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秋の入り口は、ただ涼しくなるだけではなく、
光まで少し古びて感じるのがいいです。
秋の気配を言葉に移すには、白露ほど文章映えする節気もありませんし。
白露の静けさは、言葉にするとかえって深まりますよね。
2026年の白露は9月7日です。
また、9月7日から次の二十四節気の次の第15節、
秋分の9月23日までの15日間ぐらいを指します。
白露どころか豪雨の都心ですが、それでも・・・
白露断章
黒の余韻をひと夜の底に沈めた町は、
今朝、白露という名の淡い気配にそっと襟を正している。
夏の名残はまだ瓦にも草の葉にもわずかに宿っているのに、
空のどこかでは、もう季節の権柄が静かに譲られたのであろう。
夜のあいだに降りた冷えは、庭の下草に細かな露を結ばせ、
その一粒一粒が、暁の薄明りのなかで、声もなく白く息づいている。

「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となれば也」と古い暦は言った。
まことにその言葉には、手で触れれば壊れてしまうほどの
端正な寂しさがある。暑さというものは、去りぎわにこそ執着ぶかい。
去りたくはないと、昼の日差しの端にまだ淡い熱を残してみせる。
けれども朝は、もう夏の味方ではない。
朝もやは野の面を低く流れ、露は草の先にかすかな震えを
宿しながら、白く、冷たく、短い命を照り返す。
その白さは雪のように激しくもなく、
月光のように高貴でもない。
ただ消えやすいものだけが持つ、はかなさの色である。

人の思い出もまた、かつては熱をもって胸を灼いたはずなのに、
時がたてば、この朝露のように輪郭だけを淡く残し、
触れた途端に失われる。
白露とは、季節の移り目である以上に、
万のものが衰えへ向かいながら、なお一瞬の
麗をひらく、その沈黙の名なのかもしれない。
やがて秋分へいたる十五日のあいだ、
空はいよいよ澄み、風はいよいよ骨ばり、
ひとの心にもまた、説明しがたい翳が差す。
栄えたものは静かに褪せ、
満ちたものは音もなく欠けてゆく。
それでも朝の露は、
滅びの手前でただひとたび、
白く美しく光る。
終わりとは潰えることではない。
消えゆくものが最後に最も透きとおる事。
むしろ滅びの間際にだけ
許される、沈黙の気品。
朝日にほどけるこの露のごとく、
この想いも、まもなく空へ帰っていく。
最後までご覧頂きありがとう。
今日が良い日となり、
明日がさらに素晴らしい日となりますように
。
インスタフォロー宜しくお願いします↓↓↓
https://www.instagram.com/naoo_kumagai/
撮影レタッチ 文 熊谷
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光まで少し古びて感じるのがいいです。
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白露の静けさは、言葉にするとかえって深まりますよね。
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秋分の9月23日までの15日間ぐらいを指します。
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黒の余韻をひと夜の底に沈めた町は、
今朝、白露という名の淡い気配にそっと襟を正している。
夏の名残はまだ瓦にも草の葉にもわずかに宿っているのに、
空のどこかでは、もう季節の権柄が静かに譲られたのであろう。
夜のあいだに降りた冷えは、庭の下草に細かな露を結ばせ、
その一粒一粒が、暁の薄明りのなかで、声もなく白く息づいている。

「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となれば也」と古い暦は言った。
まことにその言葉には、手で触れれば壊れてしまうほどの
端正な寂しさがある。暑さというものは、去りぎわにこそ執着ぶかい。
去りたくはないと、昼の日差しの端にまだ淡い熱を残してみせる。
けれども朝は、もう夏の味方ではない。
朝もやは野の面を低く流れ、露は草の先にかすかな震えを
宿しながら、白く、冷たく、短い命を照り返す。
その白さは雪のように激しくもなく、
月光のように高貴でもない。
ただ消えやすいものだけが持つ、はかなさの色である。

人の思い出もまた、かつては熱をもって胸を灼いたはずなのに、
時がたてば、この朝露のように輪郭だけを淡く残し、
触れた途端に失われる。
白露とは、季節の移り目である以上に、
万のものが衰えへ向かいながら、なお一瞬の
麗をひらく、その沈黙の名なのかもしれない。
やがて秋分へいたる十五日のあいだ、
空はいよいよ澄み、風はいよいよ骨ばり、
ひとの心にもまた、説明しがたい翳が差す。
栄えたものは静かに褪せ、
満ちたものは音もなく欠けてゆく。
それでも朝の露は、
滅びの手前でただひとたび、
白く美しく光る。
終わりとは潰えることではない。
消えゆくものが最後に最も透きとおる事。
むしろ滅びの間際にだけ
許される、沈黙の気品。
朝日にほどけるこの露のごとく、
この想いも、まもなく空へ帰っていく。
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