今日は8月8日の蜂の日。
 

スズメバチの怖さを警告するテレビ番組が、今年もそろそろ報道される季節。その前に、書いておくことにします。「スズメバチは本当に怖い存在か?」ということについて。

 

スズメバチ駆除
 蜂は八 昔は子孫繁栄、商売繁盛、金運上昇、厄除けと縁起よかったので、恭しく遠回りしたり静かに歩いたりして共生していたのですよね。

スズメバチはアシナガバチ以上に、人知れず畑のイモムシや毛虫、バッタ、甲虫類を狩ってくれています。オオスズメバチに至っては畑を飛び回るだけで害虫が逃げ出すと言われています。それなのに、人に見つかると駆除の選択肢のみになってしまいます。

人を襲う蜂は、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチの3種のみです。しかもこの三種といえども、自分達の巣がないところで働いている蜂は全く刺す気持ちは持っていません。巣に近づくから刺してくるのです。養蜂で使われるセイヨウミツバチなら巣箱には5mは近付かないほうがいいでしょう。ニホンミツバチなら2m位。アシナガバチはたった50cmです。
※オオスズメバチだけは樹液の出ている場所などの餌場を守る習性があるので近づくと攻撃してくる場合があります。

スズメバチですが、山形だと冬眠から目覚めた新女王蜂が5月に巣を作り始めます。6月中頃になると働き蜂が生まれて巣に近づくと攻撃するようになります。ただ、まだまだ巣も小さく攻撃範囲も狭いです。1m内に近づいても襲ってはこないでしょう。巣の大きさと共に攻撃範囲は広がります。9月のピーク時は、一階の軒下など低い位置に造られた巣なら5m以内には近づかないほうがいいでしょう。さらに走り回ったり草刈機を回すなら10〜15mは近付かない方がいいです。ただ、二階棟の軒下など高い位置に作った群れなら下に飛んでくることはないので安全といえます。山形では、虫がいなくなる9月20日頃を境にして働き蜂はしだいに寿命となり、10月になれば、だんだん攻撃範囲も狭くなります。10月中頃ともなれば攻撃力はほぼなくなるようです。この生態を覚えておげば、9月末以降にお金をかけて駆除などしなくていいでしょう。なにしろ最も攻撃的な季節を共に暮らしていたのですから…

 

そして、テレビの報道についてです。
何度もテレビでスズメバチ駆除の様子を見たことがありますが、全く生態を無視したあきれた駆除のやり方です。悲しい哉、蜂好きな私も民家に営巣したスズメバチを1500群以上も駆除してしまいました。そんな身として問題点を綴ってみます。

 

まず、テレビでは駆除を昼間行っています。昼間の駆除はリスクだらけです。

攻撃的な明るいうちに、わざわざ蜂を怒らせて蜂が刺してくる獰猛なところを撮影しているとしか思えません。暗い夜ではあの獰猛さは映せませんしね。なにより、住宅密集地では非常線を張らないと周辺の人たちが刺される事態になるでしょう。ちなみに絶対刺されないあの宇宙服のような防護服は10数万円もします。

 

そして昼は、多くの働き蜂たちが外に狩りに出かけているのです。すると、戻ったたくさんの働き蜂たちは巣がなくて右往左往しばらく巣を探して飛び回ります。そして、残った蜂たちが多い場合はまた巣を作り始めるのです。もちろん女王蜂がいないので大きな巣には戻れませんが、働蜂産卵をして小さな群れになり秋まで生活することになります。攻撃力ももちろん出てきます。

そんな巣の駆除を二度頼まれたことがありました。依頼者に聞くと業者には「また出張費がかかる。放っておいたらいなくなる」と言われたとのこと。


少し前に見た人気番組の「ポツンと一軒家」では、一人暮らしのおばあちゃんちのスズメバチの巣を番組が業者二人を依頼して駆除してるところを映していました。巣を確保後には、暑い中、ネズミ捕り用の粘着シートを振り回して戻ってくる蜂を時間をかけて捕まえていました。あきれました。あのような駆除に果たしていくら支払ったのかが気になります。このあたりでも、悪徳駆除業者に10万円以上支払ったという話をよく聞きます。

スズメバチ駆除のテレビを見ると、蜂がますます怖くなって、命がかかっているからとホームセンターから高価な殺虫剤を買ってきたり、安易に悪徳な駆除業者を呼ぶことになってしまうのです。そんなテレビは国民を脅し、物を買わせるしくみだとしか思えません。

 

駆除は夜に行うのが基本です。
夜なら働き蜂はみんな巣に戻っています。その大半は丸い外壁に覆われた巣の中に入り、外壁部分には門番たちがうろうろして護っています。そして、彼女たちは基本的に暗闇を飛びたくないのです。ですから簡単に一網打尽に逝ってもらえるのです。

 

