(智)



こんな寒い夜に


大丈夫かな・・・





どうにも心配になって


外に出てみた。


寂しい夜の静寂(しじま)は


あの・・・出逢った夜のことを


思い出させた。





もしも・・・怖い思いをしていたら?


悪い人に追いかけられて


砂まみれになっていたら?





そう思うと


もう居ても立ってもいられずに


雪に残る足跡を辿って


しまいには走り出していた。





俺。


君が嫌がることはしないから。


君には無事でいて欲しい。





たとえ俺のこの恋心が


儚い雪と共に消えてしまっても


わざわざ山形まで俺を追いかけて


こんな雪降る寂しい夜に


俺に・・・


こんな高価なもの・・・


届けてくれた君の無事を願うのは


許されるよね?





・・・そうだよ。


あの子は俺を好きだと言った。





いつだって、そう。


あの子は全身で


俺を好きだと伝えたじゃないか・・・





クリスマスの夜に


何かの音に驚いて出てしまい


そのまま迷い猫になった


実家で飼っていた猫を


何故だか思い出していた。


こうやって・・・


深夜に探したなぁ・・・なんて・・・


寒い夜に探したなぁ・・・なんて・・・







和「・・・!・・・」


智「・・・!・・・」






迷い猫は


自分で戻ってきた。






和「・・・あ、あの・・・」


智「・・・心配した・・・」





凍えてしまいそうな君。


抱きしめて温めてあげたいのに


俺から行けなかったのは・・・


もしかしたら


振られたのかも・・・という思いも


あったから・・・





だけど君は・・・





和「・・・心配かけて・・・


ごめんなさい・・・」





小さなクリームパンみたいな


ハンバーグみたいな手に持っていた


ふたつのぬるい缶コーヒー


俺の頬に当てては


自分はもう雪だるまみたいに


頭にも肩にも


雪が降り積もっているというのに


俺のこと・・・


温めようとしてくれるんだな・・・






智「・・・珈琲、飲みたかったの?」


和「・・・うん・・・」





いつもはサラサラの前髪が


雪でゴワゴワになっている。





智「もしも・・・


俺と・・・一緒が嫌なら・・・


俺・・・その・・・潤のところに


泊まるから・・・え、と・・・」


和「嫌じゃ、ない」


智「・・・・・」


和「よそに泊まらないで」


智「・・・・・」


和「俺を・・・抱いて・・・」





君が俺を抱きしめた。


ぎゅっと・・・


ぎゅっと・・・


だから俺も。


君を抱きしめた。





雪が・・・どんどん降ってくる。


それなのに


抱き合った俺たちは


その雪をポタポタと溶かしていった。





ポタリ、と前髪から雫が垂れて・・・





智「・・・綺麗だ・・・」





雪あかり


琥珀の瞳に俺が映る・・・





和「・・・愛してる・・・」





・・・どうやら。


振られたわけでは


ないらしい。


だって俺の胸に君がいる。





インマニュエル・・・


エマニュエル・・・





君がここにいるってこと。


君が俺と共にあるってこと。


クリスマス🎄の魔法🪄は


どうやら終わっていないようだ。






*ララァさんのお写真です*





(和)



ピンポーンに驚いて


衝動的に部屋から出てしまったこと。


もしかしたら彼女さんが来たのかも。


自分がここにいてはいけないのかも


そう思ったこと。


正直に、本当のことを打ち明けると


智さんも何があったのか


洗いざらい教えてくれた。





・・・なんだ。


酔った課長さんの介抱、か・・・


自分の早とちりを


恥ずかしく思うと同時に


安心したら手足がジンジンしてきた。





智「彼女なんて、いないよ」


和「だって・・・智さんが・・・


その・・・素敵だから・・・」





だから不安になるんじゃない


なんて半ば開き直って


精一杯の告白したというのに


そんなのもういいから


もう一度


風呂で温まってこいと言われた。




あ・・・俺の、時計・・・


脱衣所のところで腕時計を回収した。


大切に・・・大切にしまって・・・


有難くもう一度お湯をいただいた。





あー・・・あったかい・・・


ジンジン


赤くなってしまった手足。


アカギレか霜焼けになっちゃうな、と


さすっていたら


そのうち智さんも入ってきた。





割れた腹筋・・・


熱いシャワーが男の色気を


もうもうと立ち込めていく。





触れたい・・・


そのカラダ・・・





音を立てずに


お湯から上がると


俺は石鹸を泡立てて


その逞しい背中に


そっと・・・手を・・・伸ばした・・・





あなたは俺のもの・・・


俺だけのもの・・・




そう念を込めながら・・・