(智)
結局。
焼け跡からは何も見つからず
雅紀の集めた情報から
翔の居場所を探ることを最優先にした。
潤「智さん。大丈夫?」
実は。焼け跡を訪ねた時から
耳の奥に変な音が聴こえていた。
シュイーン
シュイーン
シュイーン
なんだ・・・この音は。
シュイーン
シュイーン
シュイーン
どんどん近付いてくる。
不気味に思っていたところに
冷たい氷が張るみたいな
そんな気配まで感じ始めていた。
向こうの世界との境界線が
近付いている・・・?
*ララァさんのお写真です*
(和)
機械の森の中で休憩をした。
もうひとりの俺も同じような体験をしてた。
もうひとりの和「ほぼ同じだよ。
翔さんがAndroidだと気付いてからは
なるべく黙っていようとしたけれど
それが不審に思われてしまった。
寝台に手足を縛られた俺は
記憶の全てを取り上げるぞ、と。
血液も内臓も全てサンプルとして
採集されると脅された。
隣にはニノミヤロボが横たわった。
これから皮膚の移植をすると言われ
メスが近付いてきて
あまりに怖くて目を閉じた。
怖くて怖くて嗚咽しか出て来なかった。
だけど、その時。
ふわりと優しい空気を感じて
目を開けたら・・・
長くて美しい指のロボットが
パチンとウインクをして
こっそり逃してくれたんだ」
和「オオノロボだね?」
もうひとりの和「うん。
他の四体のロボットは。
人の頭脳と欲だけを集められているんだ。
それもかなり乱暴な集め方。
ニュースで読まれる知識系はサクライロボ。
マナブ動物根性系はアイバロボ。
歴史系はマツモトロボ。
戦争系と嫉妬系は二宮ロボ。
どうやらそういうプログラム。
オオノロボだけがまともだよ。
人間の優しさとか、痛みとか
そういうの理解できる」
和「他の四体は・・・リセット必要?」
もうひとりの和「・・・だけど。
それでオオノロボが傷付くのは悲しいな」
和「お前・・・いい奴だな」
無事に逃げられたとして。
Androidとの対峙は避けられない。
やるかやられるか。
実際。俺もコイツも危なかった。
だけど・・・俺も同じ気持ちだった。
逃してもらったから・・・
なんとか。
オオノロボを悲しませなくて済むように
なんとか・・・
なんとか・・・ならないかな・・・
・・・なんて。
俺もピンチなのに。
もうひとりの和「お前もいい奴だな」
俺たちは友人になれそうだった。
だけど俺たちの現実は・・・
シュイーン
シュイーン
シュイーン
あの不気味な音は絶えることなく
俺たちの行く手に轟いていた。

