「ナンパ」

それは面識ない者に対して、公共の場で会話、遊びに誘う行為。(ウィキペディアより)

 

こんなわたしでも、10代後半から20代前半くらいまでは、ナンパされることもしばしばありました。

 

それは、”大学の学祭”であったり、”夏の湘南”であったり、みんなが少しだけハイになっている空間にいる時がほとんどで、基本的にそういうところで面識のない人に声をかけられても、そこから恋や友情が芽生えることはなく、愛想笑いでスルーしてしまうのが常でした。

 

出身や名前を聞かれるのも面倒で、適当に白金出身のお嬢様のていで会話をしたこともありました。(江戸川区出身)

 

そんな感じなので、ナンパの思い出などほとんどないのですが、

 

4年ほど前、地元の駅の駐輪場を出たとき、後ろから「あの」と声をかけられて、何か落としたかなと振り返ると、爽やかな青年が、「同じ駐輪場ですよね?さっき、僕、すれ違ったんですけど・・・あそこの駐輪場、いいですよね」と声をかけてきたことがありました。帰る方向が一緒だったので、成り行きで世間話をしながら途中まで帰り、分かれ道で「また、駐輪場で(にっこり)」と言って去って行ったあの青年は、なぜ声をかけてくれたんだろうか...と今でもふいに思い出します。

 

きっと私が高校生だったら、あの青年とあそこから恋が始まっていたことでしょう。(妄想)

 

 

 

私の妄想はさておき、過去に1つだけとても印象的なナンパがありました。

 

それは、社会人2年目の頃。

 

私は、都庁前にお客様の会社があり、週に1回程度、打ち合わせででそのビルに足を運んでいました。

 

新宿駅西口の地下から都庁前駅までは長い地下道で繋がっていて、スタスタ歩いても10分弱はかかるのですが、私はいつもその地下道を使っていました。

 

ある日、都庁前から新宿駅へ戻ろうと地下道に入ったその時、

 

「あ、あの、今から少しお茶しませんか?」

 

というものすごく古典的なフレーズで声をかけてきた人がいました。

 

平日の昼間のビジネス街の地下道、人をハイにする条件は何一つ揃っていないこの場所で声をかけてきたその人は、清潔なスーツを「キチンと」着ていて、髪も丁寧に整えられていました。

 

急いでいたわたしは無視をして、その地下道をそのままズンズン進んでいきました。

 

通常のナンパであれば、一言二言無視されたらさーっといなくなり次のターゲットを見つけるだろうと思っていました。

 

それなのに、その人はなかなか引き下がりませんでした。

 

「一目見て、声をかけなくてはと思った」などと歯の浮くようなセリフをいいながら、3分、5分と私の横を歩いてきました。

 

キャッチよりしぶといな…と思いながら無視を決め込んで歩いていたのですが、7分8分9分、もうすぐそこに新宿駅の改札が見えるまで、彼は私の横を歩いてきました。

 

結局、新宿駅の改札ギリギリまでその人はついてきて、さすがに根負けしたわたしは無視するのをやめ、「もう電車に乗るので、すみません」とだけ答えました。

 

その彼は、「そうですか、分かりました。ご迷惑をおかけして、すみません。」と言って、去っていきました。

 

そのとき、いやそれでも!と改札まで一緒に通られていたら、もう少し、話をしてしまっていたかもしれないな…と思っている自分がいました。

 

友人に話すと、「その人なんか怖くない?!」などと言われたりもしたが、不思議と、怖いと感じる人ではありませんでした。

 

もしかしたら本当は怖い人だったのかもしれないし、もしくは、地下道の端から端までナンパするのがその彼の常套手段だったかもしれず、そのあと次のターゲットを見つけていたかもしれません。

 

でも結局された方の私が数年経った今でも忘れずにいるのだから、彼のナンパはある意味成功と言えるのではないでしょうか。

 

 

Instagram → ★

 

楽天ルーム → ★