ダッフィー 登場人物 ダッフィー


ミッキー 山下美生 ・・・ K音大3年生 ピアノ専攻

             背が高く 童顔

             料理上手 花が好き 音楽に慣れ親しむ


ミッキー 森田柊也 ・・・ 同大学3年生 バイオリン専攻

             天真爛漫

             母親似の整った顔立ち


ミッキー 森田響子 ・・・ 柊也の母親

             美人で気立てがいい

             中垣や柊也を置いて、逝ってしまったことに対し

             2人の身を案じている


ミッキー 工藤涼 ・・・ 高校生だった美生が付き合っていた男の子



デールダッフィー 今までのお話し デールダッフィー


「プロローグ」


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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



柊也、中垣、マスターの3人は、何の違和感も疑いもなく、

彼女を響子として受け入れることができ、

3人の心の中は、言いようのない喜びで包まれた。

一方、気を失った美生は、マスターの計らいで、

カフェ・クレッシェンド内の奥にある事務室のソファーの上で寝かされていた。

その傍らには心配そうに寄り添っている柊也が一人・・・。

「 美生・・・。 」

美生は柊也の声など耳に入ることもなく、静かに眠っている。

そんな彼女は夢をみていた・・・。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

( ここは、どこ?

  これは夢? )

美生は何もない無の世界にいるようだった。

夢の中とは確信できてはいても、

なぜなのか、彼女の意識は、しっかりとしていた。

不安になりながらも、周りを見渡していた美生は、

自分の名を呼ぶ声を聞いた。

( 美生さん。 )

( 誰? )

( こっちよ。 )

その声の主は、美生の後ろにいるようだったが、

得体の知れない誰かという怖い感覚は全くなく、むしろ安心できる誰かを、

彼女は本能的に感じ、何のためらいもなく振り返ると、

そこには美生と大して年齢が変わらない年恰好の美しい女性が立っていた。

その女性の顔は、どこか柊也に似ている。

( あなたは・・・響子さんですね? )

( そう・・・私は響子です。

  さっきは美生さんの身体を借りてしまって、ごめんなさいね。

  ここで先生の話しを全部、聞きました。

  私が一番に知りたかった ”先生の空白の22年間” のことも・・・。

  先生のことが、とても愛おしくて、たまらなくなった。

  私は、どうしても自分の思いを伝えたくなって・・・。 )

( そうだったんですか・・・。

  私、自分の異変には気付いていたんです。

  ・・そのあと、意識がなくなったみたいで、覚えていない・・・。

  でもいいんです。

  響子さんの思いが、中垣さんに伝わったのなら、私は本望です。 )

( ありがとう・・・美生さん。 )

響子は優しく微笑むと、美生の顔をしっかりと見て、

( 美生さんみたいな女の子を、柊也が好きになってくれてよかった。

  柊也が言っていたように、

  美生さんは私と同じ空気や温度を持っている女の子。

  お母さんっ子だった4歳の柊也を残して、私は早く逝ってしまった。

  もちろん先生の安否は心配だったけど、

  柊也のことも心残りだった。

  でも今なら、柊也のことは安心できる。

  私が初めて柊也を通して、美生さんを知ったのは、3年前・・・。

  あなたが高校3年生の時の夏。 )

( えっ?! )

訳のわからない顔をする美生。

( あの日は、S海でロックバンドの1日限りのライブがあった日で、

  美生さんは他の誰よりも輝いていた。

  そんなあなたに、柊也はひと目で恋におちたの・・・。 )

( えっ?!

  それって、どういうことですか?

  柊也とは、K音大で初対面だと思っていたのに・・・。

  それならK音大で出会うよりも、もっと前の3年前から、

  柊也は私のことを知っていたんですか? )

意外な響子の告白に美生は、とても動転していた。

すると響子は、ゆっくり首を振ると、

( 柊也は3年前の、あの夏のひと時に、

  自分が恋をしていた女の子が、美生さんだということに、

  まだ気付いていない。

  でもあなたとK音大で ”再会” してから、

  その女の子・・・高校3年生だった美生さん・・・と、

  あなたを頭の中で密かに何回も重ねていたわ。)

美生は懸命に3年前のS海でのことを思い出していた。

ーー3年前の夏・・・私が溺れた、あの日・・・。

   S海で関わった男の子の中に柊也が・・・?

