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第二章
(和)
すごいお屋敷や・・・
黒いベンツは国道423号線を北上して
緑豊かな箕面の邸宅を走り抜け
自動で開く重厚な門をくぐり抜け
壇「お待ち申し上げておりました」
櫻井「このまま智坊ちゃんをお迎えに
行って来ます」
壇「よろしくお願いします」
僕だけ車を降りるように言われ
出迎えてくれた綺麗な女性に案内された。
壇と名乗ったその人は
30代くらいに見えた。
・・・僕は。
大ちゃんの実家という迷宮に
連れてこられた。
壇「こちらでしばらくお待ちください」
通されたのは応接室。
すごい・・・
見たことのないシャンデリアに
ふかふかの絨毯。
壁には鹿の剥製が飾られていた。
知らない家にひとり置いていかれ・・・
大ちゃんを待っていればよかったと
今頃になって気がついた。
そうや。
そうやんか。
ここ、大ちゃんの家やん。
僕はちょっとキョロキョロして
大ちゃんの写真とか
大ちゃんの何か持ち物とか
そういうのを探したんやけれど
僕のよく知っている大ちゃんからは
ほど遠い調度品の数々が
冷たくそこにあるだけで
僕はますますアウェイ感を感じていた。
ストロー付きのお飲み物が出てきて
僕は所在なくて落ち着かなくて
それで・・・朝からのことを思い出した。
*****
大ちゃんを見送って洗い物を済ませると
ちょっと横になったん。
お布団には・・・
大ちゃんの匂いが残ってて///
僕はうつ伏せになって
ゴロンゴロンして昨夜の余韻に包まれた。
大ちゃんに抱かれた・・・///
大ちゃんに愛された・・・///
それはまるで自分という人間が
生まれ変わったみたいな不思議な感覚。
両手で自分をぎゅっとして
愛された喜びを閉じ込めようとした。
幸せな気持ちのまま
うつらうつらしてしまい
ハッと気が付いた時には
時計の短針はてっぺんを回ってた。
お昼、食べよう。
大ちゃんとお揃いの卵焼きに
朝の残りのおむすびを食べていると
玄関の向こうで人の気配がした。
・・・誰やろ・・・?
流しにお皿を置いて
そっとドアの丸い覗き穴から表を伺う。
・・・!!!
大きな目と見つめあってしまった。
コンコン、と遠慮がちにノックされる。
「大野さん?」
「大野さんのお部屋ですよね?」
どうしよう?
「大野さん、ですよね?」
そうやけど。
勝手に出てもいいのかな?
「わたくし、櫻井と申します。
大野さんのお父様の会社の弁護士です」
大野さんのお父さんの会社の・・・
お父さんの・・・
忘れていた現実を思い出した。
「お父様、倒れてしまわれて」
・・・え?
「あの、ですね?」
僕はちょっとマシな服に急いで着替えると
ガチャリ、とドアを開けた。
櫻井「はじめまして、でもないんだけど」
にこっと笑ってくれたオジサンは
確かに見覚えがあった。
この撫で肩・・・につぶらな瞳。
母さんの・・・お葬式の時に・・・
お役所の人だと思っていたけれど
この人だ。
全部良いように取り計らってくれたのは。
和「こんにちは」
櫻井「こんにちは。
智坊ちゃんは、お仕事ですか?」
和「・・・はい・・・」
あの、倒れた・・・って・・・」
櫻井「はい。一度会っておかれますか?」
・・・いいのかな・・・?
櫻井「智坊ちゃんも必ずお連れします。
悪いようには致しません。
貴方が来てくださると
必ず智坊ちゃんをお連れできます」
お父さんかもしれないなら・・・
会っておいた方がいいに決まってる。
和「・・・大ちゃんも・・・来る?」
櫻井「はい。もちろん」
僕はあの封筒の山を持ち出した。
高額な小切手は手をつけたことがない。
これの意味・・・
返すべきものなのか
受け取るべきものなのか
それを確認したかったのもある。
だけど・・・
一番には・・・
僕の由来、というか・・・
お父さんなのかな・・・と
それが一番に心を占めていた。
櫻井「下に車を待たせております」
携帯電話は残念なことに電池切れ。
昨夜、それどころではなかったから///
和「あ、ちょっと書き置きを」
櫻井「はい、どうぞ」
ポストに入っていた下品な広告の裏に
走り書きをした。
大ちゃんへ
大野のお父さんが倒れたと、弁護士さんが来ました。大ちゃんも後で合流すると聞いています。先に行ってます。 和
それをテーブルの上に置いて
弁護士さんと黒のベンツに乗り込んだ。
あまりちゃんと考えてなかった。
大野のお父さんが倒れた・・・
というニュースは
母さんが亡くなった時を思い出させた。
間に合わなかったら・・・後悔する。
そう思って付いてきてしまった。