赤いセロハンで紫外線をカットした置き型のライトで巣をぼんやり照らし、静かにハシゴをかけ、静かに登ります。振動させずにゆっくり近づけば、50cmそばでもまったく襲ってはきません。まず門番をしている蜂たちに10秒殺虫剤をかけます。殺虫剤が身体にかかると、よほど苦しいのでしょう。私を攻撃する気はまったくなくなります。そして、幸いなことに巣穴は一つしかありません。小さな巣穴から怒って飛び出してくる蜂は1秒間に1〜2匹です。巣穴にも時々殺虫剤をかけます。外壁の門番たちがいなくなったら、殺虫剤のノズルを巣穴に突っ込んで噴射します。これで終わりです。私を襲ってくる蜂はめったにいません。

 

スズメバチ駆除

        

ちなみに私は、殺虫剤をかける前に「ごめんな」と言います。羽をふるわせ、顎をカチカチ鳴らしての苦しそうな断末魔の音がフェードアウトして消えると「ありがとう」と言わずにいられません。もう少し日本人がスズメバチの生態を知っていたなら、死なずに済んだ蜂たちがどれだけいるか。たとえ依頼者さんがやさしい方で殺したくないと思ってもテレビで洗脳された世間は許さないでしょう。

 

露出した巣であれば、駆除そのものの時間はわずか5分です。ハシゴを設置したり巣をスクレイパーで外す時間を含めても30分もかからずに終わります。さらに私の防護服はホームセンターで買った厚手の雨カッパ2500円です。殺虫剤はハエ・蚊用のフマキラーダブルジェット249円です。これでオオスズメバチも十分に死んでくれます。被るネットは針金網と四隅にフレームが入っている養蜂初心者用の顔にネットが当たらないタイプのもの。これもネットショップで2000円台で買えます。

 

拙著「知って楽しむ ハチ暮らし入門」では、誰でも簡単にできるスズメバチの駆除の方法について詳しく書きました。

 

スズメバチ駆除
          一ヶ月以上1匹で子育てします

さて、蜂に刺されて亡くなる方は毎年1年間で平均15人(厚労省)いらっしゃいます。これって多いでしょうか?
日本人の人口は1億2000万人ですよ。

 

世の中には命を奪うもっと怖いものがたくさんあります。
たとえば、餅を喉に詰まらせて亡くなる方は毎年3500人以上。蜂より餅のほうが230倍も獰猛です。
心臓疾患は23万人、脳卒中10万人、自殺2万人、糖尿病1万5000人、インフルエンザ(間接死亡)1万人を超えています。
そして癌(がん)は1年間で39万人。1日に1000人以上亡くなっているのです。癌の怖さは蜂の26000倍です。スズメバチの怖さを報道するなら、癌についてもあと26000倍して欲しいものです。なにしろ、日本だけが二人に一人も罹患する異常事態でもあります。蜂刺されは15人です。数で騙されているとしか思えません。

 

スズメバチ駆除

  アナフィラキシーショックで最も人を死なせているキイロスズメバチ

 

そして、刺されて病院に行った方のほとんどの方が「私は次に蜂に刺されたら死ぬ」と思い込んでいることに気づきました。それは、その治療と先生の説明によるものではないでしょうか?

 

今や、蜂に刺された人は病院に行くのが当たり前となっています。すると抗ヒスタミン剤の点滴注射をすることになります。点滴は、小一時間も寝かされかなり大ごとです。さらに先生はきっとこう説明するでしょう。「アナフィラキシーショックは二度目、三度目に刺された時に起こる場合がありますから気をつけてくださいね」と。アナフィラキシーショックになる人は稀なのに、それを聞いた人は「次は死ぬかもしれないと先生が言ってた」と過剰に思ってしまうようです。よくよく聞くと血液のアレルギー検査もしていないのです。これが日本中に「次に蜂に刺されたら死ぬ人」を増やしている現実だと思います。


私も若い頃は、無謀な駆除をしてよく刺されていました。そして蕁麻疹が出たりしていました。これもアナフィラキシーですが、ショックではありません。でも10匹位刺された時から免疫ができたらしく腫れなく、痒くもならなくなったのです。

ぽつんと一軒家の、あの一人暮らしのおばあちゃんも笑顔で言っていました。「2〜3匹刺されたけど大丈夫だ」と。

全然スズメバチを怖いとは思っていない感じだったのです。

笑ってしまいました。

ほとんどの人の体は、本来そうできているのです。ただ、化学物質にまみれた食べ物ばかりを食べている現代人はデトックス力が弱く、悪い菌やウイルスや毒を排除できなくなっていることも確かだとは思います。それはそれで怖い話です。

 

スズメバチ駆除

    チャイロスズメバチ 蜂は怒らせなければただのかわいい虫です

 

こうして多くの日本人は「蜂が怖い病」になってしまいました。絶対悪のスズメバチはおろか、ミツバチ以外の蜂たちは全て怖がられ嫌われてしまったのです。

 

この夏の終わりに、またスズメバチを大袈裟に報道するテレビを見ましたら、こんな私の意見も思い出していただけましたら幸いです。

 

ついつい熱くなって長く書いてしまいました。
最後まで読んで下さりありがとうございました。


アシナガバチ畑移住普及プロジェクトは、蜂たちの益虫復権と、農薬を使わない農業を心から応援しています。


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