   ナンパ目当てで私に近付いてくる男の子が多かったけど、

   一人だけ私に優しくしてくれた男の子がいた。

   その男の子が柊也?!

   でも今の柊也とは、全く外見が違っていたような・・・。

( ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 )

( あとは柊也から、直接、話しを聞いてみるといいわ。

  私が話すことは、ここまで。

  きっと美生さんの ”知りたいこと” も、一緒にわかるはず・・・。

  柊也の口から、美生さんに真実を言わせたいの。

  それと・・・あの3年前の夏、

  美生さんと一緒にいた、彼氏だった涼という名の男の子に対して、

  ”柊也が言った言葉” に、私はずっと責任を感じていたの・・・。

  涼という男の子は、きっと傷付いたと思う。

  もしかして、その言葉が間接的に、結果的に、

  美生さんを男性不信にさせる原因にしてしまったんじゃないか?と、

  私の胸は苦しくなった。

  でも・・・言い訳になってしまうけれど ”柊也の言った言葉” は、

  美生さんのことを思うからこそ、怒り任せに出てしまった言葉だったの。

  3年前の夏のことを、柊也から聞いたら、

  美生さんにも、きっと思い当たるはずよ。

  そのことは柊也の母親として謝ります。 )

ーー涼に言った柊也の言葉が、

   私が男性不信になった間接的な原因かもしれない?

   その言葉って、いったい?

( わかりました。

  柊也から話しを聞いてみます。 )

疑問を持ちながらも美生が承知をすると、響子は少し声を落とし、

( 3年前の、あの夏の海の出来事は、あなたにとって、

  その先にやってくる、身をちぎるような不幸への序章でもあった。 )

美生が悲しげに目を伏せると、響子は申し訳なさげに、

( ごめんなさい。

  私・・・あの夏の日以来、美生さんのことが気になって、

  時々、見守っていたの・・・。

  だから美生さんが男性不信になった経緯を知っています。

  ”同じ女として” 美生さんが悲しむ姿を見ていられなかった。

  最も辛かったことを思い出させてしまうことになってしまって、

  本当にごめんなさい。 )

響子は目を伏せて謝ると、

( でも美生さんが音大を目指していたことは幸運だった。

  それをいいことに・・・私は・・・美生さんのお父さんに、

  K音大の存在を、さりげなく報せて、

  美生さんを、柊也が通うK音大に導いた。

  自然体で裏表のない柊也なら、美生さんを救えると思ったから・・。

  それに・・親馬鹿ながらも、柊也と美生さんを ”再会” させたかった。

  美生さん・・・勝手なことをしてしまって、ごめんなさい。 )

( いいえ・・・。

  勝手だなんて思いません。

  私、最初はK音大を受験しようとは思っていませんでした。

  その頃の私は、音楽ができるなら、どこの音大でもよかった。

  K音大は数ある音大の中ではグレードの高い大学で、

  私の在学していたT高校では、

  今までの年々の合格者が片手で数えられるくらいだったし・・・。

  私の成績は、K音大の合格のボーダーラインすれすれだった

  でも何気に父が言ったんです。

  ”K音大を受けてみないか?”

  ”父さんは、頑張っている美生が大好きだから”

  後で母から聞いた話しなんですけど、父は私を立ち直らせようと、

  私の持つ、負けず嫌いな性質を利用して、目標を持たせ、

  前を向いて歩かせようとしたって・・・。

  反抗していた時期はあったものの、

  小さい頃から、お父さんっ子だった私は、

  父の気持ちが、ものすごく嬉しかった。

  それ以来、私は自分の力を思いっきり燃焼してみたくなって・・・。

  そうと決めたら、ジッとはしていられない私は、

  K音大を目指して、いつの間にガムシャラに頑張っていた。

  K音大で柊也に巡り会えたこと、響子さんには感謝しています。

  柊也が私の凍っていた心を解かしてくれた。

  だから私・・・これから柊也のことを大切にします。

  支えていきます。 )

美生は心から、そう思い、響子に告げると、

( ありがとう・・・。

  美生さんに、そう思ってもらえること、私にとっても本望です。

  美生さんには、とても感謝している。

  それは柊也に安心感を与える存在になってくれたことだけじゃなく、

  先生と柊也を結ぶ架け橋にもなってくれたから・・・。

  だから美生さんを選んだこと、間違ってなかったと思える。 )

響子は一呼吸置くと、

( 美生さん・・柊也のことを信じて!

