↑
前回のオモチャの断捨離騒動の後、そうだ、これを機会に、今夜はこどもたちと別室で寝よう。と、思った。


何がこれを機会になのかは分からないが、以前から別々で寝ようとは、何度か伝えていたのだ。しかし、こどもたちは「ぜったい嫌や」と反対し、まだ実現していなかった。


こどもたちの気持ちは分かるし、わたしもわたしで、本気で別々で寝る決心をしていなかった。しかし、オモチャの断捨離についてひとしきり怒って一件落着した今回のわたしは、腹をくくっていた。


「妹ちゃん、明日で3歳になるし、ふたりともお姉ちゃんになったから、もうふたりで寝な。絵本は読んであげるから。」と言ったら、長女は「えー」と言ったが、「まぁ絵本読むんやったら、ええで。」と案外すぐに快諾してくれた。次女は「がんばる」と言った。


なんて立派なんだろう、と親バカながら感心した。


母の本気が伝わったのか、さきほどふたりで、これから残すオモチャを選出したことによって、ある種の絆が生まれたのだろうか。いつもより心なしか、堂々とわたしの提案を受け入れているように見えた。


もしくは、「このお母ちゃんはどうしようもない人だから、もうふたりで手を合わせてがんばるしかないね」と、幼心に悟ったのかもしれない。何はともあれ、別々で寝るという提案は、めでたく実行に移されることとなった。


3歳と6歳で親と別室で寝るのは早いと思われるかもしれないが、アメリカや他国では、新生児の頃から別室で寝ると聞いて、長女が生まれたときからわたしもそうしたいとずっと思っていた。


これもわたしの個人的な希望になるが、とにかく夜は何にも邪魔されず、朝まで寝る時間がほしかったのだ。


万年寝太郎というあだ名を持つほど寝ることが好きなわたしが、こどもたちとの就寝による「こどもが寝ない」「寝相で蹴られる」「夜泣き」の三本の矢との戦いで、万年寝不足になってから数年が経つ。


ディズニー映画のラプンツェルを見たときに、お城に住んでいた赤ちゃんのラプンツェルが、両親とは別室で夜寝ているところをゴーテルにさらわれていたが、そのシーンを見てやっぱり他国では別々に寝ているんだなぁと思った。そこかよ、とツッコミが来るかもしれないが(笑)


しかし、それを実際に日本の一軒家でやってみるのは、ハードルが高かった。ゴーテルにさらわれることはないだろうが、夜中に何かあったらとやはり気になるし、わたしはアメリカで育っていないし、周りでそうしてる人の話も聞かなかったので、いまひとつ実行する勇気がでなかった。


夫は仕事からの帰りが夜遅く、テレビを見ながら寝るという習慣があり、わたしは寝るのが早く、テレビを見て寝るのはぜったい無理なので、もともと別々で寝ていた。夜中の見えない育児をひとりでやっていたのは、本当にすごいよなぁと自分で思う。


それが今までの我が家の選択だったわけだが、こどもたちのオモチャの片付けがきっかけで怒り狂ったわたしが、その勢いで別室で寝るなんて言い出すのだから、選択とはいつどうなるかわからないものである。


別々で寝るに当たって、可愛い寝床作りが肝心だという話になった。どうせ別で寝るなら、可愛いところで安心して寝る方が楽しい。


ちょうどいいタイミングで、さきほどオモチャを猛スピードで断捨離したし、オモチャを収納していたラックまで片付けたので、こどもの部屋は広々してピカピカになっていた。夜なのに掃除機をかけ、さらにピカピカになった。


部屋のすみっこに敷いていた布団を、真ん中に持ってきて、天井を指差し、「この上に天蓋カーテンがあるよ~お姫さま~さぁどうぞ!」と言って、天蓋カーテンなど実際はないのだが、空想で開けたり閉めたりたなびかせたりして、遊んでいた。


そうやっていると不思議と、天蓋カーテンっぽいものがあるように見えてくるので、さらにワクワクしてくる。こどもの頃、ほとんどこういう空想の世界で遊んでいたことを、ふと思い出した。


こどもたちは「色はブルーがいいなぁ」「シンデレラみたいなやつ!」「ここにアンパンマン置く!」と、イメージを鮮明にして始めた。こどもは、イマジネーションの天才だよなぁとしみじみ思う。


可愛い寝床を作ると言っても、実際には布団の位置を移動し、天蓋カーテンのイメージを膨らませ、次女が希望したアンパンマンたちのぬいぐるみを並べただけである。


それでも、いっしょに空想を膨らませるという作業は思いの外楽しい。こんな楽しい時間があったんだなと、忘れていた気づきを発見した。


それから、絵本を読むことにした。わたしが読んだあとに、こどもたちにも「読んでちょうだい」と頼んでみた。長女は「えー、しゃあないな~」と言いながら、幼稚園の先生のように読んでくれた。


次女は書いてある文章を読むのではなく、なんとなく絵から物語をアテレコして、彼女の言葉で読んでいた。これがかなり貴重で可愛いもので、長女とわたしは「可愛い~」とデレデレしていた。


そんなこんなで、あっという間に1時間くらい経ち、怒っていたわたしも、巻き込まれたこどもたちもほっこりしたところで、就寝することにした。


愛してるよとチューをして、じゃあまた明日ねと、部屋を出た。長女は「妹ちゃん、お母ちゃんいなくても大丈夫だよ。ねぇねがいるからね。」と次女に声をかけていた。次女も自分でタオルケットにくるまり、「わかった」と力強く答えていた。数分後、ふたりともいつも通りすさまじい寝相で、グーグー眠っていた。


この寝相で顔を蹴られることもないと思うと嬉しい反面、こどもたちが気になって寝れないかもしれない、、とも思ったが、布団に入ったら、久しぶりに朝までぐっすり眠れたわたしがいた。


それから数日経ち、こどもたちと別室で寝ることは継続中だ。


こどもたちと空想を膨らませるって楽しいんだなぁとか、子離れって急に始まるんだなぁとか、わたしは自分が怒り狂ったことがきっかけになったことも忘れて、新たな気づきと発見を、嬉しく思っている。