本当にあった不思議なお話
その10は
私の二十代半ばの体験












ある朝のこと
会社に向かう為
いつものホームに降り立った私
そこに見知らぬおばあさんが
声を掛けてきた





あなたお子さんがいらっしゃるでしょう?





おばあさんの第一声はそれだった
何を意味するのか咄嗟には分からず
戸惑って黙ったままの私に 更に





お二人いらっしゃるでしょう?





そもそも
私は通勤途中なのだ
当然子供は連れていない
巻き髪にミニスカートの私が
結婚をしていることも
子供を持っていることも
わかろうはずのないこと
しかも二人ときた
おかしなことを言ってくる
ただ
確かに二人居る











はい…子供は…いますけれど……



その子さん変わったところがない?



変わったところですか……



そう
神様と話したり
ご先祖様と話したりしていない?



えっ…うちの子ですか…それは二人共
神社の前では神様にご挨拶はしますし
ご先祖様には普通の会話の様に話しますが
変わったところと言われても
どちらの子供のことですか……



あなたが
最初にこの世に産んだお子さん!



えっ…上の子のことですか……






そうその子
その子は特別なお子さんです
一族を救う子です
大切にお育てなさい






はぁ…ああ…はい……












会話はそこまでだった
私は
変なことを言うおばあさんだなぁと
キツネにつままれたような心持ちで
到着した快速電車に乗り込んだ





その夜
母親に一本電話を掛けて
今朝おかしなおばあさんに会ったと
ホームでの出来事を伝え
それきり
その日のことは忘れてしまった
それが
意味あるものとも思っていなかったから












それから7〜8年程経った
子供が小学校の高学年になった頃
どうやらウチの子には
常人にはみえないものがみえ
きこえないものがきこえているらしいと
母親に話したところ




それはそうでしょう
だって前に言っていたじゃない
ホームでおばあさんに言われたって




母親にそう言われても
私には思い当たる記憶が無かった
あの日あのおばあさんを訝しがった私は
母親に話したのを最後に
それを捨て去る記憶として扱ったのだ




母親は私があの日伝えた話を
事細かく再現してみせた








それを聞いているうち
記憶の海の最も深い場所あたりから
ユラユラとあの日の出来事が蘇り
ホームに降り立ったその瞬間からの全てが
まるで映画の様に脳内の中枢に映し出された



あの日
私が着ていたスカートの色
巻き髪を留めた髪飾り







そうだこの子は



一族を救う子



あの日そう言われたのだ






















【あとがき】

上の子にむけて
一族を救う為に生まれた
大切にお育てなさい
そう言われたのを
はじめは
親戚一族との意味に捉えた

しかし時を経て
その子を育てるうち
一族とは
この国の一族
この星の一族
なのかも知れないと
そう思うようになった



のちのち別の声から
下の子はお前を救う為に生まれた
そう言われたことがある

つまり
荒ぶる困難な人生の中
一族を救う大切なその子を育て上げるまで
私が息絶えないように
命を投げ出さないように
私を守る為
下の子はこの世界にやってきたのだと
そう とある神が私に伝えた










ami