京都最終日の月曜日、ホテルでNHK連続テレビ小説「ブロッサム」の初回放送を見ました。

子ども時代からのスタートではなく、後年の宇野千代を映し出してから一気に時をさかのぼる趣向でした。

翌、火曜日、水曜日も、やはり出だしは老齢の宇野千代さんが登場。

故郷・岩国のあでやかな桜をバックに故郷への複雑な思いを吐露します。

 

と、、ここで「岩国」「桜」のキーワードに、ハッとさせられました。

今年学習院ミュージアムで見た辻邦生展に、宇野千代さんから辻さん宛ての書簡が展示されていて、まさにこの2つのキーワードが手紙にしたためられていたのです。

 

 

それがこちら↓

宇野さんが辻さんからの手紙にこたえて、

 

「岩国の家へおいでになって下さるのですか。 実はこの四月の桜の頃に、私のやっています小さな会社の社員旅行で、九人ほど、一緒に、あの家へ行きます。さう言ふ譯で、今度の桜は、ご一緒出来ません。」とあります。

 

 

辻さんからは岩国に桜を見に行くのでご一緒にどうですか?といったことが書かれていたのでしょうか。

 

あえて社員旅行に桜の時期の岩国を選んだ宇野さん。

岩国の桜というのは、人生来し方を振り返ったとき、宇野さんにとって特別な思いを搔き立てるものだったのでしょう。

辻さんもそれを知っているからこそのお誘いだったのでは。

 

そんなシンボリックな要素を「ブロッサム」冒頭に入れ込んだこと自体、脚本家・制作陣が宇野さんの人生とていねいに向き合いつつ物語を紡いでいる証拠に思えました。

まずは老齢の宇野千代を最初に登場させる、という手法によってこそ実現したことでもあります。

 

さてこの「ブロッサム」、毒父の渡部篤郎さんが板につきすぎていて怖いほどですが、今後が楽しみです。

 

 

 

 

展示風景。

加賀乙彦さんや坂本一亀さんからの書簡があるのは納得ですが、辻さん、宇野千代さんとも親交があったんですね。

 

 

 

 

 

17歳の少女のような字、と辻さんに言わしめた宇野さんの書簡:

 

 

 

 

 

以上6月の学習院ミュージアムにて。

 

 

 

学習院ミュージアムの建物はもともと大学図書館として昭和36年に建てられたもの。

前川國男作。

戦後早々に谷口吉郎が慶応三田キャンパスを一気に作り上げたように、学習院ではキャンパスづくりに前川國男氏が活躍したようです。

 

 

 

辻邦生展は、既に終了しています。

後方には辻さんの実物大写真。

 

 

 

 

 

大々的な改修だったのか、東京都美術館や東京文化会館に比べて古い痕跡を見つけづらい建物になっています。