暴走老人といってもね、あの暴走老人じゃない。
(概略)
昭和6年生まれの暴走老人は、まさに戦争に突入していく頃に生まれ、思春期を戦争まっただなかで過ごした。まだ、投票権ももっていなかったその少年は、それでも自分にも戦争の責任はあると認識しているらしく、それを俳句に詠むのだという。わしは俳句は門外漢だから、これはあくまでもその筋の方の論評によるものである。
つまり好戦的な暴走老人ではない。
その老人は、今年の6月の梅雨の日に滑って転んで二の腕を骨折した。病院に入院して、手術して1ヶ月してまたヒビを入れた。もともと脳梗塞の後遺症で左足の筋力が弱く(この時も暴走してリハビリの途中で自ら退院を申し出るという暴挙にはしったらしく、もっとちゃんとリハビリしていればと悔やまれるところではあるが、本人は治らないと断言して聞かない)、腰も悪く、膝も悪く、長年飲んでいてコレステロールの薬の副作用により、筋肉組織が壊れるという症状を昨年経験したこともあり、入院3日後には寝たきりとなってしまったので、腕のリハビリと歩行のリハビリをやる必要が生じた。4ヶ月で集中リハビリをやる目的で転院し、さらに今月短期療養施設へと移った。
この手の施設は老人を活性化させようとしていろいろな催しをやるわけだが、元来、人と交わることを好まぬし、子供の遊びのようなリクリエーションなど大嫌いなわけで、入所2週間でもうでると言い出して聞かない。落第した痴呆のテストにより行われる脳のリハビリも嫌らしい。異常はないといいはるが、異常な人ほど正常だというものである。
まぁ、ともかく、出てくることになったので、準備が忙がしい。
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こんなものを用意してあげたけど、使わない。なぜか普通の杖を使うんだよ。しかし、よくみると杖使い方が変なのだよ。自分横について、後ろに流すのである。それだと、たしかにこの杖である意味はない。
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先週末は仮出所してきたんだけど、こたつに座ると立つことができない。力学的に不可能と思う体制で力むので「そこからでは俺も立てない」といってやるんだが、どうもそういうことはわからないらしい。それは今回の入院前からもどうみても無駄な力を使っているようなことが多くて、本当に不器用だと思っていたから今更なおらないのかもしれない。
そもそもコタツに入らなくければいいのだが、それでもコタツに入るので、こんなのも買ってみた。
人が気を利かせて石油ファンヒーターなど付けてやっても「消してくれ」というさけのわからない言動にはほとほと困っておるのだが、その他にもワタミの宅食をオーダーしたり電子レンジを買ったりしたことについて、どのように反応するのだろうかね。
本人は料理できるつもりらしいが、ティファールが重いと持ち上がらないのに、鍋はもてないだろう。まあ、それも持ち上げる方法が変なのが原因かもしれないのだけど。そもそもテコの原理を知らないのかと思うような、そう持ち上げようとしたら重いだろうなという方法で持ち上げようとしていたからな。
それでも出所するといって聞かないんだから、たいへんなんだよ。