【今さら、こんなこと聞けない。】
完璧を演じる、チャットの裏で。


先日、講座の受講生さんが、
そんなリアルな葛藤をぽつりと漏らしてくれました。


「質問はいつでもOKです」
「何でも気軽に聞いてくださいね」



画面の向こうから、そんな優しい言葉をかけてもらう。
心強いはずなのに、いざパソコンの前に座ると……。


「……待って。本当に、こんな初歩的なこと、聞いていいのだろうか」
「自分で調べればわかることなんじゃないか」


そう思った瞬間、指がピタッと止まり、
打ちかけた言葉をバックスペースで何度も消してしまう。


結局、そっとため息をつきながら自分の本音を飲み込んで、
胸の奥にモヤモヤとした焦りだけが溜まっていく。


実はこれ、心理学の視点で見ると、
とても真面目で責任感が強く、
思いやりに溢れた人ほど陥りやすい
「心のブレーキ(心理的心理ブロック)」なのです。


「私にとっては一言で済む質問でも
、相手の貴重な時間を奪ってしまうんじゃないか」
「これくらい、自分でどうにかしなきゃプロ(大人)失格だ」


そうやって相手を気遣う優しさと、
完璧でありたいという責任感があるからこそ、
ひとりで抱え込んでしまう。


そして「まあ、これくらい自分で判断して、いっか」と
妥協した時に限って、後から歯車が噛み合わずに、
すれ違いや失敗につながってしまう……。


そんな苦しい悪循環を、
かつての私も数え切れないほど経験してきました。


17年間、鉄鋼メーカーの営業事務として
必死に「完璧」をこなそうとしていた頃の私も、
まさにこのブレーキでがんじがらめになっていた一人です。


けれど、私自身もあるとき、
大きな気づきをいただく機会がありました。


それは、当時の私にとって、
清水の舞台から飛び降りるような気持ちで恐る恐る投げかけた、
基礎の基礎を確認する質問でした。


「こんなことも知らないのかと思われたらどうしよう」と
身構えていた私に返ってきたのは、
冷たい正論ではありませんでした。


思わずクスッと笑ってしまうような、
温かいユーモアを含めた回答だったのです。


そのとき、頑なだった心がふっと解け、
大切なことに気づかされました。


「誰も私の無知を責めたりしないんだ」


悩んでいたのは、私だけではなかった。
できない自分を見せても、世界は優しいままだった。


その事実に気づいた瞬間、
張り詰めていた肩の力がふっと抜けて、
深い安心感に包まれたのを今でも鮮明に覚えています。


緊張せずに、自分のわからない部分を安心してさらけ出してもいい環境。
「ありのままの自分」で飛び込める場所。


それがどれほど心のブレーキを外し、
本来の学びや成長を加速させるか。
私自身が身をもって体験したからこそ、
心理学講師となった今、その重要性が身に染みてわかるのです。


だからこそ、私は受講生のみなさんにとって
「そんな場所」でありたい。


一生懸命に頑張る人が、自分が「わからない」と思った気持ちを
、絶対に止めなくていい場所。
置いてけぼりにされる恐怖のない場所。


「ここなら、どんな自分を出しても大丈夫」と思える、
圧倒的に安心・安全な環境を、これからも丁寧に、
大切に作っていきたいと思っています。


完璧なあなたじゃなくて、大丈夫。
ゆっくり、一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう