登場人物 ![]()
山下美生 ・・・ K音大3年生 ピアノ専攻
長身でスタイルがいい
料理上手 スポーツが苦手
森田柊也 ・・・ 同大学3年生 バイオリン専攻
長身 整った顔立ち
美生の彼氏
工藤涼 ・・・ 美生の高校時代の同級生であり彼氏
軽音部で、自分のバンドを持ち、ボーカル
バンドの活動が順調になるのと同時に、
人格が変わっていくが
S海に行ってから、更に変わっていく
今までのお話し ![]()
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あれから救急車で、付き添いで乗った涼と共に、病院に搬送された美生は、
救護した時の柊也の処置がよかったからか、
点滴を受け、安静にしていた程度で、熱も下がり、体調の回復が早かったので、
一晩だけ入院する程度で、退院が出来たが、
その都度、未成年の美生には両親への連絡が必須だったため、
連絡先を告げた彼女は、退院と同時に自宅マンションに帰らされていた。
両親のレンとミオには、涼との同棲が知られてしまった結果になったが、
それ以上に2人には、美生が自殺をしようと海に入ったことが、
ショックだったようで、彼女を責めるどころか、
ただただ海で彼女が大事に至らず、無事だったことに安心し、
彼女の心のケアーや体調ばかりを気遣っていた。
そして自殺しようとした理由を、美生が話したがらなかったということもあり、
話したい気持ちになるまで待つつもりだと、2人は彼女を、
そっとしておいてくれていたのだった。
そんなレンとミオに、美生は今までのことを心から反省し、
もう自殺なんて、絶対に考えないと、2人の前で涙を流して、誓ったのだった。
ーーこれからはパパとママを心配させたくない。
病院に駆けつけてきた時のパパとママは憔悴しきっていて、
とても辛そうに見えたから・・・。
あんな2人の姿は、もう見たくない。
パパとママに対して、私は素直にならなくっちゃ。
退院してから、涼とはまだ会っていない。
涼との同棲生活は、たった2日間だけの短いものだったが、
涼と新たに、やり直そうと決心していた美生には、
一緒に暮らすのは大人になってからだって遅くはないという、
ほのかな余裕に似た思いがあったのだった。
ーーだって・・・涼は溺れていた私を助けてくれたんだもん。
涼は私を失いたくないと言ってくれた・・・。
美生は搬送された病院の病室で目を覚ました時に、
若い看護師が言っていたことを思い出した。
”山下さんが溺れていた時、ライフセーバーが不在だったらしいですよ。
でもラッキーでしたね!
泳ぎが得意な上に救護の知識を得ている彼氏が助けてくれるだなんて羨ましい。
おまけにイケメンくんだし!
ここに山下さんが搬送された時も、彼、容態を簡潔に伝えてくれたので、
担当医師の先生も、褒めていたんですよ。
まだ高校生なのに、すごいねって・・・”
看護師が部屋を出て行くと、涼が入れ替わるように入ってきた。
涼は美生が目を覚ましていたことに、一瞬、驚いてはいたが、
ホッとした表情を見せてくれた。
美生は先程、看護師から聞いた話しから、
涼が自分を助けてくれたことに対し、涙を流しながら、お礼を言うと、
彼は、しばらくの沈黙の後、こう言ったのだった。
”オレ・・・美生を失いたくなかったから・・・。
だから何が何でも助けたいって必死だった。
美生が死んでしまったら、オレも生きていけない。
ごめんな・・・美生。
熱があったのに、連れ出してしまったことや、
ステージで、カノジョはいないだなんて言ってしまって・・・。
これからは・・・お前のこと、大切にするから・・・許してくれ・・・”
自分の喉元を手の平で覆いながら、目をギュッと瞑って謝る彼を、
美生は既に許していたのだった。
彼の言っていたことが、嘘だとは知らずに・・・・。
そして両親のレンとミオも、2人の交際を認めて、許してくれていた。
皮肉なことにも、涼が溺れていた美生を救護したという証言や、
とても礼儀正しいことが、交際を認める大きなポイントになったのだった。
ーー私と涼には、もう何も障害がないのかもしれない。
お兄ちゃんだって、時間が経てば、涼の良さがわかって、
きっと認めてくれるはず。
あとは涼の夢が叶うように、今まで以上に、私は涼を支えていきたい。
その頃の美生は、涼との明るい未来を疑うことはなかった。
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「 あの頃の私は、本当に涼とやり直せるって信じて、疑わなかった。
だって私の命を救ってくれたのは、涼だって思いこんでいたから・・・。
涼も泳ぎが、すごく得意だったの。
今、思うと、あの時、私・・・看護師さんや医師の先生の勘違いを、
鵜呑みにしてしまった自分が悔やまれてならない。
でも・・・でも・・・涼だって可哀相な人だって思えてならないの・・・。
嘘をつくこと・・自分を飾ることって、すごく疲れることだと思うから・・・。
両親が自殺してから、子供だった涼は、
ずっと今まで ”自分を作ってきた” のかなって・・・。
今になって想像することもあるの。 」
苦渋の表情で目を伏せる美生に、柊也は言った。
「 そうだな。
アイツは・・・涼は・・・可哀相なヤツなのかもしれない。
自分をいろんなアクセサリーで、誇張し装飾していく・・・。
美生のお兄さんが言っていた通りだって思ったよ。 」
柊也は隣に座る美生の肩を、そっと抱き寄せた。
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< なん作家のつぶやき >
ありのままの自分をさらけ出すこと。
意外と全てを、さらけ出すことは難しいのかもしれません。
でも涼は、ずっと ”自分を作ってきた” ようですね (´_`。)
少し前の小説の内容に
”ミウッペといると、ホッとする” という、涼の台詞がありました。
だから過去の両親の自殺のこと、その頃からの自分の心の内を、
涼は美生に話せたのかもしれませんが、
美生が、涼にとって、ホッとできる存在だからこそ、
涼の中にある ”甘え” が、皮肉にも、彼を変えてしまったことの、
要因の一つにもなったような気がしてます (ノ_-。)
さてさて \(^_^)/
次回は、S海に行って以来、涼の変化していく様子が書かれている回想です。
ご愛読、感謝してます (^人^)
なん作家 Yu