『REVALUE NIPPON PROJECT 中田英寿が出会った日本工芸』展が、
パナソニックミュージアムで開催されている。
非常にユニークな内容なので、事前に趣旨を知ってから行くのがお勧め。
以前東京国立博物館で元サッカープレーヤー、中田英寿さんと建築家隈健吾さんの対談があり、
その際 私は初めて知ったのだけれど、
中田さんは、全国津々浦々巡って伝統工芸と出会い、
サポートする活動を続けている。
そして今回、『中田英寿が出会った日本工芸』展 記念講演で
中田英寿さんのお話を改めてうかがい、
以下のことを知った。
中田さんは、毎年テーマを決めて、それに従って工芸家の人たちに作品を創作してもらい、
制作・発表の場を生み出しつつ、オークションにそれらをかけて
その収益を活動資金に充てる、という循環型の企画を5年間行ってきた。
作品のアイディアを出すのは工芸家以外のアーティスト。
さらに両者を取り持つ存在として、コラボレーターを選定し、
3人一組1グループとして、創作する。
コラボレーターという「仲立ち」を発案したのは中田さん。
理由は、アーティストと工芸家だけのペアだと、
発想原のアーティストの影響力が強くなりがちなので、
力加減を中和するため、モデレーターが必要、そう考えたそう。
スポーツを通じ、仲裁とか審判とかいう客観性のあるシステムに
慣れていたスポーツマンならではの発想かもしれない。
こうしてこれまでに創作されてきた作品を
汐留の場に移して展示したのが今回の展覧会なのだ。
上述の通り、これらはみなオークションで個人や企業の手に渡っているので、
それらを借用し、輸送するのが大変だったそう。(中田さん談)
特に活動後半には外国の顧客も作品を購入しており、
海外から取り寄せたものもあるという。
これまで選ばれたテーマは、「陶磁器」「和紙」「竹」「型紙」「漆」。
それぞれテーマごとに作品がまとめられていて、
同じテーマなのに、グループによって
かくもアウトプットとなる作品の雰囲気が異なるものか、と驚いた。
館内でまず気づくのは、作者のネームプレートの斬新さ。
吊るしになっている。
和紙の写真は、ざらざら感じが写真作品にユニークな雰囲気を与えていて
深みが増していた。
展覧会を見渡すと、とにかく中田さんという蝶番を中心に、
様々な人を巻き込んで、作品にはみなぎるパワーが与えられていた。
工芸家と組んだ人たちの中には超有名人も多数:
世界的アーティストの奈良美智さん、
隈健吾さん、
くまモン生みの親 小山薫堂さん、
写真家、森山大道さん、森山蜷川実花さんなどなど。
◆ 印象に残った中田英寿さんの言葉
ー 世界を回るうちに、日本のことを知りたいと願うようになり
日本の伝統(工芸その他、お酒とか宿とか)を知るべく日本中を行脚した。
ー 工芸については最初から興味があったわけでなく、
関心が出るまでに時間がかかったが、
でもそれは最初から織り込み済みだった。
何事も時間をかけて醸成されていく。
・ サッカーという表舞台と、工芸サポートという今のミッションでは
表舞台と縁の下の力持ちという正反対のポジションであるけれど
自分の中でどうそれを消化しているのか、という質問に -
ー 今まで好きなことをやってきた。
どちらもその延長線上にある、という意味では全く変わらない。
ー 今後については、5年続けた今のスタイルでは
クリエートの場としては意義があったものの、
見せる機会という意味では不十分で、
限界を感じるようになった。
2017年か18年には、新しいスタイルで再出発したい。
今、さまざまな相手と交渉中、
とのこと。
講演会に同席された絵付師の見附正康さん、陶磁器作家の新里明士さんの
お話も非常に興味深く、
機械や装置に頼らず、人間の手がここまで精緻な図柄を
クリエートしていけるのか、と驚嘆した。
長くなってしまったけれど、1つだけ出品作品の印象を記すと、
TakeFinoという極細の竹が使用された3点ものの作品に目を見張った。
竹という和の素材で英語の詩を浮かび上がらせた作品などは、
技巧の極致。
正面から見ると、素材は謎のまま。
横から見ると、極細のすだれのような仕組みが見えるので
ああ、竹の作品なのだ、と気が付くけれど。
この詩は、真正面から見据えないとぼやけてかすむ。
文字として判別できない。
そのかすみ具合もいいけれど、ぴたっと正面に視線を合わせて
文字が浮かんだ瞬間が愉しい。
詩を読みつつ、”Each joint records life in rhythmic stanza. ”という一説を
書き留めてきた。
帰宅後ネットで調べたら、
こちらに本作品の概要が掲載されていた。
* 展覧会会場入口にある展覧会唯一の写真撮影スポット。(◆)
上記◆以外のスポット(1Fのパナソニックビル玄関入口含め)での撮影は禁止です。

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『REVALUE NIPPON PROJECT 中田英寿が出会った日本工芸』展
場所 汐留パナソニックミュージアム
日時 2016年4月9日(土)~6月5日(日)
開館時間 午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日 毎週水曜日(ただし5月4日は開館)
入館料 一般:1,000円 65歳以上:900円 大学生:700円 中・高校生:500円 小学生以下:無料
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/16/160409/
土曜日のシンポジウムのタイトルは、 「REVALUE NIPPON PROJECTと日本工芸の未来」。
パネリストは、見附正康さん(絵付師)、新里明士さん(陶磁器作家)、
中田英寿さん(一般財団法人TAKE ACTION FOUNDATION代表理事)だった。