30年前の自分を思い出した『熟柿』
1日1冊本を読むチャレンジ
135日目は
2026年本屋大賞ノミネート作品
『熟柿』(じゅくし)です
雨の夜、
酔い潰れた夫を
車の助手席に乗せた状態で起こした
人身事故
いや、
「あれは、人でなく
ドケチで嫌われ者で
孤独死した叔母の亡霊?」
さっき
精進落としを終えたばかり
きっと幻を見たんだ
確認するのが怖かった
だから、そのまま走り去ってしまった
かおりは、27歳主婦
お腹には赤ちゃんがいる
平凡な人生が一変する
雨の日の自動車事故
ホラー?
サスペンスドラマ?
そんな始まりに
ほんとにひき逃げ?
それとも幻?
その答えを求めて
ページをめくるうちに止まらなくなり
一気に読み進めた4時間
ドリンクを2杯注文しました
ひき逃げ事件を起こし
獄中で出産
おっぱいをあげることなく
引き裂かれるようにして
子どもは夫の元へ
夫婦は離婚
刑期を終えて出所したかおりは
どうにかして
わが子と再会したいと思う
わが子と間違えて
「園児連れ去り事件」を起こし
接見を禁じられ、親子の絆を断ち切られる
息子の顔を見ることもなく
自らの過去や罪を悔いながら
各地を転々とする逃亡と移動
母親だったら
子どもと引き裂かれるのは
どれだけ辛かろうと共感できるけれど
言葉を選ばずに書いてしまうと
後先考えない行動に
「バカなのか?」
って、イライラした
一方で
人間は、「魔が差す」ことってある
我を失って
心の中に悪魔が入り込んだかのように
急に判断力を失ってしまうこと
それって、たまたま
運が悪かった上に
人間として未成熟だったからだと思う
私だって
思い出すだけで
背筋がぞっとするような
恐ろしい思い出が一つや二つ
いや、もうちょいある。
一つ間違えば、
子ども命を奪う原因を
作った母親になるところだった
そうならなかったのは
ただただ運が良かったのだ
ご先祖様のおかげだと思っている
でも、
そのときは、余り深く考えていなかった
想像力の欠如。
今思えば、バカだったのである
アホではなく、バカだ。
かおりが
各地を転々とするのも
流されてしまう性格だったから
「自分」というものがなかったから
「ええように利用される」
一面を感じた
物語の脇を固める
かおりの親友、鶴子
かおりは鶴子の
恋愛や不倫のいざこざに巻き込まれている
人身事故を起こすきっかけも
鶴子からかかってきた電話を
運転中に出てしまったからだ
自分の都合よりも
他人を優先してしまう性格
これが仇となったのだ
私も似たようなものだったことを思い出した
30年前、
ママ友は夫の不倫に悩んでいた
夫の素行調査ため
とある場所に電話をかけて
「様子を伺って欲しい」と頼まれた
断っても
「どうしても」ってせがまれて
仕方なく引き受けたことがある
電話の相手には
めちゃくちゃ不審がられた上に
なんら情報もつかめなくて
私の知ったこっちゃないのに
なんだか、申し訳ない気持ちになった
そのママ友から
エステシャンになるので
顔を貸して欲しいと懇願され
渋々引き受けたら
顔の皮がむくれるじゃないかと
思うほどにゴリゴリに擦り倒されて
真っ赤になった
それでも、
「痛い」の一言も言わず
「ありがとう」と言って帰ってきた
それは、やっぱり
私は、自分というものを持っていなかったから
頼りにされるのと
都合よく使われるのとでは
まったく違うことを知らなかったからだ
そして
若い頃の私は、
相手の課題まて背負ってしまう傾向にあった
この作品は
きれいごとを並べてるけど
どろどろとした人間のズルさが
じわじわと明かされていいく点が面白い
そして、
かおりは一度は魔が差して
罪を犯してしまったけれど
人を利用したり
落としめたりせずに
息子への愛と贖罪の気持ちから
強い女性に変わっていく姿に
私の気持ちは救われていった
そして
このひき逃げ事件には
もう一つ隠された驚くべき真実があったこと
それが一層、この物語を切なくした
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