これは実話です

 

 

 

母を

いつも通ってる 美容院に

迎えに行った時

 

美容師 Sさんから 突然

 

おかあさん

どこか 別のお店で

カットされました?

 

と聞かれた

 

 

まさか!

Sさん 一筋よ

 

と 明るく答えたものの

 

私としては

その質問の意味が

最初は よく分からなかった

 

 

10年以上 通って

母も 慣れているし

 

母の 認知症のことも

わかってもらってるし

 

カットの間

母を置いていくことも 出来て

 

こんな ありがたいことはない

と いつも感謝していて

 

他のお店に行くなんて

考えたこともなかったので

 

 

すると Sさんは

母のこめかみ上部を 指さして

 

 だって これ…

 

と言った

 

 

そこは

キレイに剃られて

刈り上がっていた

 

 

実は

普段 母の髪型は

マンガで描いているような

ひっつめお団子 ではなくて

 

全体が ゆるめのパーマで

前髪を軽く流した

おとなしめの ショート

 

でも

眼の前の 母の髪形は

刈り上げが やたらファンキーな

ツーブロック風

 

 

もしかして

ぷりんさんが切ったとか?

 

Sさんに そう言われ

 

やめてよ

こんな髪形 やるわけないでしょ

 

言下に否定したけど

 

 

でも 自分で剃れますかねえ

なかなか 上手ですよ

 

確かに

上手よねえ

 

と返しながら

私はまるで

狐につままれた 気分

 

 

 

そう言われれば

 

数日前

 

洗面台のところに 髪の毛がまとまって

落ちていたことが あったっけ

 

 

その時は

あまり深く 考えなかったけど

 

あれが

自分で カミソリを使って

剃った毛だったのか

 

 

でも なぜ?

 

 

確かに 母の額は

おでこの こめかみの上の部分にまで

生え際が迫っていて

 

きれいなおでこ

 とは言い難い

 

その事を 実は

気にしていた ってことなのか

 

 

でも

剃ったとしても

毛は また生えてくるのに

 

ああ それが わからないのが

認知症か

 

 

そう合点した

 

その瞬間

 

 

記憶の底に 沈んでいた

遠い昔の出来事が

パソコンの ポップアップ画面のように

いきなり 飛び出してきた

 

 

 

あれは

私が 小学校3~4年の頃

 

 

遊び仲間の R子ちゃんから

友だち数人と共に

体育館の裏に 呼び出された

 

 

そこで R子ちゃんは

秘密を 打ち明けるように

 

見て

 

と言って

前髪を持ち上げた

 

満月のようなおでこが

現れた

 

どう? 広くしてみたの

 

 

子どもだった 私は

R子ちゃんのおでこが

普段 特に狭い とか

思ってなかったけど

 

彼女が

何故 そんなことをしたか

 

その行動の 理由だけは

わかった

 

 

当時 クラスで

男子からも 女子からも

絶大な人気を誇っていた

広いおでこが印象的な U子ちゃん

 

その子みたいに

なりたかったんだろう

 

 

かわいい!

 

U子ちゃんみたい

 

友だちたちは

R子ちゃんが期待しているだろう

言葉を

口々に 言った

 

 

でも 彼女の生え際は

数センチ幅の 青白い肌で

縁取られていて

 

どう見たって ヘンだった

 

 

しかも

小学生といえども

 

数日もすれば

薄っすらと 毛が生えてきて

もっと 変な感じになることは

想像できる

 

 

でも

私たちの そういう反応を

想定してたように

R子ちゃんは 続けた

 

この 色の白いところ

今はまだ 目立ってるけど

 

お日様に当たってたら

少しづつ

目立たなくなると思うんだ

 

 

R子ちゃんが あまりに自信満々に

話すので

 

誰も 何も言わなかった

 

 

とはいえ

さすがに みんな

思ってたはずだ

 

ほんとうに そうなのかな

 

 

 

その日

 

私は

家に帰って 母の顔を見るなり

 

ねえ おかあさん

生え際って 自分で変えられるの?

