≪宇宙の基本法(Ⅱ)≫(青字は少年ペドリゥート)
(アミ、見渡したところ、どこにも金網が張っていないようだけど、どうやって自分と他人の土地を区別するの?)
「その必要はないんだ。ここでは、全てのものがみんなのものだからね。」
(じゃ、誰も進歩することに関心をもってないの?)
「いいたいことがよく、わからないなぁ・・」
(他の人に差をつけて、抜け出ることだよ。他人よりも、余計に持つことだよ。)
「余計に持つって、何を持つんだい?ペドゥリート」
(お金だよ)
「でも、ここにはお金は存在していないよ・・」
(じゃ、どうやって、物を買うの?)
「売り買いはしない。もし誰かが何か必要なものがあったら、行って持ってくる」
(なんでも?どんなものでも?)
耳に入ってくる言葉が信じられなかった。
「うん。必要なものをね。もし、誰かが何かを必要とし、その必要なものがそこにある。それを持ってきてどこがいけないの?」
(その辺を走っている車も?)
「うん。それに円盤もね。誰でも円盤を使うことができる。」
(じゃ、この円盤は君(アミ)のものなの?)
「ペドゥリート、≪君のもの≫って、君が言いたいのは所有ということだと思うけど・・すべてのものがみんなのものなんだよ。必要な人が、必要なものを、必要な時に使うんだ。」
(じゃ、使わなくなった時は?)
「そうしたら、使わないまでの話だよ」
(でも、もしその円盤を僕だけで、他の誰にも使ってほしくないとしたら?)
「どうして、誰にも使わせないの?」
(多分、自分のものは他人に使ってもらいたくないからね・・)
「でも、どうして?ここには伝染病患者はひとりもいないよ・・」
(よくわからないけど、自分のものは自分だけのもので、他の誰のでもないものがいいんだと思うよ。)
「それは所有病だよ。エゴイズムだ。」
(エゴイズムなんかじゃないよ)
「じゃなんなの?寛大さかね?」・・アミは笑って言った。
(ということは、歯ブラシもみんなと共有じゃないといけないことなの?)
「やれやれ、またもや極端論だ!・・誰も君の歯ブラシなんかに興味をもっちゃいないよ。歯ブラシも他の個人的な所有物も何も他人と共有する必要はない。ここでは物は余っているんだ。誰もそれにこだわったりする人はいない。でも、円盤を他人と共有するのが嫌だとはね・・その上、飛行場では、機械が円盤を点検したり、修理してくれて、自分でわざわざやらなくてもいいんだよ。」
(一見、良く聞こえるけどね。何か寄宿学校みたいな感じがするよ。全て義務で、いつも監視されているような感じだね・・・)
「全然ちがうよ。ここの人はもっと幅広く、ずっと自由に楽しんで生きているよ。」
「アミ 小さな宇宙人:エンリオ・バリオス 著」(徳間書店)より
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