先に和sideをお読みください💛
side O
急ぎホテルに戻り
承認待ちの案件を終わらせた。
櫻井「社長。おつかれさまでした」
智「おつかれさまね。
プレゼン、ありがとう。助かったよ」
櫻井「大手旅行社との契約も
うまくいきそうです」
智「うんうん」
櫻井「12月23日から25日まで
我がホテルは宿泊も食事も予約率100%」
智「みんなのおかげだよ」
そうだ。
和さんにクリスマスのデートを申し込もう。
真剣なお付き合いを考えている、と
もう言ってもいいのではないか・・・
なんて思い始めていた。
さっきも・・・
危うくキスしそうに
なったし・・・
きちんとしたい。
村沖舞子「社長。警察から連絡です」
智「うむ」
例のクレーマーは
保釈されると連絡が入った。
軽い罪だと、すぐに出て来られるんだ。
保釈金を払えるんだな・・・
・・・ということは。
こちらへ来るかもしれない。
智「一階フロアの女性社員は全員帰宅」
村沖舞子「私は、残ります」
智「いや。明日の朝からを頼むよ。
今日は大変だったろ?ゆっくり休んで」
村沖舞子「かしこまりました」
和さんのもとへ帰りたい気持ちがあった。
だけど、ここは。
暴力的なことには。
毅然とした態度で
きちんとNOを言い続ける必要がある。
和さんを守るためにも
ホテルの全従業員を守るためにも。
そして何より自分のためにも。
次にアイツが姿を見せたら
容赦なくそれだけで警察を呼ぶ。
そう腹を決めていた。
櫻井、松本は心得ているし
今なら幸いにも和さんがいない。
来るなら、来い。
この先もたかられ続けるのは、嫌だ。
決着をつけたい。
相葉「あれ。大ちゃん、夜勤なの?」
その夜。
近所の獣医師、相葉ちゃんが
ホテルのレストランに寄ってくれていた。
フランス料理を美味そうに食っている。
智「ああ。今日は、ちょっとね」
相葉「五助の注射、連れてきてね」
智「うん。お世話になります」
そんな話をしているところに
ガチャン!
レストラン手前のロビーが
急に騒然とし始めた。
フロント「お客様。お待ちください」
・・・アイツか。
早速やってきたか。
懲りずにやってきやがった。
もう、なんらかの病気だな。
その醜い行動には強迫性さえ感じた。
男は俺を見つけると
真っ直ぐに近付いてきた。
防犯カメラに写る角度に身体を向け
レストランの入り口付近で
こちらから先に声を掛けた。
智「当ホテルからの退出をお願いします」
一命を取り留められるなら。
いっそ俺に怪我をさせてくれ。
大事なお客さまは無論。
うちの社員を狙われるくらいなら
自分が盾になりたい。
櫻井が電話を掛けたのが見えた。
きっと警察に連絡だろう。
松本が左から静かに近付いてくる。
奥には食事中のお客さま。
ここから先へは一歩も進ませない。
俺は毅然とした態度を貫いた。
男は俺に体当たりしてきた。
隙が見えた・・・けれど
正当防衛だとしても
この男に怪我をさせるわけにはいかない。
そんなカードは切らせない。
俺はわざと身体を斜めにした。
相葉「ちょっと!」
松本「社長!」
ぐらり、と身体が揺れたのを感じた。
白いナフキンが赤く染まっていく。
私服の警察官が張っていたのだろう。
男が取り押さえられるのが
スローモーションのように目に映る。
櫻井「社長!!!」
相葉「動かさないで。
もっと清潔な布を!」
テキパキと獣医師が応急処置をする。
遠くから救急車のサイレンが近付く。
和さんに・・・
クリスマスのデートを
申し込もうと思っていたのに・・・
俺・・・大丈夫か・・・