 

と聞いた

 

 

母は

じっ と私の目を 覗き込みながら

 

お兄ちゃんの坊主頭は

青っぽくて ゴリゴリで

おじいちゃんのハゲ頭は

光って ツルツルでしょ

 

生えてる毛を剃った

ゴリゴリの肌と

毛が生えない ツルツルの肌は

まったく 違うよね

 

母は ゆっくりと言葉を続け

 

最後

 

だから

生え際は 変えられません

 

厳かに そう 言い切った

 

 

あの頃の 私にとって

母の言うことは

常に 正しかった

 

 

私は 素直に

 

やっぱりね

 

と思った

 

 

 

 

 

あれから 60年近く

 

 

そんな母が

自分のおでこを

ツーブロックもどきに 剃り上げた

 

 

美容院から 帰る道々

 

車椅子を押しながら

母に

 

なんで おでこ

剃っちゃったの?

 

と聞いてみた

 

 

すると 母は

 

えっ 私が?

 

とびっくりした声を あげ

 

剃ってないわよ

剃るわけないでしょ

 

と まさかの 全面否定

 

 

その後

 

だって ホラ ここ

こんな風に なってるじゃない

 

と触ってみせると

 

あら ま~ ホントだ

不思議ねえ

 

今度は すっとぼける

 

 

そして とうとう

こんなことまで 言い出した

 

ねえ これ もしかして

あの美容師さんが

うっかり 剃っちゃったんじゃない?

 

いや~ね~

 

 

お母さん

お世話になってる人に

なんてこと

 

 

 

 

半世紀 経つうちに

 

子どもだった私は

高齢者 と呼ばれる歳になった

 

母は 認知症になって

 

かつての 「正しい母」は

その場しのぎの

ホラ吹きばあさんに

なってしまった

 


ぴえん

 

 

 

 

 

 

みなさま

前回のブログ

「捨てるべきか 捨てざるべきか」に

たくさんのコメント ありがとうございました

 

 

それらのコメントを読んで

感じたのは

 

如何に多くの人が

日頃から Gに悩まされていて

 

その対処法や 対応の仕方を

個々で しっかり確立しているか

ということ

 

 

それに対して

私が返せる言葉なんて

 

なるほど なるほど~

 

くらいしか ないので

 

今回は

まとめて 総論ぽい形で

お返事させていただきます

 

 

 

魔法瓶をどうするか

については

 

捨てる方向で 私の背中を

力強く押してくださるような

ご意見が多く

 

 

予想通り

 

衛生に問題ないんだから

使い続ければよくね?

 

といったご意見は ゼロ

 

 

つまり

それだけ 日本が

衛生的で 豊かな国

 

ということだと 思うんだけど

 

 

でも

 

ずっと以前から

日本が そうだったわけでは なく

 

 

例えば

 

叔父が 戦時中

ニューギニアのジャングルで

ネズミや虫を食べて 生き延びた

 

とか

 

その結果 その獣のような 体臭が

3ヶ月位 抜けなかった

 

といった話を 聞いたことのある

私としては

 

そういう時代を生きた 日本人だったら

Gの魔法瓶を捨てる選択を しない人も

一定数 居るのでは

 

と 想像している

 

 

でも 多分 そういう人は

ブログを見ないか

 

もう 違う世界に行ってしまってるか

なんだろうな

 

 

 

そうそう

 

メル◯リで売ったら?

 

というコメントも いくつかいただいて

 

それを 売りに出す時

Gのことは

 

安全なんだから 知らせる必要はない

と考える人と

 

自分がイヤなことは

はっきり知らせた上で 売るべきだ

と考える人

 

両方の考えのひとが いて

 

それも とても興味深かった

 

 

 

他人の立場を気遣う文化の中で 暮らす

日本人としては

後者の意見の人が 多いと思うし

 

そういう人がたくさんいる 日本って

ステキな国だな

 

と 誇らしく思うけど

 

 

でも

 

事実を知ったら 幻滅するような事や

言葉に出したら 炎上しそうなことを

 

自分の知らないところで

多少 後ろめたく思いながらも

されてることって

 

世の中には

実は けっこう あるんじゃないかな

 

とも 感じてる

 

 

 

いずれにしても

 

Gが入り込んだ魔法瓶のことを

描いただけの ブログに

こんなに たくさんのコメントを

いただけて

 

色々なひとの 色々な思いや 考えに

触れることができて

 

おもしろかったなあ

しあわせだなあ

 

キッチンで

まだ捨てられない G魔法瓶を見ながら

思う私は

 

やっぱり 人間が 好きなのかも

 

 

 

だから

このブログ

まだまだ 続けます

 

今後ともよろしく

お願い致します