登場人物 ![]()
山下美生 ・・・ K音大3年生 ピアノ専攻
長身でスタイルがいい 童顔
料理上手 運動は苦手
森田柊也 ・・・ 同大学3年生 バイオリン専攻
ライフセーバーの経験、資格を持つ
話題が豊富 超がつくほどのコーヒー好き
今までのお話し ![]()
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午後3時前、柊也の住むアパートに到着し、
2階の彼の部屋に案内されると美生は、思わず驚きの声をあげた。
「 柊也の部屋の中って、結構、綺麗に片付いているんだね。 」
「 片付いているっていうか・・・元々、物が少ないからなぁ。
綺麗って言うのには、ちょっとビミョー。
でも掃除はしやすいかな!
爺ちゃんたちから ”生活に必要なものを買いなさい” って、
お金を貰っても、特に買いたいと思う物もなくって・・・。
オレって、あんまり物欲がないみたい。
そういえば美生は初めてオレのアパートに来たんだよな・・・。 」
2人の間に言いようのない緊張感が漂ったが、それを打ち破るように柊也は明るく、
「 今、お茶を淹れるね!
オレんち、コーヒーとお茶しかないんだ。
どっちにするかって聞いたら、美生はやっぱりお茶だろう?
・・・とは言っても、湯飲みがないから、マグカップでもいい? 」
「 うん・・・ありがとう。
お茶なら、私が淹れるよ。
柊也は座ってて!
朝早くからつき合わせちゃったから、疲れたでしょ? 」
「 大丈夫だよ!
あっ・・・オレを年寄り扱いしてるだろ?
1歳しか違わないのに!! 」
柊也が大袈裟にふくれて見せると、美生も笑い、
先程、2人の間にあった緊張感は嘘のように消えていった。
柊也が淹れてくれたお茶を飲み、一息つき、
しばらく軽い雑談をすると、美生は思い切ったように口を開いた。
「 柊也、ありがとう。
私が話す気になるまで、雑談に付き合ってくれて・・・。
もう私の気持ちは落ち着いたよ。
今から・・・3年前の私と涼とのことを話すね。
最初に言うけど、私・・・今は涼のことを恨んでいない。
涼だって可哀相な人だったから・・・。
それと・・・私という女の子がわかったことで、
柊也に嫌われてしまうことを、ここでも覚悟して話す。 」
「 わかったよ。
承知しておくよ。 」
柊也の返答に安心すると、美生は順を追って話し出した。
「 私と涼はT高校の同級生だったけど、
元々クラスは一緒になったことはなかったの。
私と涼が付き合いだしたのは、高校2年の秋からだった。
アウトロー気取りで、ヤンチャだった涼は、軽音部に所属していた。
ボーカルだった涼は1年生の時、文化祭のステージで、とても輝いていて、
あの頃から私には、涼だけしか見えなかった。
涼は当然のように女の子にモテモテで、
今まで付き合ってきたカノジョの名前も、私は何人か知っていた。
・・・スター的存在だった涼は、校内では有名人だったけど、
逆に涼は私のことを全く知らなかったと思う。
だから最初は私の片思いに過ぎなかった。
でも高校2年生の時の文化祭でね。
私・・・クラスの催し物の客寄せで、メイドの格好で受付をしたことがあったの。
クラスのみんなに ”ミウッペは可愛いし、スタイルがいいから” なんて、
おだてられて・・・。
中学生の頃から、行事の時なんかに、
可愛い格好をさせられていた経験や慣れもあったし、
その頃、目立ちたがり屋だった私は軽いノリで引き受けた。
それが文化祭当日、涼の目に留まったらしくって、
いつも堂々としているはずの涼が、珍しくハニカミながら私を見て、こう言ったの。
”名前は何ていうの?”
”うちの高校に、こんな可愛い子がいたなんて、知らなかった”
”これから体育館のステージでやる、オレのライブ、観にきてね!”
今まで遠くから憧れて見ていただけだった涼の言葉の一つ一つが、
なんだか夢みたいで・・・。
私って、好きな男の子に、積極的なタイプの子だったの。
でも当時の涼は眩し過ぎるくらいに遠い存在な人だったから、
珍しく私は告白する勇気が持てずにいて、
ただ憧れの気持ちで見ていることしか出来ずにいた。
そんな遠い存在なはずの涼が、話し掛けてくれたことが、
私にとって、どんなに嬉しかったか・・・。
それに、もっと嬉しかったのは、文化祭のあの日以来、
校内で涼は私を見掛けると、笑顔を向けてくれたり、手を振ったり、
話し掛けてくれるようになったの。
話しの内容は、たわいもないことばかりを立ち話で、
時間にすると、ほんの数分間しかなかったけど、
私には、その数分間が幸せな時間だった。
友達にも ”涼くん、ミウッペに気があるんじゃない?” とまで言われて、
”え~?!” と言いながらも、私は内心、有頂天な気分だった。
そんな矢先、涼のバンドのキーボードの子が海外留学をするからと、
バンドを辞めてしまって、涼は私をキーボードの後任にと誘ってくれたの。
今までやってきた音楽とはジャンルが違った軽音に、
私は自信がなくって、最初は断っていたんだけど、
涼は引き下がらなかった。
”山下さんに入ってもらいたい”
”小さい頃からピアノをやっているって聞いたから”
”山下さんなら、大丈夫だよ”
涼は熱心に私を説得し続け、挙句の果てには、こう言ったの。
”これを言ったら、すげ~照れるから、言えずにいたけど、
最後の切り札にマジで本音を言うよ。
オレ・・個人的に、山下さんには傍にいてほしいんだ” って・・・。
照れ混じりで、そう言った後の涼の顔が、すごく真剣で、ピュアで、
告白に似たような、その言葉に私は思わず無言で頷いてた。
心の中で ”私も傍にいたい” と叫びながら・・・。
それからというもの・・・私と涼との心の距離が、もっと近くなったの。
引き受けたものの内心、不安だった軽音のキーボードも、
思っていたよりも、うまくいって、涼も喜んでくれた。
私は涼の喜ぶ顔が、もっともっと見たくって、更に頑張った。
そんな中、私たちは本当に自然に・・・恋人同士になってた。
思い返せば・・・その頃の真っ直ぐで、純粋だった涼が、
私は一番、好きだったのかも・・・。 」
美生は悲しげに目を伏せ、しばらく黙り込んだ後、また続きを話し出した。
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< なん作家のつぶやき >
3年前の悲しく辛い過去である、涼とのことを、
美生は話し始めました (ノ_-。)
涼との思い出は楽しい時期も、もちろんありましたよ。
美生の言っていたように、真っ直ぐで純粋だった涼が、
どうして変わってしまったのか![]()
順を追って、過去が明かされていきます。
次回もお楽しみに![]()
今日もご愛読、ありがとうございました m(_ _ )m
なん作家 Yu