ある日のこと、
ヤマアラシは森の中をいつものように歩いていた。
何か面白いものないかな~
あれは、なんだ?
そこには大きなカバの木が横たわっていた。
ヤマアラシは好奇心が掻き立てられ、近づいてみた。
思ったとおり!
大きなカバの木は、中が空洞になっている。
ヤマアラシは思った。
中がわざわざ空いているのは、私が遊ぶためかな?
どうやって遊ぼうかな~?
ヤマアラシは、転がそうとしたり、中へ入ってみたり、
いろいろ考えて、ためして遊んでみた。
その時、むこうの方から黒くて大きなベア(クマ)がやって来た。
ベアは、大好物の蜂蜜を探していた。
ヤマアラシは、一人だったので遊び相手に丁度いい!と喜んだ。
「こんにちは、ベアさん。」
「ちょうど良かったわ、一緒に遊びましょう。」
大きな黒いベアは、無愛想に答えた。
「そこをどいてくれ、俺は蜂蜜を取りに行くところなんだ。」
「遊ぶには歳をとりすぎた、頼むからそこをどいてくれ!」
無邪気なヤマアラシには理解できなかった。
「どうして?遊ぶのに年は関係ないわ。」
「子供の頃を思い出して!」
「これからずっと、今のように無愛想で不親切なベアでいるつもり?」
そう言われてベアはハッとした。
確かにヤマアラシの言うとおりだ。
俺を見るとみんな怖がって逃げてしまう。
同じ仲間でさえ、俺が唸るとそそくさと逃げていく。
けれどこの小さいヤマアラシは、
みんなが恐れて逃げるのに逃げないで話しかけている。
自分を食べたりしないと、信じている。
友達になろうとまで言っている。
年取ったベアはヤマアラシを見て心が動いた。
自分が恥ずかしくなった。
そして子熊の頃に遊んだ事を少しづつ思い出した。
子熊の頃はなんて楽しかったのだろう!
大きな黒いベアは、日が暮れるまで無邪気にヤマアラシと遊んだ。
「小さなヤマアラシよ、ありがとう。」
「頑固ジジイの威厳を取ってしまったら、他の者たちが俺をどう思うか、
誰も一目置かなくなるのじゃないかと、怖かったんだ。」
「嫌われるように、自分が仕向けていたんだ。」
「これからも一緒に遊んでおくれ、小さなヤマアラシよ。」
こうしてベアは、子熊の無邪気さを取り戻し、
ヤマアラシの無邪気さを学んだ。
ヤマアラシは大人の世界の恐れや強欲や葛藤の、
日々の渾沌に囚われないで!と、告げている。
ヤマアラシは、誰にもある「子供の頃」の遊びを思いだし、心を開くこと、
空想や想像の大切さ、何でもないものからの遊び心という
「無邪気さ」を持つことがどんなに素晴らしいかを知らせます。
そしてその「無邪気さ」とは、恐れられる相手の純粋さを引き出し、
どんなに不可能と思えることも「可能」にする力だと。
