『父親は逮捕された』
『でも
あの子は戻って来なかった』
『逮捕されただけじゃ、
安全とは思えなかったんだろう』
『あの年の夏休み
俺は待ってた。
あの子から連絡があるんじゃないか、って。
でも、無かった
期待するから辛くなった。
誰にも頼れず
身を潜める生活が安定してるはずもないから
身体を壊してるんじゃないかって
不安でたまらなかった。
何度もしょう兄ちゃんとさと兄ちゃんに
話しながら泣いたよ。
泣くつもりないのに
涙が止まらなかった』
『それでさ、
泣いてるだけの自分にイライラして
俺は麻薬組織撲滅のための
仕事に就くんだって
思いついた。
それをふたりに宣言した』
『それで
やっと落ち着いたんだ。
もう泣かなかった』