新潟は糸魚川 笹倉温泉 龍雲荘は秘湯を守る会会員の宿で、温泉で炊き上げる御飯を売り物としている温泉で、海と山に挟まれたその立地から、食事には相当期待が持てるのではないかと興味があった。
温泉は歴史はあるが、一般に開放されたのは近年のことであり、ぬるすべのやさしいお湯だという。
市街地から案内看板を目安に山間部へと車を進めると、広大ながら素朴そうな焼山温泉、更に奥には秘湯のイメージとはかけ離れた鉄筋3階建の龍雲荘が見えてきた。駐車場に回り込むと建物は2階建に変るが、そのままバリヤフリーの玄関に入ると、ロビーであり、実は2階部にあたる。山間部のホテルではよくあるパターンである。
対応は丁寧で、良い意味で秘湯の素朴さはない。チェックイン後、案内された部屋は3階で、8畳くらいの日本間とツインのベッドルーム、浴槽(ユニット)とトイレという、綺麗で立派な観光ホテル、それもかなり手の行き届いたランクである。施設としてはその他に麺処とカラオケのできるスナックもあった。
まずは温泉「千寿の湯」に向かう。日帰り入浴を受け付けている千寿荘という別棟にあるが、廊下で繋がっている。温度はやや熱めで、透明な湯である。源泉掛け流しということになっているが、オーバーフローしていないように見えたので、真偽のほどはわからない。20時まで受け付けている日帰り入浴を受け付けているからなのか、私の普段利用する温泉宿にくらべて部屋数が多く、宿泊客が多いからなのか、なんだか落ち着かなかった。
夕食は1Fの中宴会場にあたる食事処(3人なのに)で私たちの通された部屋は3階建に見える側だったので、庭を眺めながらの夕食となった。(反対側はかなりの水量で人工の滝が作られていて、これは泊まった部屋から見下ろせた。日中は豪快な音を立てていたが夜間は停まった。また、宴会場であるがゆえに、別の部屋からはカラオケが聞こえてきた。)酒は途中にあった「月不見(つきみず)の池」という名がつけられているものがあったので、それをチョイス。(辛口ですっきりとした味だったので、土産とした。)料理は画像の通りである。

これにロブスターの香草焼と、げんぎょの天麩羅が後出しされる。デザートはマンゴーとアイス。さらに桜餅と抹茶で〆る。かなりのボリュームで、完食は断念した。
振舞い方というものは文化であって、食べきれないほどの食事でもてなすことに意味があるということもあるし、その文化がある以上、そうでなければ評価をしない客がいることも事実である。でも残すことが嫌いな貧乏性な私らは、ちょうど良いかちょっと足らないくらいのほうが好ましくも思う。
早起きした疲れと酔いでそうそうに床に就き、4時に目覚めて向かったのが、大浴場と露天風呂。大浴場は2つの給湯口が見えたが、その一つには「このお湯は源泉ですが、飲用には適しません」というような不思議な忠告がなされていた。なぜ不思議なのかといえば、この温泉ホテルの名物が何なのかを思い出していただければお解かりだと思う。露天風呂もそうだった。龍雲なのか薬師なのか、いずれにしてもこちらの湯は千寿の湯とは違う源泉である。千寿もそうだが、やはりすべすべ感のあるお湯で、浴槽の湯温に関しては千寿よりも温めと感じた。大浴場でしばらく温まり、そのまま移動できる露天風呂に移動する。
露天は岩の上から温泉が給湯されているかのような作りであったが、しばらくしてどうも様子がおかしいことに気がついた。入場した時はチョロチョロだったはずなのに、水量が増えているではないか。これはもしかしたらセンサーだと思って大浴場からの出入り口の上部を眺めると、あきらかに空間センサーと思われつ物体が付いていた。給湯されているお湯の温度は湯船よりも低温であり、ただの演出に過ぎないということだ。
笹倉温泉は、施設を充実させ、嗜好を凝らせて集客し運営していく事を選んだのだろう。素朴なままで運営されている温泉と比べれば、莫大な収益が得られるのだろうが、この路線を維持するにも莫大な投資が必要になるだろう。どちらが良いのかは私はわからない。歴史のある温泉街が衰退した例は数多くあるが、ここが温泉街ではないことが救いとなるかも知れない。少なくとも、現時点ではこの形態であればこその需要があることも確かだと思う。
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