私は友人から電話で話を聞いているだけだったが、日増しに彼女の苛立ちがつのってゆくことが手に取るように分かった。そしてそれと同時に、痔って本当に辛いのだと思い知らされた。
真面目で仕事一筋で厳しく典型的な雷親父の父上は、体調不良でも怪我をしていても会社へ行った。そんな心身強靭な父上を友人たちは今も敬い、恐れていた。
その父上を振り回してしまう尻の痛み、苦しみとは如何ほどのものなのか。想像しただけで臀部を押さえたくなってしまうではないか。![]()
「もう、嫌になるわ~」![]()
用事で友人に電話をすると、関口一番にため息交じりで言った。これは大変だと思い、
「なになに?どないしたん?何でも聞くで」
と愚痴の突破口を示すと、心優しい穏やかな彼女が猛突進で突き破り滝の流るるごとく延々喋り始める。ようそんな口が動くなあと思うほどであった。![]()
くだらない用事ですぐ呼びつける、愚痴を延々聞かされてしんどい、悩み相談を聞いているときは励まさなければ不機嫌になる(真剣に聞いていないとみなすため)、痔の出血でいちいち騒ぐので面倒、何かあっても看護師さんに遠慮して尋ねず家族に聞きに行かせる、眠れない(一日中寝ているので当たり前だ)、などと言いしばしば早朝や夜中にまで電話をかけてくることため睡眠不足である、などなど。![]()
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「それでな、一番嫌なのは痔にまつわる話をされることやねん」
これは私も深く同情した。
痔が悪化してから毎日トイレで苦しみ、座位さえ辛く、痛み続け、尻が気持ちが悪いそうだが、いちいちそれをライブで実況するのはいかがなものか。ええ年をした爺さんの尻及びその周辺、こんにちわをする物体。それらを想像してみてほしい。![]()
決して爽やかでも、心地よいものでもない。そんな光景を強制的に思い浮かべさせられるのは心理的暴力ではないか。
当時はまだ若かった彼女にとっては余計ストレスとなったことだろう。
つづく![]()