  柊也は美生さんのことを、本気で愛している・・・。

  今度はあなたが柊也に全てを委ねて、

  あの3年前の忌々しい過去を断ち切ってほしい。 )

美生は静かに頷くと、

( 今日、中垣さんを見ていて思ったんです。

  過去のことを全て打ち明けた中垣さんの心の中の拘束は、

  本当の意味で、やっと解けたんじゃないかなって・・・。

  それは中垣さんにとって ”大切な人たち” である柊也やマスター、

  それに響子さん・・・あなたに話すことができたから・・・。

  中垣さんの心の中にあった靄が晴れたように感じます。 )

そして決意をした表情をすると美生は、

( 私・・・自分の3年前のことを話すことで、

  柊也に嫌われてしまうんじゃないかと、怖かったんです。

  でも、それは間違っていました。

  愛する人だからこそ、話さなければならない、自分の身を委ねてもいい・・・。

  中垣さんを見ていて、気付かされた思いです。

  だから私も柊也に、やっと全てを話す勇気が持てました。

  柊也のことを信じます。

  だから ”あの日” がきたら、柊也に話そうと思っています。

  私にとって、忘れてはならない大切な日だからこそ、

  大切な柊也に話したい。

  それまで自分の心の中を整理します。 )

( きっと柊也が、あなたを救ってくれる・・・。 )

美生と響子は手を取り合って、微笑み合った・・・・。

響子の手が美生には、とてもあたたかく感じられた。

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「 美生? 」

柊也の両手に包まれている自分の手のあたたかさに気付き、

美生は微かに目を開いた。

「 大丈夫か? 」

「 ・・うん・・・大丈夫・・だよ。

  私、夢をみていた。

  うううん・・・あれは夢だけど、夢なんかじゃない。

  響子さんと初めて会ったの。

  とても綺麗な人だった。

  柊也に似ていた。

  響子さんにも、柊也と同じところ・・・左目の下にホクロがあった。 」

「 うん・・・そうだよ。

  母さんとオレのホクロの位置は同じなんだ。 」

「 やっぱり親子なんだね! 」

美生はクスッと笑うと、

「 さっきのこと、私は全く覚えていないんだけど、

  響子さんは、私の身体を借りて、

  中垣さんに自分の思いを伝えたかったと言っていた。

  しばらく夢の中で響子さんと話しをしたの。

  ・・・本当なんだよ・・・信じて! 」

「 美生の言っていること信じるよ。

  だってオレも、父さんも、マスターも、

  美生を通して、母さんからのメッセージを聞いたんだ。

  だから美生の夢の中のこと信じる。

  母さんと美生が話しをしてただなんて嬉しいよ。

  ところで母さんと、どんな話しをしたの? 」

「 それは今は内緒・・・。

  ・・柊也・・・大好き・・・。

  柊也は、私の一番大切な人・・・。

  それを改めて気付かされた。 」

「 なんだよ・・・いきなり・・・。

  美生って訳わかんない。 」

「 今はわからなくってもいいの! 」

ほのかに照れる柊也の顔を、美生は真剣な眼差しで見つめた。

「 美生、ありがとう・・・。

  美生が父さんの人格を信じるって言ってくれたからこそ、

  オレは向き合えたんだと思う。

  実際に父さんに会って、話しができたことで

  母さんの手紙で知った中垣忠雄以外の、

  等身大の中垣忠雄という人を知ることができた。

  会ってみて、本当によかったと思っているよ。 」

柊也の表情は、中垣に会う前よりも、安らぎで溢れていた。


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< なん作家のつぶやき >


夢の中で響子と話しをした美生。


話しの中で、3年前の夏のことが出てきました。


その時に柊也と美生は出会っていたということが、事実なのかはてなマークということや


柊也が、美生の彼氏だった涼という男の子に言ってしまった言葉とははてなマーク


その言葉が皮肉にも美生を、


どん底に突き落した要因になっているかもしれないみたいです。


それは後々に柊也の語る、3年前の夏の話しの最後の方に出てきます。


次回は、カフェ・クレッシェンドでのひと時です。


そのあと、柊也が美生に何かを言いますが、美生がとる態度ははてなマーク


今日もご愛読、ありがとうです m(_ _ )m


                              なん作家 Yu