0・1・2歳 頭と心と体を育てる
ベビーサイン協会代表理事&
ベビーサイン®の専門家
吉中みちるです。
コラムニスト、著述家、作家である尾藤克之さんに、「ベビーサイン図鑑」の書評をお願いしたら・・・の2回目
1回目はこちら
2回目は尾藤さんからの総評つき!
その中で特に印象に残ったのが、
「編集構成の巧みさ」
という言葉でした。
研究紹介、発達段階の整理、実験動画への導線、そして親への語りかけ。異なる要素を、読者が迷わない形で配置している——
そんなふうに評価していただけたことが、本当にうれしくて。
というのも、この一冊は
“どう伝えるか”に、かなり深く向き合って作った本だからです。
ベビーサインは、単なるハウツーではなく、
赤ちゃんの見方そのものを変えるもの。
だからこそ、
✔ 専門性は担保したい
✔ でも難しすぎては届かない
✔ わかりやすさだけでも、本質が抜けてしまう
その間の、ギリギリのラインを探し続けました。
実はこの本、
原稿を書き上げたあとが、本当のスタートでした。
「この順番で本当にいいのか」
「読者はここで立ち止まらないか」
「この流れなら最後まで読めるか」
一つひとつを検証するように、構成を組み替え、削り、また足し、編集者の方へ原稿を提出する前に、何度も何度も主人と娘と3人で作り直しました。
気づけば、
“書く”というよりも、
“編集している時間”の方が長かったかもしれません。
どうしたら、
専門的な内容と、日々の育児の実感が
ちゃんとつながるのか。
どうしたら、
読んだあとに「見える世界が変わる」のか。
その一点に集中して、
積み上げていった一冊でした。
だからこそ今回、
“編集力”という言葉で評価していただけたことが、「ああ、この作り方でよかったんだ」と思えて、思わず、やった!と声が出ました。
もちろん、
一冊の本として形にしてくださった
出版社の皆さまの存在があってこそ、
こうして読者の手に届いています。
そのうえで、
見えないところで重ねてきた家族での試行錯誤にも、きちんと意味があったと感じられたことが、何よりのご褒美でした。
一方で、
「情報量が多い」というご指摘もいただき、
これもまさに、自分自身の課題だと感じています。
伝えたいことが多すぎて、
つい“全部入れたくなる”。
でも、本当に大切なのは
「どれだけ入れたか」ではなく、
「どれだけ届いたか」。
この学びは、次の一冊へ。
こうして丁寧に読み込んでいただき、
言葉を返していただけること。
書き手として、これ以上の喜びはありません。
また一歩、前に進めそうです。
以下は尾藤さんからの総評のコピペです。
リンク先でももちろんご覧いただけます。
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
編集構成の巧みさ:研究紹介、発達段階の整理、実験動画への誘導、親への語りかけといった異なる要素を、読者が迷子にならない動線で配置する編集力が光る。学術的な内容と育児の実感をつなぐ「翻訳」の手際がよく、専門書にも実用書にも振り切らない絶妙な立ち位置を実現している。
中核メッセージの明快さ:「赤ちゃんは受け身ではなく、生まれた瞬間から自ら関わりを求めている」という一貫した主張が全章を貫いており、読後に残るメッセージが明確である。トレヴァーセンの一次間主観性からトロニックの無表情実験、ボウルビィのアタッチメント理論まで、すべてがこの主軸に収束する設計は見事だ。
読者の不安に寄り添う筆致:「完璧じゃなくていい」「試行錯誤が愛着を育てる」といったメッセージを、精神論ではなく科学的データに基づいて提示しており、育児中の親にとって実質的な安心材料となっている。コルチゾール研究の引用は特に効果的で、「日常の信頼関係があれば一時的な乱れは修復できる」という知見は多くの読者を救うだろう。
【課題・改善点】
情報密度の過剰さ:感覚機能・運動機能・認知機能・社会性・アタッチメントと、扱うテーマが多岐にわたり、読者の処理容量を超える場面がある。200ページ前後に情報を絞り込み、各トピックに十分な余白を持たせた構成であれば、読み物としての快適さは格段に上がったはずだ。
読書リズムの単調化:研究紹介の箇所は、個々の内容は興味深いものの、「次もデータ、また次もデータ」という印象を与えやすい。また、理論的基盤の提示にとどまり、読者が「では具体的にどうすればいいのか」という問いを抱えたまま先に進む箇所があり、期待値の設定と回収のタイミングにやや距離がある。
■ 総評
赤ちゃんの能力を過小評価してきた従来の育児観を、発達心理学の知見をもとに書き換えようとする意欲的な一冊である。最大の美点は編集力の高さにあり、学術研究の引用、発達段階の体系的整理、親の不安への共感的な語りかけという三つの要素を破綻なくまとめ上げる手腕は確かなものといえる。
一方、「入れられるものは全部入れる」方向に振れた結果、情報量がやや過剰になっている。200ページ程度の読み切りやすいボリュームに凝縮すれば、本書の持つメッセージはより鋭く読者に届いたはずであり、引き算の勇気が次作への課題といえる。
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