母の肺炎は

すっかり 良くなり

 

確認する気持ちで

3度めの診察に 臨んだ

母と 私

 

 

でも その診察で

 

以前 発熱外来で撮った

CT画像から

 

乳がんの疑いが 濃厚だ

 

と言われたのだった

 

 

 

 

 

次回からは

担当が

乳腺外科の先生に 替わります

 

必要な検査の

予約を 入れておきますね

 

その結果を 見て

治療方針を決めていきましょう

 

その日から

乳がんであることを 前提に

次々 ことが動いていった

 

がんであることは

ほぼ 確定のようだった

 

 

 

母は

思いの外 冷静だった

 

…ってか

事態が わかっていないのかも

 

 

だとしたら

 

それは

幸せなことなのかもしれない

 

 

だって

中途半端に 事態がわかったとして

 

認知症母に 何ができるだろう

 

 

 

 

母に課せられた 大量の検査は

 

なかなか取れない 予約や

時間がかかるものも あったりして

 

何回も 病院に通い

 

日によっては

早朝から 夕方まで

病院で 長い時間を過ごした

 

 

それは つまり

 私にとって

 

長い時間 母と一緒にいる

ということで

 

それは つまり

 

同じことを

言われたり 聞かれたりの

ループ再生を

隣で 聞き続ける

ということで

 

さすがに ブチ切れそうになる

 

いや 大切な親だけどね

 

病気が そうさせるのは

わかってるんだけどね

 

 

 

そして ギリギリの精神状態で

家に戻ってからは

 

最低限の家事を しつつ

 

母が話す いつもの話を

聞くふりをしながら スルーし

 

母から

「あれを なくした」

「これが 見つからない」

と言われての

探しものをする 合間に

 

子どもたちに

母の病気の経過報告のLINEしたり

 

病気について

ネットで検索したり

本を読んだり

 

 

 

素人の私が

かき集めた 情報によると

 

高齢者の場合

 

がんの種類や 大きさ以外にも

持病の有無や 体力年齢などを

考慮して

治療方針を決める

 

特に 認知症の場合

治療が長引くことにより

症状が進むこともあるので

注意が 必要

 

場合によっては

積極的治療を しない

という判断も ある

 

な~んてことが 書いてあって

 

 

91歳 認知症母は

その対象になっちゃうのかなあ

 

と 不安になったりした

 

 

だって

最初に 発熱外来に行った時だって

入院させてもらえなかったしね

↑被害妄想

 


母の記憶力は

 

今 あったことも

3歩歩くと たいてい忘れる

ニワトリレベルだけど

 

でも なぜか

 

100歳超えて 元気な

義理の伯母さんが

2年前

ご長寿おばあちゃんとして

テレビに出演したこと とかは

ハッキリ 覚えている

 

 

その話をする時は いつも

 

私も

100歳まで生きなきゃね~

 

というセリフで 締めるのが

お約束

 

 

本人は まだまだ

生きる気 満々なんだよね

 

 

でも

 

バブル期以降

経済が低迷している

この国で

 

生産性のないひとが

現役世代に 負担を強いながら

ただただ 長生きしたがる

っていうのも

 

マクロ的な視点で見れば

社会的に迷惑なのかもしれない

 

 

けれど

 

今まで 真面目に 一生懸命

生きてきたんだし

 

誰だって

いづれは 歳をとる訳だし

 

何より

誰にとっても

かけがえのない 人生なんだし

 

 

そんなことを 悶々と考えながら

次の診察の日を 迎えた

 

 

 

先生は

患部のレントゲン写真を

指しながら

おっしゃった

 

検査の結果

ホルモン療法の効きにくい

がんでした

 

若ければ

抗がん剤を使うのですが

高齢ですからね…

 

そして 先生は

一瞬 言葉を止め

 

厳かにおっしゃった

ように聞こえた

 

手術が いいと思います

 

手術…ですか?

 

思わず聞き返した 私

 

 

はい 手術です

 

先生は そう繰り返し

 

ご心配ですか?

 

もちろん

麻酔のリスクや

入院中に 認知症が進行する

 という リスクはありますが

 

体力も おありのようだし

4~5日の入院くらいだったら

多分 大丈夫でしょう

 

 

その言葉に 私は

 

いえ 心配はしていません

 

というのは ちょっと違うし

 

ありがとうございます

 

というのも ちょっと合ってない

 

その時の 自分の気持ちを

表現する

うまい言葉が 見つからす

 

席を立って

先生をハグしたい 衝動に駆られた

迷惑な話だ

 

 

そして

 

体力があり 気力があるならば

91歳認知症でも

そのひとの気持ちを 尊重して

前向きに治療してもらえる

 

そんな時代 そんな国

そんな先生との 巡り合わせに

 

本当に

感謝の気持ちで いっぱいだった

 

 

 

ただ

 

この手術が

うまくいくかどうか は

また 別の話

 

 

超えなければいけない ハードルや

考えなければいけない ことも

今後

たくさん ありそうで

 

まだまだ

気は 休まりそうもない