中学生の頃、私は美術が大の苦手でした。
期末テストは散々で、
「もう思い出したくない!」という点数ばかり。
「美術は私には向いてない」って、
心の奥で決めつけていたんです。
そんなある日、転校先の美術の先生が、
私の絵を見てこう言いました。
「これ、好きだなぁ」
その一言に、当時の私は
本当にびっくりしました。
点数でも正解不正解でもなく、
「好き」という言葉で評価されたのは
初めてだったからです。
その瞬間、世界がひっくり返りました。
写生した水彩画は市の展覧会に
出していただき、賞状までいただけた。
銅板を彫るエッチングでも
「丁寧だね」と褒めてもらえた。
「美術で褒められるなんて!」という驚きと
嬉しさが混ざり合って、胸が熱くなったのを
今でも覚えています。
そして50年たった今も、その体験は私の中で
生きています。
心理学の専門家として講座を開く今、
受講生さんが勇気を出して
「ほんとはお願いしたかったんです」と
打ち明けてくれる瞬間があります。
その言葉を受け止めただけで、
表情がパッと明るくなる。
私はその姿を見るたびに、
あの美術室の自分を思い出すのです。
人から認められることは、
人生を動かすギフト。
特別な出来事でなくてもいい。
日常の小さな一言で、心は救われ、
未来が変わっていく。
もしかしたら、あなたにもそんな一瞬が
あるかもしれません。
その小さな瞬間こそが、
心を支える大きな力になるんです。
