昨日、公開初日に駆けつけた映画『プラダを着た悪魔』の続編。
20年近く前、オリジナル版を観た時の私は、
アン・ハサウェイ演じる主人公の華やかな変身劇に心躍らせ、
「いつかあんな風に……」と夢中で物語を追いかけていました。
けれど、還暦を過ぎ、心理学を深めてきた今の私が劇場で出会ったのは、
当時とは全く違う「新しい景色」でした。
正直に言えば、映画全体の空気感は、
今の時代背景を映してか少し重厚になった印象です。
かつての突き抜けるような爽快感とは少し違う。
けれど、そんな中で私の目を釘付けにしたのは、
ナイジェルが纏う「Vゾーン」の美学でした。
シャツのチェック柄に、あえてネクタイのチェック柄を重ねる。
一見すると難しそうな組み合わせですが、
その「格子の大きさ(ピッチ)」をわずか0.5ミリ変えるだけで、
驚くほどの奥行きと品格が生まれるのです。
かつての私なら、きっと見落としていたはずの微細なこだわり。
それが今の私には、スクリーン越しに
「プロとしての矜持」として突き刺さってきました。
心理学の視点で見れば、
私たちは「自分の心の解像度」に合ったものしか
受け取ることができません。
筆跡診断で文字の一筆一筆にその人の心が宿るのと同じように、
ネクタイの結び目一つ、柄の合わせ方一つに、
そのキャラクターが自分自身をどう定義し、
どれほど大切に扱っているか(セルフイメージ)が如実に現れていたのです。
限定された狭いVゾーンの中に、計算し尽くされた美学を凝縮させる。
その「引き締めの美学」に触れた瞬間、私の心の中のノイズもスッと消え、
心地よい集中と静かな興奮が広がりました。
「昔ほどスカッとしないな」なんて最初は思っていたけれど、
実は私自身の視点が変わったことで、
もっと深い喜びを見つけられるようになっていたのですね。
今のあなただからこそ、気づけるようになった「世界の美しさ」はありますか?
映画館からの帰り道、そんなことを考えながら、
新しい自分に出会えた喜びを噛み締めました。
