ダッフィー 登場人物 ダッフィー


ミッキー 山下美生 ・・・ K音大3年生 ピアノ専攻 21歳


ミッキー 森田柊也 ・・・ 同大学3年生 バイオリン専攻 21歳 美生の恋人


ミッキー 工藤涼 ・・・ 美生の高校時代の同級生 元カレ 20歳


ミッキー カイト(種橋海斗) ・・・ 涼の中学時代の2年先輩 ミュージシャン


ミッキー 夏樹柚葉 ・・・ カイトの恋人 若手人気女優



デールダッフィー 今までのお話し デールダッフィー


「プロローグ」


「1」  「2」  「3」  「4」  「5」  「6」  「7」  「8」  「9」  「10」


「11」  「12」  「13」  「14」  「15」  「16」  「17」  「18」  「19」  「20」


「21」  「22」  「23」  「24」  「25」  「26」  「27」  「28」  「29」  「30」


「31」  「32」  「33」  「34」  「35」  「36」  「37」  「38」  「39」  「40」


「41」  「42」  「43」  「44」  「45」  「46」  「47」  「48」  「49」  「50」


「51」  「52」  「53」  「54」  「55」  「56」  「57」  「58」  「59」  「60」


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「121」 「122」


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涼は大きくうな垂れると、

「 ミウッペ・・・・オレって最低だろう・・・? 」

涙声で、そう呟いた。

「 涼・・・。 」

美生には言葉が出てこなかった。

「 美生・・・涼は理性を保てなくなってしまったんだよ。

  状況も状況だったし、理解してあげてほしい。 」

「 ・・うん・・・わかってるよ・・・柊也・・。

  私・・涼のこと、責めるつもりはない。 」

柊也の言葉に頷く彼女を申し訳なさげに見つめた涼は、

「 ありがとう・・・・ごめん・・・。 」 と小さく呟くと、また話し始めた。

「 その日を境に、オレと柚葉は、男と女の関係になってしまった。

  カイト先輩の目を盗み、たびたび柚葉とは密会していた。

  柚葉は、オレにとって ”愛する一人の女” ではあるけれど、

  時には ”姉” であり、”母親” でもあった。

  カイト先輩への裏切りになるなんて、どうでもよくなるくらいに、

  オレは、もっと柚葉に溺れていった。 」

「 涼と柚葉が男と女の関係になってからも、

  カイトと柚葉は続いていたのか? 」

柊也の問い掛けに、

「 ・・・あぁ・・・続いていたよ。

  カイト先輩は覚せい剤の影響からなのか、

  とても疑り深く、攻撃的になり、

  柚葉が他の男と関係を持っているんじゃないかとか、

  しつこく追求するようになっていたらしい。

  それでも彼女は、決してオレとの関係を洩らさなかった。

  カイト先輩は柚葉に、こう言っていたらしい。

  ”オレは、柚葉だけを愛してる・・・悔しいくらいに、お前の虜だ。

   お前を愛し過ぎて・・・不安なんだ。

   ・・もしも他の男と関係を持っていたら、お前を殺す” と・・・。

  柚葉は怖くなって、ますます別れを告げられないままだったんだ。

  だから彼女はカイト先輩と付き合いながらも、

  オレとも関係を持つ日々が、しばらく続いていた。 」





~~~

涼と柚葉が、男と女の関係になってから、3ヶ月後。

カイトの覚せい剤中毒は、あれからまた進行し、

奇怪な言動までするようになった彼は、

表向きは体調の不調を理由に、無期限で活動を休止した。

そして、ほとんどカイトはマンションに引きこもった。

覚せい剤の入手方法はというと、

今までG座のクラブのママさんの知り合いを通して、直接、購入していたが、

その知り合いがインターネットでも売買しているとのことで、

インターネット購入し、デリバリーしてもらう方法に切り替えていた。

覚せい剤が切れて、所持の分が無くなると、カイトは苛立ち、

涼が横取りしたと疑う始末で、潔白を信じてもらうまで、涼は苦労したのだった。

そんな、こんなで、カイトと一緒に暮らしている涼にとって、

彼の変貌は見るに堪えられないものだった。

これまでのカイトの奇怪な言動から、密かに彼の麻薬中毒を疑うマスコミが増えた。

そんな心苦しい日々を送る中、柚葉のマンションに涼はいた。

カイトには ”買い出しに行く” と嘘をついて、出てきている。

寝室のベッドの中、涼の胸に抱かれて、柚葉は、まどろんでいる。

愛おしげに、柚葉を見つめた涼は整った唇に、そっとキスをすると、

