今月の「心理学講座」です。
今回は【手抜きの心理】についてです。
重い荷物を複数の人で持ち上げて運ぶ時、悪いことと思いつつも、自分一人くらい力を抜いても何とかなるだろう、と考え、力を抜いて運ぶふりをしてしまった経験はないでしょうか?
これは【社会的手抜き】とよばれる心理で、集団心理学でよく研究されています。他人と協同で作業を行う時、単独で作業を行う時より一人の出す努力の量が小さくなることです。
作業にかかる人数が多ければ多いほど、努力の量には差が出ることも分かっています。(リンゲルマン効果)
この社会的手抜きは、他の心理現象のように、昔から実験によって確認されています。釘原博士は、この社会的手抜きの効果を調べる実験を、つり革の装置で行いました。(上図)
この実験では、装置のつり革を被験者一人一人に力いっぱい引いてもらい、その張力を測定します。被験者は9人です。
被験者たちには、次のようなアナウンスがありました。
「1回目と12回目の測定時には、個人の張力が記録される。その間に行われる測定では、被験者全員の力の合計値が記録される」
実際には全ての測定時に個人の張力が記録されました。
その結果、グラフにみられるように、個人の力が記録されるとアナウンスされた1回目と12回目よりも、集団の力が測定されるとアナウンスされた2回目から11回目の時の方が、圧倒的に個人の張力は小さかったのです。この傾向は男性で顕著にみられました。
このような社会的手抜きは、集団で仕事をする時に、仕事の効率を妨げる恐れがあります。社会的手抜きを防ぐ方法として博士は次のようなアドバイスをしています。
★釘原博士曰く
まず、一人一人の貢献度がはっきりとわかるようなシステムをつくるべきです。また、集団全体の現状の成果をリアルタイムで知らせることも効果があると思われます。
さらに、作業をする仲間同士で信頼関係を築くことも大事でしょう。
自分だけが頑張って損をしているのではないかという不安もなくなるし、能力の低い人が周りに迷惑をかけられないと思い、意欲を向上させるという協同作業の良い面を引き出すこともできます。(転載終了)
(参考図書)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)
【心理学】リンゲルマン効果




