昨日、京都府立図書館訪問の話を書きましたが、あのときのお目当ては、図書館ではなくお隣の京都国立近代美術館でした。
本当のことを言うと、猛暑の時期に京都に来てしまったので(関西万博ありきで)、お寺巡りは最低限にして、美術館メインにしようという魂胆でした。
つまり、展覧会ありきではなく、エアコンありき?!
どんな内容の展覧会が開催中か調べもせずにやってきた京都国立近代美術館。
同時開催の特別展は「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」展だったので、これはパス。
常設展でいいや、そんな気持ちで入館したのでした。
9月28日(日)までいわゆる常設展「令和7年度 第2回コレクション展」が開催されているのですが、これがまさに圧巻でした。
美術は個人個人で感性も違うし、お勧めとかするのは差し出がましいと思うのだけど、それでもなお、お勧めしたくなるほど。
たった420円で182点も観られちゃう。
しかも、そのうち新たなコレクションとして加わった50点弱の「藤原彰氏コレクション」が、一流画家による良質コレクションで、かつすべて未見。
個人が長年手元に置いていたから、人目に触れる機会もなかったのでしょう。
例えば青木繁の「エスキース」↓
こんなスケッチを残していたのか・・初めて見る作品だわー。
この儚げなたたずまい。
代表作「海の幸」にも描かれた、自身の恋人を描いたものでは?と思わせます。
「藤原彰氏コレクション」は、この一室だけでなく、その外や、別室にもひろがっています。
解説を読むと、「藤原彰氏コレクション」というのは、昨年度、藤原彰氏から本美術館に一括寄贈された日本洋画の収集品。
驚くべきは、この藤原彰氏、企業オーナーとかではなく、サラリーマンらしいのです。
収集なさった藤原彰氏は、企業に勤務しながら純粋に美術を愛好する一個人として、日本の洋画(油彩画、水彩画、版画、素描)を収集してこられました。大川美術館のような美術館をつくりたいという思いがあってのコレクションであり、明治から昭和まで絵画史の流れをたどるかのような、バランスのよさがあるのが特色です。
例えば、坂本繁二郎や須田国太郎のように、当館コレクションでも馴染み深い作家の作品も含まれていますが、中村彝、村山槐多、鳥海青児など、重要な作家でありながら当館には今まで収蔵の機会がなかった作家の作品も含まれています。青木繁、熊谷守一、小出楢重、安井曽太郎、梅原龍三郎、金山平三、長谷川利行、岡鹿之助、野田英夫、松本竣介、麻生三郎など、当館としても収蔵作品点数を充実させたかった作家の作品も、このコレクションによって新たに加えることができました。長谷川潾二郎や鴨居玲のような、国公立美術館にあまり収蔵されていない作家の作品も、これによって収蔵することとなりました。
中村彝の作品を多く所蔵する新宿の中村屋ギャラリーがこの存在を知ったらうらやましがるのでは、と思えるこんな作品もありました。
裏表の両方に描きこまれた中村彝作の油絵です。
表裏それぞれに、異なる額装が施されているのも特色です。
表は芍薬図 :
裏は静物。
小出楢重のこの作品は、会期途中で出張してしまい、私が行った時は写真掲示のみ。
大阪中之島美術館の「小出楢重新しき油絵」展へとさっそく駆り出されたようです。
美術館の説明にも書かれていましたが、藤原彰氏コレクションはレアな逸品揃いなので、今後様々な展覧会に貸し出しされると予想される、そんななか、それが一挙に見られるこのチャンスは貴重、とのこと。
今回初めて知った画家の作品も。
長谷川潾二郎「レモンのある静物」。
見たことありそうでない、独特の個性がある静物画です。
氏には美術館をつくりたいという思いがあったというだけあって、偏りなく、万遍に集めようという意思が感じられます。
かつ、独自の美意識で慎重に選んだのだろうなと感じました。
テーストもよくて見とれていたら、閉館時間直前になっていました。
==>作品リスト
藤原彰氏コレクションだけでなく、全6部構成で、様々楽しめます。
A. 不安の時代の芸術
B. 新収蔵記念 巨勢小石
C. 明治時代の日本画
D. カリカチュアとしての版画――人間のおかしみと哀しみと
E. 京都国立近代美術館の工芸-近年の収蔵作品より-
F. 日本の洋画 : 藤原彰氏コレクション
<常設屋外彫刻>
印象としては、東京国立近代美術館に比べて、モダンアートは少なめ。
(東近美は常に2Fは現代アートで埋め尽くされているので、それに比べると。)
D. カリカチュアとしての版画
休憩コーナーの椅子も、アートです。
素材の異なるアーチ型の椅子が呼応するように配置されています。
右手の紫の椅子は家具デザイナー・藤江和子氏の作である由。
窓からの眺め。
平安神宮の鳥居と京セラ美術館。
美術館の建物自体の設計は、以前記したとおり槇文彦。
写真は2022年のときのもの。↓
中央上の窓から鳥居を見ることができました。