彼女が囁くように呟いた。

「 ・・・・私ね・・・。

  涼に言わなければならないことがあるの。 」

「 えっ?

  何? 」

「 何を言っても驚かない? 」

「 あぁ・・驚かないよ。 」

「 マネージャーの親戚のお医者さんに極秘で診察してもらったんだけど、

  ・・・・・・・私・・・・・妊娠しているの・・・。

  2ヶ月らしいわ。 」

「 ・・・妊娠?

  オレの子? 」

涼の問い掛けに、柚葉は目を伏せて頷くと、

「 間違いなく、涼の子よ。

  ・・・・こんなことを言うのは、なんだか嫌なんだけど、

  実は・・・カイトは4ヶ月前ぐらいから、私を抱けなくなった・・・。 」

「 ・・・・そうか・・・・そうなのか・・・。

  柚葉は、お腹の中の子を、どうしたいの? 」

恐る恐る聞く涼に柚葉は答えた。

「 ・・・どうしたいって・・・・何?

  中絶するのが当然でしょ。

  私はカイトと別れられないのよ。

  それしかないわ。 」

「 ・・・・・・・。 」

涼の頭の中に或る人物の言っていた言葉が甦った。

”どうして?簡単に中絶という言葉で片付けようとした?”

”芽生えていた命に対して、どうして真摯に向き合わなかったんだ?”

それは元カノ・山下美生の父親が言った言葉だった。

ーーミウッペ・・・美生・・・・・。

彼は自身で封印したはずの名前を思い浮かべた。

ーーオレは・・・・自分の子を殺した・・・。

再び自分の中に生じた罪の重さを掻き消し、それを忘れようとするかのように、

涼は思わず叫んだ。

「 すぐに中絶をしようだなんて、思わないでくれ。

  柚葉にとって、お腹の中の子にとって、

  どうしたら一番いいのか、真剣に、よく考えてから、

  もしも・・最悪・・・中絶という結論に達してもいいじゃないか? 」

「 涼? 」

「 ・・・・・・オレ・・・柚葉のこと、愛している。

  だからオレは・・・産んで欲しい・・・

  愛する柚葉のお腹の中にいる子が、オレには愛おしいんだ・・・。 」

涼は自分の発した言葉に、自ら驚いた。

ーーオレが・・・?

   子供が嫌いなはずのオレが・・・?

   こんなことを言うなんて・・・・。

   オレは柚葉を本当に愛している?

   今まで本気で女を愛したことのなかったオレが・・・・。

   それとも柚葉の魅力に惑わされている?

   ・・・・・惑わされていてもいい。

   彼女のためなら、自分を犠牲にしても構わない。

柚葉への思いの深さを改めて自覚した涼は、その勢いで、

「 柚葉と・・結婚したい・・。

  お腹の中の子を産んで、オレを父親にしてくれ。

  柚葉が女優の仕事を、ずっと続けたいと言うのなら、

  オレは全面的に協力する。

  だから・・・・。 」

彼のプロポーズを黙って聞いていた柚葉は、

「 嬉しいわ・・・涼・・・。

  でも・・・ちゃんとカイトと別れなければ、

  あなたと結婚して、赤ちゃんを産むことは無理になるわ。

  私・・・カイトが怖い。

  カイトは、私の男性関係に目を光らせている。

  私が映画で共演した相手役の俳優のことまで疑うくらいに・・・。

  もしも私と涼の関係を知ったとしたら、

  今のカイトなら、本当に私を殺しかねない・・・・。 」

「 柚葉・・・大丈夫だよ。

  オレが付いてる。

  今は柚葉の方が大切だ。

  何があっても、オレは、柚葉を守るよ。

  愛してる・・・・柚葉・・・・。 」

彼は柚葉のお腹に優しく触れると、彼女にキスをした。

「 涼・・・。 」

カイトが覚せい剤を所持・使用していることを知ってから、

涼には迷っていたことがあった。

でも、それを決断することは、自分の夢を諦めることになる。

カイトの言っていたことが、頭の中に響いた。

ーー”お前の運命は、オレが握っているんだ。

    バラしたら、お前も使用を疑われ、オレと同罪の目で見られる。

    そしたらプロになれないんだぞ”

   もういい・・・プロになることなんて・・・。

   所詮、夢に過ぎなかったんだ。

   人殺しのオレが、花道で脚光を浴びるだなんて、

   身の程知らずなことだったんだ。

   それにオレはカイト先輩を通して、プロとしての苦悩を思い知らされた。

   ・・・・オレの決断は、カイト先輩のためでもあるんだ・・・・。

「 柚葉・・・オレに考えがある。

  絶対にカイト先輩とは別れさせるから・・・。 」

柚葉への愛情、自分が追っていた夢への絶望感、

カイトへの思い・・・そして自分の罪・・・。

それらが涼を決心させ、奮い立たせた。

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