(※写真は東京・府中刑務所)
犯罪者が社会から求められるのは、自らの犯した罪を反省し、再び罪を犯さないことです。刑務所に入れば自由を奪われるため、「こんなところには二度といたくない」と思うものです。
これが再犯の抑止につながりますし、刑務所内で規則正しい生活を送り、刑務作業で技能をつければ、社会復帰にも役立ちます。
★生涯犯罪をくりかえすタイプの犯罪者がいる
しかし、このような刑罰が再犯を完全に抑止できるかというと、そうとは限りません。どうしても一定の割合で再び罪を犯す人はいるのです。
米国の犯罪学者のテリー・モフィット(1955~)は、犯罪者を「青年期限定型犯罪者」と「生涯継続型犯罪者」に分けました。
青年期限定型犯罪者とは、いわゆる若気の至りで犯罪を犯してしまうタイプのことで、このような人たちは、精神の成熟とともに犯罪をおこさなくなります。
【心理学】サイコパスの心理 (4/3)
しかし、人口の数パーセントは、残念ながら死ぬまで犯罪を繰り返す可能性があります。これが【生涯継続型犯罪者】です。サイコパスの犯罪者もこの中に含まれていることが多いと思われます。
★原田隆之教授(筑波大学)
「再犯者率」過去最悪49.1% (2021/12/24)
近年、犯罪者の【再犯者率】が増えています。この言葉だけを聞くと、何だか治安が悪化しているように感じるのかもしれませんが、実は逆です。
再犯者率が高いということは、犯罪者の中に占める再犯者の割合が高いことを示します。つまり、これは相対的に生涯継続型の犯罪者の割合が高まっているということです。
生涯継続型の犯罪者はどの時代にも一定数存在しています。しかし、社会が安定している今、全体的に犯罪数は減っています。よって、生涯継続型の犯罪者の割合が高まるのです。
★刑務所の中で犯罪者を治療する取り組み
犯罪を繰り返す犯人に対しては、刑罰だけではなく治療も有効です。例えば、薬物の場合、刑務所内では薬物とふれる機会はないので、服役中には本気で「もう二度とやらない」と思う人もいます。
しかし、出所後に昔の悪い仲間が近づいて来たりして、再び薬物と触れる機会があると、つい手を出してしまうのです。薬物と再び接する機会をなくすことがまず大切ですが、根本の原因となる依存症を治さないと意味がないのです。
薬物依存を有する者への支援等 (法務省HP)
そこで、日本の刑務所では2006年から刑務所内で犯罪者を治療する取り組み(正確には特別改善指導)を始めています。
例えば、性犯罪者に対してはアセスメントを行い、再犯リスクの高い人と低い人に分け、リスクに応じた治療を受けさせます。
治療では、例えば、犯罪の引き金となる刺激を回避したり、別のことで気を紛らわせたりしてうまく対処する方法を見つけて実践していけるようにします。
なくしたい、性暴力(2020年 中京テレビ)
また、認知の修正も大切です。例えば性犯罪者は「相手も痴漢をされて喜んでいる」と考えていたり、薬物常習者も「薬物はいあやなことを忘れさせてくれる」と考えていたりすることがあります。このような【認知のゆがみ】を修正していくのです。
しかし、現在のところ、刑務所以外で犯罪者に「治療」を提供できる施設はありません。
アトム弁護士相談より
犯罪をおこしても初犯では執行猶予がついたり、罰金刑だったりすることが殆どで刑務所には入れないため、犯罪者は治療を受けられずに、そのまま社会で暮らすことになります。
2~3回捕まってからようやく刑務所に入って治療を開始するのですが、これでは遅すぎます。本来なら、もっと早い段階で犯罪者が治療につながる仕組みをつくることが重要だとおもいます。(転載終了)
(参考書籍)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)
【報道特集】小児性犯罪の実態、当事者たちの思い(2024年)
★過去記事









