登場人物 ![]()
山下美生 ・・・ K音大3年生 ピアノ専攻
背が高く スタイル抜群 童顔
料理上手 花が好き
負けず嫌い
森田柊也 ・・・ 同大学3年生 バイオリン専攻
ひょうきん 時々口が過ぎる
天真爛漫
好奇心旺盛
今までのお話し ![]()
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夏の残像が残る9月の半ばからのK音大の後期が始まってから、
1ヶ月半が過ぎた11月の初め、秋の匂いを感じる時期。
昼間のキャンパスを歩く美生の服装も、すっかりと秋色に染まっていた。
彼女のキャンパスライフは、今までになかったくらいに、充実している。
夏休み明けの3音大・合同演奏会に参加した柊也と美生のアンサンブルの評判も、
また大きく評価され、K音大の教授たちを満足させ、大盛況のもとで幕を閉じた上に、
次回の大きな演奏会への推薦もきていて、
柊也も美生も、自分の力を出し尽した達成感で、いっぱいな上に、
また新たな目標に向って、胸をときめかせていた。
そして充実しているのは、キャンパスライフだけでなく、
サークルの仲間たちとは、ハイキングに出掛け、季節感を満喫したり、
香織や智樹たちのカップルと、ダブルデートで遊園地に出掛け、
子供に返った気分で、美生は思い存分にはしゃいだ。
一方、柊也の父親である中垣忠雄のことでは、
週2の美生のバイトの時には、必ず柊也がカフェ・クレッシェンドに来店し、
中垣に会い、コーヒーと賄い食を囲んで、少しずつではあるが、
親子として打ち解けあえるようになってきていたし、
大学が休校であり、カフェ・クレッシェンドが定休日の日曜には、
時々、2人で中垣が一人で住むアパートに顔を出すこともある。
更に中垣が今、抱えている病気の進行が、幸いにも、ゆっくりで、
未だに生活の方にも支障が出ない救いがあることが、
彼の身を心配する柊也と美生を安心させていた。
その上、柊也との繋がりもまた一層に強くなり、
美生は沢山の幸せを実感せずにはいられなかった。
そんな充実した日々の中、男性不信になった3年前のことを、
柊也に話す、約束の日を翌日に控えた美生は、
新たな緊張感を感じていた。
ーーもう私の心の整理は既に出来ている。
あとは、明日がくるのを待っているだけ・・・。
明日 ”あの場所” に柊也を連れて行く。
そのあと私は、自分が男性不信になった理由を話す。
キャンパスの中庭のベンチに座り、彼女が一人思いあぐねいていると、
柊也が駆け込んできた。
「 ごめ~ん。
待った?
個人レッスンの方は、時間よりも早めに終ったんだけど、
講師の先生の雑談に付き合っていたら、長引いちゃって・・・。
怒ってる? 」
「 うん・・・怒ってる!
柊也のことだから、講師の先生と雑談で盛り上がっていたんでしょ? 」
美生が軽く睨むと、
「 バレたか・・・。 」
柊也は舌を出し、
「 ごめんな・・・今日は美生の好きなストロベリーパフェを、おごるからさ。
だから機嫌直せ!!
これから美生の買い物にだって、付き合ってやるんだぞ。 」
「 わかった・・・・機嫌直す!
ストロベリーパフェで、手を打つ!
決まり!! 」
悪戯っぽく笑った美生はベンチから立ち上がると、
柊也の腕に、自分の腕を絡めた。
K音大から、車で20分あまりの場所にある百貨店に、
柊也と美生は来ていた。
2人は楽器店で、楽器を見た後、CDショップ、シューズショップ、
ヤングファッション衣料店、アクセサリー店・・・と、転々と回った。
2人で店巡りをしていると、楽しくって時間の経つのも早い。
そして雑貨屋さんに入ると、美生は感嘆な声をあげた。
「 わぁ~可愛い!! 」
彼女の視線の先には、キャラクターや様々な動物たちのぬいぐるみが、
所狭しと置かれていた。
美生は沢山のぬいぐるみの中の一つを、
まるで本物の生き物を扱うように大切そうに手に取ると、
「 ねぇ柊也。
私、ぬいぐるみを買おうと思うんだけど、
どれがいいかな?
柊也の選んだものを買おうって思ってるの。 」
「 ふぅ~ん。
美生が買いにきた物って、ぬいぐるみだったんだね。
けどオレなんかが選んだものでもいいの?
美生の好みに合わなかったら、悪いなぁって思ってさ。 」
「 柊也だから、選んでほしいの。 」
「 そうかぁ~!
オレの選んだ、ぬいぐるみを枕元に置いて、
眠ってくれたら、オレだって嬉しいけどさ!
やっぱり女の子だなぁ、美生は・・・。
なら、そんなに高価なものでもないし、オレが買ってやろうか? 」
「 うううん・・・いいの。
バイトで働いた自分のお金で買う。
あっ・・・なんか大袈裟な言い方になっちゃったね。
とにかく柊也、選んで! 」
「 うん・・・わかった。 」
ーーバイトで働いた自分のお金で・・・・か・・・。
柊也は一瞬、彼女の言葉に何か引っ掛かるものを感じたが、
ぬいぐるみ選びを快く承知すると、
「 う~~ん、そうだなぁ。
どれも可愛いから、意外と迷うね。 」
しばらく迷っていた柊也だったが ”これだ” という物を見つけると、
「 これなんか、どう? 」
彼が手にしたぬいぐるみは・・・・ベビーピンクのブタのぬいぐるみだった。
そのブタの表情は、癒し系で、ほんわかした優しさがあり、
ハート型のクッションらしきものを、両腕に抱えているスタイルになっていた。
「 ブタさん? 」
一瞬、呆気にとられた美生に、珍しく柊也はムキになると、
「 ブタを侮(あなど)っちゃいけないよ。
貴重な食材だということは、もちろんのことだけど、
こんな風格でも、ドイツでは幸運を呼ぶ動物なんだって!
留学に行って、初めて知ったんだけどね。 」
「 そうなの?
幸運の動物かぁ・・・。
じゃあ、これにする!
柊也、ありがとう!! 」
美生は嬉しそうに微笑むと、精算を済ませるために、レジに向った。
柊也は、その後ろ姿に、
いつもの美生とは違う、別の美生を見たような気がした。
ーー美生・・・・明日、オレはキミから、どんなことを聞こうが覚悟している。
絶対に気持ちを受け止めるから!
美生がまた一歩、前に踏み出せるように・・・。
柊也はレジで精算をしている美生の背中に、そっと心の中で訴えた。
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< なん作家のつぶやき >
月日が経ち ”男性不信” になってしまった理由を話す前日の、
美生の心境は複雑なものが絡み合っている事でしょう。
柊也のことを信じて話す決意をしているものの、
話してしまったことで、柊也が、どう受け止めるか![]()
そういう不安も同時に抱えているようです。
さて・・・美生が彼を連れて行こうと考えている ”あの場所” とは![]()
ちょっと驚く場所ではありますが、とても優しい場所でもあります。
次回の美生と柊也は、その場所に向います。
小説の更新が久々なので、更新の間をあけてしまったことで、
ストーリーの内容に混乱してしまったら、申し訳なく思っています。
だから読んでいるうちに、ストーリーの内容の感覚が甦ってくれていたらと、
願います (;^_^A
今日も、久々のご愛読をありがとうございました m(_ _ )m
なん作家 Yu