9月になったので、ブログのヘッダーを変えました。(ギザのピラミッド群) | ザスタのクマさん

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9月になったので、ブログのヘッダーを変えました。

砂漠の乾いた光で雨の気配を遠ざける趣向が、
九月の入口にふさわしいと思い。

秋雨前線の湿りも、台風の遠鳴りも、線状降水帯の不穏も、
ここまでは来まいと思はせるものがある。

ギザの砂はただ静かにひかり、ピラミッドの麓を
ゆるやかにゆくラクダの背には、歳月をやさしく
連れ添つた二人。乾いた風は黙して高く、
九月の空を澄ませてゐる。


表紙原画


塵の都にて石の夢を仰ぐ

昼の日は容赦なく砂の大地に降りそそぎ、
砂漠は、地図の上で遠く始まるものではなかった。
ただギザ町の縁から、黙って世界の表情を
変えているにすぎぬ。その移り目に立った時、

私はいささか眩暈に似た思いを覚えた。
しかるに現実は、車の音、商人の呼び声、日々の
暮しの塵埃のすぐつづきに、ピラミッドはあった。

その取合せの不思議は、
夢の中に時計の音を聞く時の心持に似ていた。







遠く望めば、むしろ静かな幾何学にすぎぬものが、
近づけば、石はもはや景色ではなかった。一個一個の塊が、
荒々しく、重く、無愛想で、しかも人間の手の記憶を
どこかに宿していた。かかるものを、遥かな昔、

鉄の力にも機械の智にも乏しかった時代に、
よくぞ積み上げ得たと思うと、私はただ
驚くよりほかはなかった。

文明とは、必ずしも新しきものの名ではない。
古代の沈黙のうちにも、すでに眩暈を催させる
ほどの意志があったのである。






ピラミッドはかつては登ることもできたと聞いた。
しかし今は禁じられている。それは当然だろう。

実際、近くに立てば、その斜面は思いのほか急で、
人の脚力や好奇心を軽くあしらうほどの威厳を備えていた。

ピラミッドは黙したる王の墓標のごとく、
遠い世の栄華を乾いた空へ押しあてていた。

その前でスフィンクスはただ静かに、
傷ついた夢の番人めいて、来し方を見、
行く末を見ぬふりで坐している。







ラクダばかりが、白く灼けた昼のなかに
悠然と膝を折っていた。旅人の眼にひらめく驚きも、
胸をかすめる感傷も、あれらは少しも受け取らない。

ただ黙って、この土地に積もる古い時のうちへ
身を沈めている。砂は眩しく、ものの影さえ哀しく薄い。

私はその傍らに立ち、旅をしているのは己ひとりで、
彼らは最初から永い静寂の住人であったと思った。






やがて光は痩せ、石の稜はしずかに暮色へ沈んだ。
栄華は滅び、滅びしもののみ、ときに栄華より
永く世に踏みとどまる。人の世の賑わいは町に満ちる。
されど言葉を奪うものは、つねに砂であった。

ギザの空の下、
私は石の永さと人の世の脆さを終日の内に知らされた。
都は砂漠の縁に息づき、砂漠は黙して都を窺い、

ピラミッドは幾千年の無言によって、
人間の夢の重みをなお支えている。






最後までご覧頂きありがとう。

今日が良い日となり、

明日がさらに素晴らしい日となりますように晴れ。

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撮影レタッチ  文   熊谷


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