祖母が亡くなり、1週間は慌ただしく過ぎていきました。
約5年間お世話になった老人ホームへ、母と私とアラジン三人で最後の挨拶にいきました。
遺留品の受け取りと、契約などの書類の手続きをしなければなりませんでした。
事務所の方にの方に入り、挨拶を済ませ、書類の手続きをしました。
生前使っていた車いす、着用していない新しい服などは老人ホームへ寄付することに。
残りの物は、処分していただくようにお願いしました。
事務所職員「お預かりしている通帳の方は、今月分までの引き落としはあります。いくらかは残りますので、来月取りに来てもらえますか?」
老人ホームへに入所する際に専用の通帳を作るのです。そこから物品を買ったり、お菓子を買ったりします。
母「少しの金額だと思いますが、ホームに寄付していただけないでしょうか」
事務所職員「いいんですか…ありがとうございます。ははっ、少しの金額だと思いますがわかりました」
些細なやりとりだったのですが、事務所職員の方が笑ったことに、親族としては少し違和感がありました。
人が亡くなっているのに…

事務所でいてる方と、現場でお仕事されている方とでは温度差を感じました。
母「たいしたものではないのですが…職員の方で食べていただければと思いまして」
母は持ってきた袋を、差し出しました。
お世話になった職員の方々に、食べていただこうと購入してきたお菓子でした。
事務所職員「こいうものは、受け取れないということになっているので…」
母「本当にお世話になりましたので、寄付として受け取ってもらえれば…」
事務所職員「寄付としてでしたら…。入所されているかたへのおやつとして、使わせていただきます。ありがとうございます」
そこへ祖母が見ていてもらっていた、看護師さんが通りがかりました。
看護師「この度はご愁傷様です」
「最後は安らかなお顔をされていましたね…」
優しいお言葉をかけてくれました。その言葉に、私も母も涙ぐんでいました。少し立ち話をしていると、看護師さんの携帯がなります。
看護師「○○さんのー」
親身になり、寄り添ってくれた看護師さん。
看護師さん「お母さん、体には気をつけてくださいね。介護していた方が、後に身体を崩されることはよくありますから」
患者さんの元へ走ります。その表情は、次の患者さんを支える強いまなざしでした。
かるく、会釈し別れ告げました。
エレベーターから一人の職員の方が降りてこられ、声をかけてくれました。
介護士さん「○○さんのご家族ですか?」
母「はい」
介護士さん「この度は御愁傷様でした。」
「○○さんの担当をさせもらっていたものです」
祖母の担当してくれてた介護士さんでした。
母「本当に今までお世話になりました」
介護士さん「いえ、本当にこちらこそ○○さんにはたくさんの思い出をもらいました」
「よかったらなのですが、写真の方が部屋に残っておりまして持って帰られますか?」
母「はい、いただけますか」
忙しい中だったと思うのですが、祖母の写真を持ってきてくれました。
祖母に寄り添ってくれる、優しい介護士さん達の笑顔が溢れていました。
家では祖母を支えてあげることは、出来ませんでした。
食事、お風呂、排泄、どれも介助が必要でした。
祖母の入所を母に、決断させたのは私でした。
私がアラジンを出産してから介護を手伝えなくなることから、入所させてほしかったのです。
母は近所の目もあるから、祖母を連れてどこかのマンションで二人で暮らしたい…っと言い始めていました。
これを聞いた時に、介護心中しかねないな…と思い、入所させることを進めました。
親戚に介護士をしている方がいるのですが、
“両親の介護できない”っと言っていました。
家族だからこそ、見てあげないといけないっと言う意見もあるかもしれませんが…
ー家族だからこそ、介護ができないー
愛する家族だからこそ…
自分の存在さえも忘れ去られていく…
自分を愛し育ててくれた存在の人が、近くにいながら失われていく…
その現実を見るのは、とても辛く悲しいことなのです。
介護士の仕事は本当に、大変なことだと思います。
祖母のことをみてくれて、
本当に…
本当に…
本当にありがとうございました。
涙で言葉で、伝えることはできませんでした。
介護士さんと写っている写真を受け取り、伝えきれない感謝を胸に別れました。
自分の住んでいるマンションから、老人ホームへはとても近くでした。
最後の方は、あまり足を運んであげることができませんでした。
言葉を失っていく祖母と、言葉を話さないアラジン。
その姿がどうしても、私には重なって見えてしまって…。
祖母に会いに行ったその日には、悲しい気持ちでアラジンを見てしまうので、行けなくなっていました。
でも、1日たりとも忘れたことはありませんでした。
今でも老人ホームの前を通ると、祖母のいた階の窓を見てしまいます。
クリスマスが近づくと、プレゼントを何にしようか…っと思い、いないことに気がつくー
祖母の死は悲しいものですが、同時に見おくってあげることができた安堵感がありました。
障害のあるアラジンのことは、見おくってあげることはできません。兄弟もいないので、私たち夫婦がいなくなったらアラジンは一人。
私とパパがいなくなった世界でも、アラジンが一人で生きていけるように道をつくってあげること。
これが私の一生の役目。
見守ってくれてたら、嬉しいな。
ね…ばーちゃん
