(和)
秋🍂が・・・深まっていく。
大学キャンパスの銀杏は
道路一面に黄金色の絨毯を敷き詰め
喫茶さくらんぼ🍒の前の広場にも
子ども達が集めたであろうどんぐりが
たくさん並べられていた。
その日は。
常連さんのおばさまが
「これ、大野くんに」
と、花束を持ってきたのを最初に
プレゼント🎁がたくさん届いた。
和「今日って、もしかして・・・」
翔「智くんの誕生日🎂🎉だよ」
そうか。
知らなかった。
いつもお世話になってるから
何か・・・プレゼントしたいな・・・
翔「サプライズでケーキ用意するの。
手伝ってくれる?」
和「はい」
何か出来ることが嬉しかった。
翔さん指導で
「ジェノワーズ」という共立て生地を合わせ
机に優しくトントンして空気を抜き
予熱で温めておいた180°Cのオーブンで
約30分・・・こんがりキツネ色になるまで
じっくり焼くとバターの香りが広がった。
翔「智くんは甘党でね。
実はケーキ🎂大好きなんだよ」
和「そうなんだ///」
まだ・・・知らないことばかり。
チョコプレートに
「ハッピーバースデー♡」と書き込んで
蝋燭を5本用意した。
1本5〜6年かな・・・
*ララァさんのお写真です*
だけど。
その日は20時を過ぎても
なかなか智さんは姿を見せなかった。
お誕生日だし・・・
もしかしたら彼女さん・・・とか?
・・・チクン、と胸が痛む。
🔔カランカラン
翔「いらっしゃいませ」
あ!・・・と思って振り返ると
女「こんばんは」
翔「あ、久しぶり」
女「今日って智は来ますか?」
翔「どうかな?」
女「ラインに既読が付かないのよ。
待たせてちょうだいね。ホットひとつ」
和「かしこまりました」
智・・・って呼び捨てにしたのも
その人が・・・とても綺麗だったのも
智さんのラインを知っていたのも
可愛い包み🎁を持っていたのも
何もかも・・・嫌だった。
コーヒーカップに
紅い口紅が着くのもそのままに
その人は智さんの好きな
マイルドブレンドを飲み干して
女「じゃあ、これ。
智に渡してくださいな」
翔「はい」
女「こっちの小さな包みは
ハナちゃん用ね」
・・・ハナちゃん・・・?
『エリザベート』の花總まりさん
じゃ、ないよね・・・
和「あの、ハナちゃん・・・って・・・?」
女「あら、イヤだ。あなた知らないの?
智の家の子よ」
まさか・・・お子さん・・・とか?
妹さんだといいな・・・
考えたくないけれど、・・・お嫁さん?
嫌だ嫌だ。
頭に浮かんだことを
ブンブン振って消し去ろうとした。
21時の閉店まで
ずっと待っていたけれど・・・
俺も翔さんも、その綺麗な人も。
だけど。
智さんは、姿を見せなかった・・・
いつもは上品なJAZZが流れる駅前広場。
どうしてこの日に限って
こんなにも悲しい歌なの・・・?
まだ・・・11月なのに
大きなツリーが飾られて
もうクリスマス🎄の歌・・・
ひとりで帰るのが当たり前なのに
マフラー・・・
巻き直してくれるのに慣れちゃって
嫌だな・・・
ポタリと頬を濡らしたのは
こんな夜に降ってきた初雪だけじゃ
なかった・・・
