これは、今から7年くらい前のお話です。


今でもふと思い出されます。


忘れないでおこうと思ったからかもしれません。

      
頭に怪我を負った子猫。


名前もなかった、小さな子猫のことを。

*****

ある日、私は次女(当時3歳)を連れて買い物に出掛けようと駐車場へ向かいました。


アパートの管理会社からお借りしている、草だらけの月極駐車場だったのですが、車に乗り込もうとした私の足に何かが当たりました。


「にゃあぁ、、、。」


あれ?子猫!?


自分からすり寄ってくるなんて、、、飼い猫なのかな?、、、甘えてるの!?


私は思わず子猫を抱き上げ、顔を覗きこみました。グレーで黒い縞模様の可愛らしい子猫。


けれどもすぐに異変に気付きました。


自分にも触らせてと、せがむ次女に言いました。


「ねぇ?この子、怪我してるよ。このまま駐車場に居たら車に引かれちゃうかもしれない。お買い物は後にして、動物病院へ連れて行こう?」


念のため管理会社に怪我を負った子猫を駐車場で拾った事を報告し、元気になるまでの間、もしかしたら、アパートで面倒を見ることになるかもしれないと伝えました。


甘えたくてすり寄って来たのではない、助けて欲しかったんだ、、、。


なんとなくそんな事を考えながら、私は次女を連れて動物病院へ向かいました。

*****
診察に呼ばれた私は、自分の飼っている猫ではないけれど、放っておけなくて連れてきたと伝えました。


それに頷き、獣医は丁寧に診察をはじめました。子猫の頭部も顔も、素人でも見て分かるほどに腫れていて、獣医が傷口を押すと、かなりの量の血膿みが出てきました。


「多分、大人の猫か何かに噛み付かれたんだろうね。頭蓋骨も顎の骨も砕けてしまっている。ご飯を食べるのも難しい。どちらにしても厳しい状態です。どうしますか?」


私はこの子の飼い主ではない。
でも咄嗟に動物病院に連れてきてしまった。


迷わず答えました。


「治療してください!この子を助けてあげてください!!」


それを聞いた獣医さんから返ってきた言葉。

↓↓↓

「では、もしも救うことが出来たとしたら、あなたはこの子を飼えますか?」


、、、え?


、、、へっ?


そうだよね、、、。



それ、多分

知りたいよね。

(バカ笑い泣き



「実はアパート暮らしで猫は飼えないんです。元気になるまでは面倒みるからと、管理会社へは一応断りをいれてありますが、、、。」


それしか言えない私。


「では、元気になったらその後、この子をどうするのか、決めているのですか?」


、、、き、決めてねぇ。


そんなこと、決めてる訳ねぇ、、、。


だって、助けてあげたいって、それだけの想いでここへ「連れてきただけ」だから。


そんな事、急に言われても、、、。


返答に物凄く困ったわたし。


「あの、、、。
その後の事は
あとでも
いいですか!?」

(↑やっと考え抜いて思い付いた、

くそ💩回答。

*****

思った以上に重傷だっ子猫。


獣医曰く、生後2ヶ月にも満たない小さな子でした。いつ容態が変わるかもしれないとの事で、子猫は病院で預かってくれることになりました。


助かるかどうかはまだ分からないけれど、とりあえずこれで良かったんだよね、、、?


きっと、この子も私に助けて貰いたかったんだよね?


、、、だって、ほら、よく言うじゃない?


動物は「動物が好きな人間が分かる」って。この人はきっと心優しい人だって。この人なら自分をきっと助けてくれるだろうって。


、、、それってまさしく、



「私の事」じゃね?


*****

ねぇ。

今日、私

とても良い事した♥❤


子猫の事は獣医に任せて安心だし、私は次女と動物病院を後にしました。

誇らしげに、その日の出来事を自慢気に夫に報告する始末。


本当に満足でした。

ただの自己満足。

、、、振り返るのが、嫌になるくらいの。

*****

それからというもの、私は仕事を終えると娘二人を連れて、毎日子猫のいる動物病院へ通いました。

「今日はご飯を食べましたよ。」

「看護師に可愛く鳴きましたよ。」

「スタッフ一同、いつも可愛がっていますよ。」

そんな報告を毎回してくれる獣医。


ほんとに優しい。


やっぱり助けて良かった♥️
(↑連れてきただけの人。)

*****

このまま回復するかに思えた子猫。


退院後の事は、きっと何とかなるだろう。


いいえ、何とかして見せる!


そんな漠然とした考えだけで、子猫に会いに行っていました。


けれど入院10日目で「残念ながら助けられませんでした。」と病院から電話が入り、あの子猫の命が終わってしまった事を知りました。


私は子猫を病院から引き取り、広い庭のある実家に向かいました。


少しのご飯とお花を一緒に入れ、庭の片隅に埋めて娘達と手をあわせました。


その時、次女が言いました。


「ママ?この子の名前ってなに?」


名前、、、。


そうだった。


前もこの子に付けてあげていなかった。


「この子を飼えますか?」


その時になって獣医の言った言葉が、急に私の胸を締め付けました。


「この子を飼えますか?」


いいえ。
私には飼うことは出来ません。


ペット禁止のアパート暮らし、そのくせ、他の誰かのあてもない、誰かに相談していた訳でもない。


、、、私は尊い命に、ただ、無責任な事をしてしまっただけかもしれない。


ほんとに良い事したって言える?


救えたら、、、


もし救うことが出来たら、


そのあとどうするつもりだった?

*****

動物保護活動や、盲導犬育成の募金箱をたまに見かけることがあります。気付いたときには、恥ずかしながら少しでも募金するようにしています。


私に出来ることなんて、実際はそれだけです。


たったそれぐらい。


それぐらいの自称、動物好きなんです。

*****

でもあの時、


おこがましくも頭を過った思いがあります。


手をあわせながら、


そして今でもその思いは変わらないこと。

*****          *****          ****


子猫ちゃんへ。


「もしも、生まれ変わる事が本当に出来るのならば、

今度は迷わず私の所へおいで。


必ずあなたを抱き上げて、


一生懸命に名前を考え、


必ずあなたを大切にするから。


今度こそ必ず幸せにするから。」

「だいたいこのオバサンはいつも感覚で行動し過ぎるんでしゅよ?もう少し考えてから行動すべきでしゅ。」
by   奏夏。